トントンと、ドアをノックするシレーナ。程なく、木の板の向こうから、ぶっきらぼうな声が聞こえた。
 「開いてんよ。」
 「失礼致しますわ。」
 ノブを回して、シレーナが部屋へ入る。続いて、筆記用具とメモ用紙を携えたカマロンが入る。
 「何だ何だ、これから事情聴取ってわけか、おい。」
 部屋にいた男は、目深に被ったフードの上から、頭を掻く。
 「はい。その通りですわ。私の質問に、しっかりお答えになって下さいね。」
 その言葉に、男は両手を広げるジェスチャーで悪態をつく。
 だがシレーナは一向に気にせず、質問を始めた。
 「ジャスティンさんは、倒れる前に何をしておりましたか?」
 「ああん? 食事に決まってるだろ・・・・・・ええっとな、確かローストバルドスミートを食べていた時だったな。あいつは俺の隣だったけど、いちいち皿まで見てないから、よく分かんねーよ。」
 シレーナの目を見て、真面目に答え直す怪しい男。それで満足したのか、何も言わずに質問を続けた。
 「今回の5人が集まるきっかけは何でしょうか?」
 「あー、俺が呼んだんだ。たまには旨い飯でも食わないかってな。」
 ・・・・・・その後、数回の質問が続き。
 「では最後に一つ宜しいでしょうか? もし、貴方がたの中に犯人が居るとしたら、どなただと思われますか?」
 「そんな事知るか・・・って言いてえ所だけど、ジョニーは怪しいかもな。何かのランキングでジャスティンに負けたとか言って、相当悔しがっていたからな。」


 部屋を出たシレーナは、その足で隣の部屋へと向かい、その手でドアをトントン叩く。
 程なく中から声が聞こえ、シレーナはノブを回す。
 「失礼致しますわ。」
 「いえ、お気になさらずに、ミス・シレーナ。調査に協力するのは、我々ガードの勤めですから。」
 「有り難う御座います。それでは簡単に質問させて頂きますね。」
 しかしジョニーは、シレーナの言葉など耳に入っていなかった。視線はシレーナに釘付けのまま。
 「(何だ何だ、アクセルの野郎が恐れてる女だって聞いてたけど・・・美しいしバイーンだし、最高のレディではないか。噂は当てにならぬな。)」
 「あの、宜しいでしょうか?」
 そんな様子のジョニーを見て、シレーナは少しだけ怪訝な表情を浮かべた。
 「あ、いや、失礼。少々考え事をしておりまして。えと、質問でしたな。」
 「はい。では、ジャスティンさんが倒れた時の状況は分かりますか?」
 ジョニーは少し表情を歪める。そして、ガントレッドでヘルメットを掻きながら、言った。
 「実は・・・レディの前でこんな話をするのは失礼かもしれませんが・・・俺はトイレへ行っておりまして、倒れた時は居なかったのです。」
 「そうですか。ではどこで毒を飲まされたか、見当もつきませんか。」
 「はい・・・いや、そうだな。彼は確か、一度トイレに行ったような・・・。」
 「そうですか? いつ頃に?」
 「確か二品目・・・スープの後ぐらいだったかな。」
 ・・・・・・・その後、数回の質問が続き。
 「分かりました。では最後の質問ですが・・・ジョニーさんは、最近何かのランキングでジャスティンさんに負けたご様子ですが、それについて・・・。」
 そう言った途端、ジョニーの顔色は紅潮し、目玉は見事にスイミング。
 「あ、ああ、そうだ! あの男、俺が長年守ってきた、「ダイアロスへっぽこ男ランキング」「守ってくれなさそうな男ランキング」それに「口先三寸王」の三冠を全て持っていきやがったんだ。おかげで俺のアイデンティティはズタボロだ・・・っと、失礼。取り乱してしまいました。」
 そこまで言って、ようやくジョニーは気付いた。
 「ってまさか、俺を疑ってるのですか? お、俺ではないです! そ、そ、そうだ! フランチェスカなんか怪しいですよ。この間、ジャスティンの事を大分怒っていましたよ。」
 「・・・そうですか。貴重な情報、有り難う御座いました。」
 シレーナは軽く、お辞儀をする。
 「いえいえ、ガードとして当然の勤めですよ。それより・・・。」
 そう言うと、ジョニーはとびっきりの(本人談)笑顔を浮かべ、シレーナの前に歩み寄り。
 「それより、この後のご予定は空いておりますか? ミス・シレーナ。」
 白い歯に輝きを浮かべながら、シレーナの手をそっと掴んだ。
 と、シレーナは軽く微笑みを返すと。
 「申し訳在りませんわ。まだ忙しいものですから。」
 ジョニーの右手甲を掴み、くるっと180°ほど捻る。
 捻りの力は手から腕、身体へと瞬時に伝わり・・・ジョニーの足が浮き、身体が見事に半回転。床に、頭から落下した。
 シレーナ流合気術・小手返し
 物言わなくなったそれを残し、シレーナとカマロンは部屋を出た。
 
 女性陣の部屋が離れているのは、シレーナの配慮だろう。
 シレーナとカマロンは数分歩き、ようやく次の部屋へ到着した。
 「はぁーい、どうぞー。」
 ドアの向こうからは、気怠そうな声。
 「失礼致します。フランチェスカさんですわね。」
 「そうですよー。で、いつになったらここから帰れるの?」
 ベッドに座ったまま、ふくれっ面を見せる。
 シレーナは笑顔でそれをかわす。
 「申し訳ありませんわ。犯人が見つかるまで、ご協力お願い致します。」
 その返答に、更に頬をふくらませてみせた。
 「では質問宜しいでしょうか。貴女は倒れたジャスティンさんに真っ先に駆け寄ったと聞きましたが、何か変わったところはありましたか?」
 「うーん・・・変わったところって言っても、倒れる事自体変わってるんだから、分からないわ。」
 「倒れる前の、ジャスティンさんの様子はどうでした?」
 「そうですわね・・・はしゃいでいるだけでしたわ。料理は真っ先に食べ終わってましたし、変な様子もなかったですわね。」
 その答えに、シレーナはちょっと引っかかる。
 「あら? ジャスティンさんは、料理を食べるのがそんなに早かったのですか?」
 「ええ、そうですわ。私、席が隣だったからよく見えたのですが、あっという間に食べちゃうから、もっと味わって食べればいいのになー、って思いましたわ。」
 ・・・・・・この後、数回の質問が続き。
 「では最後の質問ですが・・・フランチェスカさん、この間、ジャスティンさんにバカにされたと聞きましたが・・・。」
 それを聞いて、フランチェスカはあからさまに表情を変える。
 「そうなのよ! あいつ、私が作ったクッキーが不味いとかいいやがったのよ! 腹立つじゃない・・・って、もしかして私、疑われている? いやですわ、私がそんなことするわけないじゃないですか・・・あ、そうだ! 睡蓮とか怪しいと思うわ。この間、睡蓮がジャスティンにバカにされたって怒ってたわ。」


 「どうぞ、入ってください。」
 睡蓮は自分でドアを開け、シレーナとカマロンを迎えた。
 「失礼致しますわ。」
 シレーナと、続けてカマロンが部屋に入り、ドアを閉める。
 シェフの誰かに用意して貰ったのだろう、睡蓮の部屋には椅子が3脚、置いてあった。
 「事情聴取でいらしたのですよね。私に分かる事なら、何でもお話し致しますわ。」
 「ええ、そうして頂けると助かりますわ。」
 3人は椅子に座り、そしてシレーナから口を開いた。
 「ジャスティンさんの様子で、おかしいところはありましたか?」
 そう聞かれ、首を軽く傾げる睡蓮。そして、言った。
 「そうですわね・・・そう言えば、悩んでいる節はありましたわ。」
 「あら、本当ですか? 他の方々は、そんな事言っておりませんでしたわ。」
 「ええ・・・私も、悩んでいる姿を見てしまっただけでして、誰にも言わなかったものですから・・・知っている人は少ないと思いますわ。」
 「その悩みとは、なんでしょうか?」
 「ええっと・・・自分はダイアロス島の勇者にふさわしいのだろうか、とかそんな感じでしたわ。」
 シレーナの目線合図で、カマロンはメモに言葉を付け加える。
 ・・・その後、数回の質問が続き。
 「では、最後に一つだけ。睡蓮さんとジャスティンさんが喧嘩していた、という証言を得たのですけど、それについては・・・?」
 そう言われると、睡蓮の顔はサァーッと赤くなる。
 「あ、あら、どっからそのお話を? 恥ずかしいですわ・・・あの、実はですね。私、お酒を飲むとどうしても自分を見失ってしまいまして・・・。それをジャスティンさんにからかわれた事があったのです。」
 睡蓮は下を向き、もじもじと話す。
 「それで・・・ついジャスティンさんを殴り飛ばしてしまって。ええ、でもその話はもう終わった事ですわ。でも誰が一体そんな事を? あ、きっと怪しい男さんですわ。あの方、この間ジャスティンさんに通報されて、商品を全てガードに没収されたって、怒っておりましたもの。」


 事情聴取を終え、部屋へと戻るシレーナとカマロン。
 メモを見ながら、煮え切らない表情で呟く。
 「こう見ますと、どなたも動機があるのですわね。アリバイがあるのは・・・敢えて言えば、ジョニーさんぐらいでしょうか?」
 と、その時。
 ドアをバンと開けて、ライチが入ってきた。
 「シレーナさまー、ホールの動き、まとめてきましたよー!」
 (第25章 完→第26章へ続く)

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第24章 あとがき

テーマ:

あと2話で終わりなんだ、蒼天航路・・・orz

やっぱ曹操が死ぬまでなんだろうがでも今実際死にそうなのはていうか死ぬのは関羽なんだし関羽死んだ次の年に曹操も死ぬわけだからやっぱそろそろ黄昏なんか。

まあちょっと前に乱立した三国志漫画がことごとく早仕舞していく様を見るとやはり三国志って題材は難しいんだなとちょっと思ったりでもそんな中で個性が存分に出ていた蒼天航路はやっぱ三国志漫画の中でも秀逸だった様な気がするわけであり。

オリジナリティー。

分かっていても難しい、欲しくても簡単には手に入らない。

でも必要なんだよね。漫画でも小説でも、見た瞬間に「これって○○の真似?」って思われた瞬間に、どんな良い内容でもアウトだからなー・・・。

まあ、それ以前に良い内容を考えろという話もあるか・・・うーん、奥が深いな。


そういえばREDなんて次回で最終回じゃん。トライガンもラストに向かっているし。まあ、ここら辺は連載長いから、寿命なんだろうな・・・。


さて、前置きが長くなりましたが(長すぎだろ)第24章いかがでしたでしょうか?

ていいますか、やってしまいました。

Cat-walk初の試み、中編小説を。

一応、今のところは4章構成にしようと思っております。3章までで事件内容を語り、4章で解決編。

まあ、トリックとか何とかは一応考えていますけど、果たしてちゃんと消化出来るか?

作者自身、こういう形式の小説は初めてなので、上手く書けるか分かりません。

とりあえず、無様に終わらないよう必死で書いていきますんで、出来れば読んでやってくださいw

というわけで次回予告。

「第25章 事件現場はシェル・レラン その2」

更新予定は10月30日です。では次回も宜しくお願いしますノ

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 ほんの少し前までは、クラシック系の落ち着いた音楽と、互いを褒め会うような客の雑談と、料理を説明するウェイターの声と、食器の音が聞こえていた店内だった。
 その店内に突然、場違いな音が、響き渡った。
 大量の食器が床へ落ち、割れる音。
 そして、大きな物が落ちたような、鈍い音。
 食事中の男が、突然胸を押さえ、藻掻くようにテーブルクロスを掴み、食器と共に床へ転げ落ちた音だった。
 店内は一瞬、時が止まったかのように静まり。
 大きなざわめきが、その男を囲んだ。
 「ちょ・・・大丈夫ですか? ジャスティンさん!!」
 ジャスティンの隣に座っていたエルモニーの女が、慌てて駆け寄りジャスティンを抱え上げるが。
 目は虚ろ、顔面は真っ青。そして口からは白い泡。
 「フランチェスカ、むやみにゆすってはダメだぞ・・・だがこりゃー、やばいかもな。」
 食事を共にしていた、甲冑を着たヒューマンが呟く。
 「ジョニーさん、早く何とかしなければまずいのではないですか?」
 慌てた口調で、コグニートの女性が話しかける。
 「へへ、慌てるなよ睡蓮。こう言う時は俺様の怪しい薬で・・・って言ってる場合じゃないな。おい、ウェイターさんよ、医者を連れてきてくれや!」
 と、フードを目深に被った男が、ウェイターに声を掛けた。
 と、その時。
 「一体、どうしたのですか?」
 騒ぎを聞きつけたシレーナが、ホールへ現れた。
 状況をすぐに察し、倒れているジャスティンの元へと駆け寄る。
 「これは・・・中毒ですわ。ライチ君、すぐにキュアポーションを持ってきてくれませんこと?」
 「あ、はい!」
 ライチは急いで厨房へ行くと、棚に置いてあった薬箱からキュアポーションを取り、急いでホールへ戻る。
 シレーナはそれを受け取ると、瓶の口を親指で割り落とし、ジャスティンの口へねじ込んだ。
 ごきゅ、ごきゅ・・・。
 顎を上げ、その薬を胃へ流し込む。
 心なしか、顔色が良くなったような気がした。
 「これで胃の毒は消えたはずですわ。至急ラオレス大聖堂付属診療所へ連れて行って下さい。」
 「はい!」
 待機していたシェフ達は、ジャスティンを担架に乗せて、夜のビスク港を飛び出していった。
 
 そんな騒ぎの後では、落ち着いた食事が続けられる筈はなく。
 客達は足早に、店を後にしていった。
 残ったのは、ジャスティンとテーブルを囲っていた、4人だけ。
 「あの・・・私たちもそろそろ、診療所へ向かいたいのですが・・・。」
 睡蓮がおずおずと申し出る。
 「申し訳ありませんが、実況検分が終わるまでは、店内に残っていただきます。」
 そうシレーナが言うと、ジョニーが反論してきた。
 「ちょっと待て待て。実況検分と言いながら、ガードが一人も来ていないではないか。」
「シェル・レランで起きた事は、我々の手で処理致します。アクセルにはそう伝えておりますので、ご心配なく。」
 「ちょっと待てよ・・・あんた、もしかして今回のこれ、事件って思ってるのか?」
 怪しい男がシレーナの前に進み出る。
 「ええ、そうですわ。」
 「待て待て、って事は俺たちのうちの誰かが疑われてるって事か? そりゃねーだろー、今までよろしく食事してた仲だぜ。それより、ここの料理に毒が入ってたって可能性はないのか、ああん?」
 「いえ、そんな事はあり得ませんわ。」
 シレーナはそれを、きっぱり否定する。
 「本日お出しした料理に、毒を含む可能性がある食材は一つもありません。勿論、フグのような毒のある食材を使用する場合でも、ウチのシェフの手にかかれば、料理に毒が残る事なんて、あり得ないですわ。」
 「じゃあ、こっそり毒入れた不届きなシェフでも居るんじゃねーか? マブ教徒のシェフが居るって話は聞いてるぞ!」
 「ありえませんわ。マブ教徒でも拝火教でも、料理を愛する心は一緒ですわ。そんな方が毒を入れるわけ、ありませんわよ。」
 落ち着いた口調で、だがはっきりと、シレーナは言い切った。
 反論する者は、誰も居なかった。
 「皆様にはこのレストランへ泊まって頂きます。部屋は用意してありますので、どうぞお休みになって下さい。ですが、後ほど事情聴取を行いますので、部屋から出ないようにお願い致します。」
 シレーナは一礼すると、ホールから出ていった。


 そして自室へ戻る。
 そこでは、ライチを含むシェル・レランのシェフ全員が集まっていた。
 一番最初に、カマロンが口を開いた。
 「お疲れさまです、お嬢様。大変な事になりましたな。」
 「ええ・・・そうですわね。こんな事が起きるなんて、想像だにしませんでしたわ。」
 シレーナは椅子に座り、ライチが机にトンと置いたお茶を一口飲む。
 一人のシェフが机の前に進み出て、報告を始めた。
 「ジャスティン様の様子ですが、幸い命に別条は無いようです。医者の話では、やはり毒物を飲まされた事による中毒症状という事でした。それと・・・。」
 そう言いながら、シェフはポケットをまさぐり。
 小瓶を取り出して、机に置いた。
 「これがジャスティン様のポケットから出てきました。中身はほぼ空でしたが、底に少しだけ液体が残っていました。これが・・・。」
 シレーナはその小瓶を摘み、少しだけ傾けて、中の液体を角に溜める。
 「ポイズンポーションですわね。色で分かりますわ。」
 「はい。医者もそのように言っておりました。もしかすると、ジャスティン様が自ら、これを飲んだのではないかと・・・。」
 腕を組み、少し視線を下に向けるシレーナ。そして、顔を上げて、言った。
 「今日のホール担当で、あのお客様をお迎えした方はどなたですか?」
 そう言うと、緑髪のエルモニーが「あ、僕です!」と言いながら手を挙げた。
 「あら、ライチ君でしたの?」
 ライチはすすっと、机の前まで来る。
 「ライチ君。その5人に・・・特にジャスティン様に、何か変わった事はありませんでしたか?」
 そう言われると、ライチは少し考え・・・こう言った。
 「いえ、特に変な感じはしませんでした。特にジャスティンは、ウチで料理食べるの初めてみたいで、なんだかはしゃいでいる様子でした。」
 「そうですか・・・他のホール担当の方で、変わった様子を見た方はおられますか?」
 数人のシェフが机の前まで進むが、言った事は一様に「特に変わった様子はありませんでした。」であった。
 「分かりましたわ・・・。どうやら、自殺の線は薄いようですわね。」
 「それではお嬢様、これはやはり・・・。」
 カマロンの問いかけに、うなずくシレーナ。
 「ええ。誰かが何かに毒を入れ、ジャスティンに食べさせた・・・殺人未遂事件ですわ。」
 シェフ達の中に、どよめきが上がる。
 それを掻き消すように、シレーナは声を上げた。
 「皆さん、これは私たちシェル・レランへの挑戦ですわ。解決が長引いてしまいますと、今まで築き上げてきた実績と信頼にヒビが入ってしまいます。一刻も早く、犯人を見つけだす必要がありますわ!」
 珍しく早口で。机に手形の穴を開けながら。
「カマロンは私と一緒に事情聴取をします。ホール担当の者は、彼らが来た時からの様子を出来る限り詳しく調べて下さい。他の者には追って指示を与えますわ。いつでも動けるようにしておいてください。」
 
 ゾロゾロと、シェフ達がシレーナの部屋を後にする。
 そんな中、シレーナが呟いた。
 「私のシマでキメゴロ(殺人未遂)ですって・・・絶っっっ対、許しません事よ。」
 (第24章 完→第25章へ続く)

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第23章 あとがき

テーマ:

うーーーーん・・・

まあ・・・何て言いますか。

小説の長さを一応決めて、書いているのですが(ちなみに40×40で3ページが目安)。

今回は大幅オーバー。これでも、20行近く削ったんです・・・。

テーマに対して一章だけじゃ短すぎましたorz

ちなみに作者は、カオスにはよく行きます。ただ、戦うのが好きなので、いつもファーストキャラで参加していますが。

見かけて、名前が白いようでしたら、気軽にPT呼びかけて下さいw


では次回予告ですが・・・ちょっと実験的な小説を書いてみたいと思っています。

3週程度使って、推理モノなんかを一つ。

まあ、本当にどういう内容になるか、作者自身もドキドキですがw

「第24章 事件現場はシェル・レラン 前編」

更新予定は10月23日です。では次回も宜しくお願いしますノ



・・・・・・さてと、頑張るかなw

 いつも、不思議に思っている事があった。
 ビスク西、銀行前広場での事。確かにそこはいつも賑やかなのだが。
 まれに、冒険者が大挙して押し寄せる時があるのだ。
 同時に、鍛冶屋や裁縫屋などの生産者達も集まり露店を並べるのだが、売られているのはあまり質の良くない(おそらくは失敗作なのだろう)武器や防具ばかり。もちろん、その質に見合った値段なのだが・・・。
 だが、その普段は見向きもされないような商品が、この時に限っては飛ぶように売れていく。
 そして、その武器や防具を装備した冒険者達は、魔法使い達のリコールアルターに乗って、どこかへ行ってしまうのだった。
 そして今日もまた。
 ライチは銀行前で、その光景を不思議そうに眺めていた。
 見渡す限りの冒険者。
 道具を売り込む商人の声。
 次々と呼び出されるアルター。
 そして、何故かリンゴの木箱に乗って、一演説ぶっているニューターの戦士が居た。
 「・・・これって、何してるんだろー?」
 興味を持ったライチは、その演説を聞こうと思い、聴衆の輪に入っていった。
 ニューターの戦士は、拳を振りながら熱弁を振るう。
 「・・・であるから、我々カオス殲滅部隊は再び敵地へ赴くのである。我々の調査によって、Wooの成長には彼の場所でしか手に入らない素材が不可欠である事が証明された。諸君らの協力がより一層重要なのだ。立てよ国民! Wooを育てる者、仲間を捜す者、また金目当ての者でも、どんな者でもいい。力無きと嘆く事はない、諸君らが必要ないという事なんて、カオスエイジには一欠片もないのだ!」
 と、その時。ライチは声を掛けられた。
 「貴方もカオスエイジ参加希望ですか?」
 振り返るとそこには、フォレスター装備を着込んだ、金髪の女性ニューターが立っていた。
 ライチは純粋な疑問を口にする。
 「あ、あの。かおすえいじ・・・って何ですか?」
 「あらあら、カオスエイジを知らないの? カオスエイジというのは、45億年前の世界の事よ。その世界には強大な神獣がいて、私たちカオス殲滅部隊はその神獣を倒そうって頑張っている集まりなのよ。」
 「ここの人たちもみんな、そのカオスエイジに行くの?」
 「ええ、そうよ。どう、貴方も? もし神獣に勝てたら、面白い物が手にはいるわよ。」
 悪戯っぽく、フォレスターの女性が笑う。
 「面白い物? 何? 何?」
 「ふふっ、内緒よ。それじゃ、一緒に来てみる?」
 面白い物に興味を持ったライチは、深く考えずに即決した。
 「あ、はい! 行きます! 何を持っていけばいいの?」
 「そうね・・・貴方は見たところ、戦闘系って感じじゃ無さそうだから・・・触媒を適当に見繕って、持ってきなさい。あ、そうそう、カオスエイジの中で倒れちゃうと、持ち物を全部無くしちゃうから、必要な物以外は全て置いてくるのよ。」
 
 ・・・・・・・・・。
 「ふうっ、どうやら間に合えたみたいね・・・もう。」
 フューチャーエイジ、大階段の下。フォレスターの女性は、その段に座って一息つく。
 隣にはライチ。ニコニコしながら雪玉を持っているその姿を見て、少しだけ微笑んだ後、これまでの行程を思い出しもう一度深くため息をついた。
 「全く、こんな手のかかる子をスカウトしてきちゃうなんて・・・まあ、戦力は多いほどいいかしら。」
 と、階段に佇んでいた冒険者達が、皆おもむろに立ち上がり、最上段を見る。
 来た。
 今まで何も無かったそこに、いきなり黒い光が降り注いだ。
 その中に次々と、冒険者が飛び込んでいく。
 フォレスターの女性は、冒険者達とは逆の方向に視線を向け、雪原を見下ろす。そして、丘の上から続く、大量の足跡を眺めた。
 「今日は沢山来たわね。これなら勝てそうかしら。さてと・・・ライチ君、行くわよ。」


 真っ白い大地から、黒いクリスタルの塔が無数に生える。空には星の瞬きさえ感じない・・・まるで怪物の体内に居るかのような世界に着いた。
 目の前には、赤い光の柱が立ち上っている。
 その柱に、冒険者達は次々と飛び込んでいた。そしてライチと、フォレスターの女性も一緒に飛び込み・・・。
 また景色の違う世界へと、飛ばされた。
 「・・・ここは火の門ね。さてライチ君、最下層へ行くわよ。」
 「最下層? どうして?」
 「ふふっ。私たちは何度もここへ来てるから、神獣との戦い方も熟知しているのよ。ここでの戦いは、全員で最下層に集まって、神獣をおびき寄せて戦うのよ。」
 フォレスターの女性は、スロープへ向けて走り出す。慌ててついていくライチ。
 火の門は、それほど広くないエリア。すぐ最下層に到着した。
 「さてライチ君。神獣が現れるまでまだ時間があるわ。ここでの戦い方を教えてあげるわよ。」

ひのもん

 

 フォレスターの女性が言った事を要約すると、こういう事になる。
 一、ここで出てくる神獣の名前はサザンゲートキーパー。
 二、サザンゲートキーパーは三段階の変形をする。一度目は普通に登場。ダメージを与えると七体に分身。全てを倒すと、強力な怪物に変身する。
 三、ライチの役目は、壁際で露店を開き触媒を配る事。
 「最後の怪物を倒せたら、面白い物が手にはいるわよ。じゃ、頑張りましょ。」
 
 苦しそうな呻き声と共に、サザンゲートキーパーが現れた。
 両手に握り剣を携える、人型の神獣。襲いかかる冒険者達を返り討ちにしようと、目にも止まらぬ早さで動き、剣を振るう。
 だが数に勝る冒険者の剣が、槍が、矢が、次々と当たり、次第にダメージを蓄積させていく。
 そんな激しい戦いが繰り広げられている一方、ライチは暇だった。まあ、有利な時の配布役なんて、そんなもんだ。
 「ふわー、みんな強いなー。僕も行こうかなー。」
 露店の中で、ライチはそわそわそわそわ。と、そこにサザンゲートキーパーの声が響く。
 「・・・七ツノ、命ヲ・・・」
 その声と共に、サザンゲートキーパーの分身が現れた・・・ライチの目の前に。
 「・・・って、うわぁ!」
 ライチは慌ててウッディンポールを取るが・・・近くで待機していた冒険者達が、あっという間にサザンゲートキーパーを囲み、事なきを得る。
 「ふうっ・・・危なかったー。」
 ライチの胸はドキドキドキドキ。だが・・・。
 「よし、安全になったところで、僕も行こうっと!!」
 結局、ライチは露店を飛び出し、サザンゲートキーパーに戦いを挑んでしまった。
 「えい、えい、やー! とー!!」
 ポコポコポコポコ。ライチの攻撃は貧弱ながら、何度かサザンゲートキーパーに当たる。だが全く意に介されず、別の冒険者を相手にしているだけ。
 と思ったら・・・。
 後ろからもう一体現れていた。
 不意を突かれた冒険者達は、あっという間に戦列を崩す。そしてライチの前には・・・。
 「坊主、歯ぁ、食いしばれ!!」
 
 「・・・あ、あれ?」
 ライチが目を覚ますと、そこにフォレスターの女性が。
 「もう、やっぱり無理しちゃったわね。落ち着きの無い子なんだから。」
 少し怒りながら、ヒーリングオールを唱えた。
 「あれ? サザンゲートキーパーは?」
 「もう倒したわよ。今、みんな帰るところよ。」
 「えー、最後の怪物、見たかったのに・・・」
 「まあ、仕方ないわよ。次に来たら、見れるかもしれないわよ。それよりほら、上に行きましょ。面白い物が手に入るわよ。」
 「そうだ、面白い物だ! 早く行こ! 早く!」
 フォレスターの女性はライチの手を引いて、スロープを駆け上がる。そして最上段に到着。見ると、そのフロアの真ん中に、光の塊があった。
 「あれは、原初の泉って呼ばれている物なのよ。あの中に手を突っ込んでみなさい。」
 言われた通り、手を突っ込むと。
 「・・・っわぁ!!」
 その手に、何かが絡みついた。慌てて手を引く。すると、絡みついた何かは、一緒に光の塊から引き抜かれて、ライチの足下にポトッと落ちた。
 それは、黒い毛玉のように見えた。だが、もぞもぞと動くと、ライチの足にピタッと張り付く。
 「わ、わ、何これ? 何、何?」
 「捕まえられたようね。それが面白い物、Wooよ。」
 「Woo?」
 すると、自分の名を呼ばれたと分かったのか、Wooは両目を開けて、ライチの顔をじっと見つめる。
 「っっっっわー、可愛い! これ可愛いですねー。」
 「ふふっ、そうね。その子目当てで、ここへ来る冒険者も多いのよ。それじゃ、早く脱出しましょ。あまり長居出来ないのよ、このエリアは。」

 フューチャーエイジの階段に、戻ってきた。
 「じゃあ、ここでお別れね。魔法使い達が出してくれるアルターに乗れば、現代へ戻れるわ。」
 「ありがとうございました。またねー!!」
 ライチはブンブンと手を振ると、Wooと共にアルターへ乗り、現代のビスクへ戻っていった。
 「可愛いなー、お前ー。名前どうしようかなー・・・」
 この時、まだライチは気付いていなかった。自分の服が無くなっている事に。
 そして本当のボスが、この後シェル・レランで待ちかまえているという事に・・・。
 (第23章 完)

第22章 あとがき

テーマ:

調教上げイベント第2弾、何とか書き上げられました。今回は、色々とリアルの事情があって、日曜更新とか無理かもと思っていましたが・・・人間やろうと思えば、何とかなるものですねw

例えネタが金曜まで思いつけてなくても・・・ってそんなカツカツでやってるんかい自分。

そうです。

頑張れば何とかなります。今回は勉強になりましたw

おかげで人狼にも参加できたし。また参加したいなー。


さて、あまりネタがないのでさらっと次回予告を。

「第23章 目指すは毛玉?カオス・エイジ」

そう、ついにライチは現代を飛び出します。まあ、ライチのスキルじゃ飛び出したところで・・・って話もありますがw

更新予定は10月16日です。では次回も宜しくお願いしますノ

欄外編5 MOEで人狼

テーマ:

現在、P鯖で話題の企画「MOEで人狼 」に参加してきました。

キーボードを打つ手が震えるぐらい緊張した、楽しいTRPGでした。企画者のRommy さんをはじめ、運営の方々、お疲れさまでした。

というわけで、レポートを書いてみます。


私が参加したのは9日の2部、通常ルールの部。参加者は私を含め、14人。

私、Jamさん、ミルタイさん、エリーさん、ハラショーさん、Monyさん、Psyさん、Lucinaさん、Kaseさん、キクさん、Quonさん、Armeさん、Chinuさん、いちみさん

(資料がメモ書きしかなかったので、フルネームまで分かりませんでした。間違っていたら直しますのでコメント下さい^^;)

そして私に与えられた役割は・・・牧師でした。ちなみに期間は7日間。私は7日の間に、人狼を全て殺すか、生き残ってガードを待つか。


1日目

まずは一緒の部屋に行く人を決めます。司会のダイスがコロコロと転がり。

私の番号に。

とりあえず、知り合いの厨房師という事で、Jamさんを指名。

以下、このように決まりました。

指名した側→指名された側

①らいち→Jamさん

②エリーさん→ハラショーさん

③Monyさん→Psyさん

④Lucinaさん→Kaseさん

⑤キクさん→Quonさん

⑥ミルタイさん→Armeさん

⑦Chinuさん、いちみさん

そして夜が更け・・・朝


2日目

舞台の上には、全員の姿が。死者はゼロ。静かなスタートだなと思った、その時。

いきなり波乱が。

ミルタイさんが、Armeさんに攻撃されて、ブロックしたと主張。

Armeさんの弁明とミルタイさんの反論が論じられてから・・・処刑者投票。

結果、Armeさん8票、ミルタイさん6票。Armeさんに入れたのは、Quonさん、キクさん、Psyさん、Monyさん、エリーさん、Kaseさん、Lucinaさん、ミルタイさん。

弁明空しく、Armeさんは処刑台の露に。

そして夜の部屋割りへ。

①Lucinaさん→Quonさん

②キクさん→Psyさん

③Chinuさん→エリーさん

④Kaseさん→Monyさん

⑤いちみさん→らいち

⑥Jamさん、ミルタイさん、ハラショーさん。

各自散って、2日目の夜が更けました。


3日目

舞台へ戻る面々。だが一人だけ還らない。キクさんが、遺体で発見されたとのこと。

ざわつく面々。疑いの目は、当然同室のPsyさんに向けられる。

Psyさんは、キクさんは狂人だったと主張。むしろ昨日怪しかったミルタイさんを先に処刑すべきと言った。

弁明するミルタイさん。そして投票。

2回行われるも、結果は2回とも同数。処刑は行われず。Psyさんに入れた人は、らいち、Jamさん、ミルタイさん、ハラショーさん、Chinuさん、いちみさん。

そして部屋割りへ移行。

①Quonさん→いちみさn

②Jamさん→Kaseさん

③Monyさん→ハラショーさん

④Chinuさん→らいち

⑤ミルタイさん→エリーさん

⑥Lucinaさん、Psyさん

3度恐怖の夜を過ごし・・・。


4日目

舞台には、また一人還らず。Kaseさんが死んでいた。

疑われるのは、当然同室のJamさん。

Jamさんは、Kaseさんは人狼で、自分は祈祷師だったと主張。

だが投票の結果、Jamさんが最多の5票で、アイアンメイデンの中に押し込まれる事に・・・。

ちなみにJamさんに入れたのはMonyさん、ハラショーさん、Lucinaさん、Psyさん、Chinuさん。

Psyさんは4票、いちみさん、Jamさん、らいち、ミルタイさん。エリーさんとQuonさんはミルタイさんへ投票。

そして部屋割り。

①Chinuさん→Lucinaさん

②エリーさん→Quonさん

③Monyさん→Psyさん

④ミルタイさん→ハラショーさん

⑤いちみさん、らいち

各自部屋へと。この後の惨劇を知らぬまま。


5日目

大胆に減ってしまった。死者は3人、Chinuさん、エリーさん、ミルタイさん。

しかもPsyさんが、Monyさんが人狼で、攻撃をブロックしたと主張。制限時間一杯、疑われた同部屋の3人とMonyさんの主張を聞く。

そして投票。Psyさんに4票集まり、ギロチンへ。ちなみに投票者はいちみさん、Quonさん、ハラショーさん、Monyさん。ハラショーさんには2票。LucinaさんとPsyさん。私は一人でLucinaさんへ入れました。

残り6人。空き部屋も多くなってきた。

①ハラショーさん→Monyさん

②Lucinaさん→いちみさん

③らいち、Quonさん

自分が残っているのは幸運なだけだろう。そう思いながら、舞台を後に・・・。


6日目

死者は1人。いちみさんのみ。

疑われるのは、当然Lucinaさん。

Lucinaさんは、いちみさんが狂人だったと主張するが、他4人の同意は得られず・・・。


ここでゲーム終了。人狼が全滅し、村人側の勝利となりました。


以下、ネタバレおよび推理へ。

2日目のミルタイさんの行動、私はブラフと見ました。その為、Armeさんに入れた人は人狼側の可能性が高いと推理。

特に、パス温存で同室になったという疑いから、Monyさん、Psyさん、Lucinaさん、Kaseさんの4人を要注意としました。

3日目、Psyさんの同室だったキクさんが死亡。これでPsyさんはほとんど黒。

更に3日目夜、JamさんがKaseさんをカウンターで殺したことで、Kaseさんは黒になりました。

(初日に私を襲わず、2日目にも誰も襲わなかったJamさんは、白だとほぼ確定していたので。)

この投票でJamさんに入れた5人も疑いリストへ。中でもMonyさん、Psyさん、Lucinaさんはほぼ黒に。

5日目。同室で死者の居る黒リストはLucinaさん。ここで確定マーク。

2日目から行動を起こしたミルタイさんと、怪しいリストに入っていたエリーさんは狂人と予想。

(だがここで処刑されたのは言動が怪しかったPsyさん。私1人でLucinaさんに入れてしまうというミス。これには焦りましたw そしてPsyさんに入れたMonyさんは黒リストから削除。)

そして6日目、予想通りLucinaさんの同室者が殺される。ここまで来たら、流石に怪しまない人は居なく、物語は終演に。残った4人は村人側で、我々の勝利となりました。


そして配役はというと、人狼はLucinaさん、Psyさん、Kaseさんの3人。狂人はミルタイさん、エリーさん、キクさん、Armeさんの4人でした。

そうです、2日目に処刑されたArmeさん、3日目に喰い殺されたキクさんは、なんと人狼側。運が悪かったとはいえ、ここのミスは人狼側にとって痛手だったでしょう。

それにミルタイさんとエリーさんの自決は、逆に村人側に有利になってしまいました(処刑票が減るので)。

鍵はやっぱ4日目夜かな? ここでの人狼側の行動が、村人勝利の要因になってしまった気がします。


何はともあれ、参加したみなさん、お疲れさまでした。正直かなり楽しかったですw

月曜は用事があって行けないので、また企画があれば参加したいと思います。

 「あぁ・・・いいねぇ。そう、まるで自分が自然と一体になっている感じで・・・あぁ、いいよ・・・おぅけぃ、完璧だ。」
 その合図を聞いて、ライチは手を止める。
 「ど・・・どうです?」
 不安げな顔で、ライチは聞く。
 その不安をうち消すような笑顔で、フォレールのギルドマスター・ガストは優しく答えた。
 「成功だよ、ライチ君。ほら、見てみな、サヤマの嬉しそうな顔を。チェリッシングも、もう完璧にこなせるようになったね。」
 「ホントですか? じゃ、じゃあ・・・?」
 「あぁ、別れとは切なく悲しいものだね。けど君は行くんだよね。とりあえず、これで調教の初歩は卒業だよ。」
 「・・・っやったー!!」
 飛び上がって喜ぶライチ。
 「やったー。やっとペットが飼えるー! 何飼おうかな、飼おうかな?」
 「おおっと、その前に忠告だよ、ライチ君。」
 ガストはライチの前に立つと、その右手をポンとライチの肩に乗せる。
 「ライチ君のスキルだと、ペットになってくれるのは、街の側に住んでいる弱い獣たちだけなんだ。しかも、一匹しか連れて歩けないよ。何を飼うかしっかり考えてから、迎えにいくんだよ。」


 アルビーズの森からヌブールの村に入り、アルターを通ってビスクへ。
 その間、ライチはずっと考えていた。
 「何を飼おうかな? スタンダードに犬とかいいし、猫もねずみも可愛いし、鳥もいいなー・・・。」
 港へ向かってテクテク、坂道の手すりにひょいと登り、トコトコ歩きながら。港では柵の上をまるで綱渡りのように、ヒョイヒョイ歩きながらも。
 まだ悩んでいた。
 「でもやっぱ、飼うなら一緒に戦える動物がいいなー。ライオンとか虎とか鹿とか・・・。」
 と、いつの間にか、ビスク港のレストラン、シェル・レランに着いていた。
 「あれ? いつの間にここ来てたんだ? ・・・ま、いいや。シレーナさまに報告してこよーっと。」
 トトトッと駆けてシレーナの部屋へ。そして、扉をノックしようとしたら・・・中から、声が聞こえた。
 「全く、どうして貴方達は、こういつもいつも厨房師装備をなくしてしまうのですか?」
 「申し訳在りません、シレーナ様。今回我々は辺境の間に飛ばされてしまいまして・・・。」
 「言い訳はいいですわ。それで、また厨房師装備が欲しいのですか?」
 「ええ・・・それで、シーフードリゾットを頂けたら・・・。」
 「残念ですが、今日から厨房師装備のクエストが変わりましたの。新クエストは、闘技場で私と拳を交えて、一本取る事ですわ。さあ、闘技場へ参りましょう。」
 「・・・し・・・シレーナ様、そそ・・・そんな。」
 「要するに、貴方達が強ければ門番なんかに負けないのですわよ。ビシビシと、鍛え直して差し上げますわ。」
 その後に聞こえた叫び声は、もう言葉になっていなかった。
 ライチは急いで、扉から離れる。
 「うわわわ、シレーナさま怒ってたな・・・そうだ!」
 その姿を想像し、ライチはピンと閃いた。


 ビスク東の門から出て、レスクールヒルズを北へ向かう。
 剥き出しの岩肌が段々と迫り、地面は段々と傾きはじめる。
 ガストから貰った、仲間に出来る動物たち一覧表。その中に、この山に住む獣がいた。
 そう、レスクール・ベアーである。
 「熊さーん、どこですかー? 僕のペットになってよー。」
 崖を登り岩を飛び、ライチは熊を捜す。
 「居ないなー。どこかいないかなー。」
 と、遠くをキョロキョロ見回しながら捜している・・・と。
 見つけた。遠くの尾根で、ノシノシと歩く黒い巨体を。
 「居た! よし、早速・・・って、あれ?」
 ライチはその方向に、勢いよく駆けだした・・・が、数歩で気付いた。
 足の下に、地面が無い事に。そしてライチは、万有引力の法則に従って、崖から落下した・・・。
 「うわーーーー!!」
 ゴィン!!
 そして地面に落ち、ライチは大ダメージを・・・受けなかった。
 地面にいた何かと激突。丁度クッション代わりとなった。
 勢い余って地面に転がるが、「いててて・・・」とすぐ口に出せるぐらい軽傷。すぐ、ライチは起きあがり、上を見た。
 そこには崖がある。そして、ライチが落ちたであろう場所も。
 「うわわわ・・・あんな所から落ちちゃったのか、よく無事だったな・・・。」
 と、横を見ると。
 大きな熊が、頭を押さえてうずくまっていた。
 「ガウガウガウ、ガウウウウ(何だ何だ?、痛たたた・・・)」
 ライチはその熊に駆け寄ると、心配そうな顔で声を掛ける。
 「あ、あの、大丈夫?」
 「ガ、ガウガウ(ああ、平気だぜ。)」
 「ごめんなさい! ちょっと急いでたもんで、足を踏み外しちゃって。」
 「ガウガウ、ガウウウガウ(いいってことよ、お互い無事だったんだから、それでいいじゃん)」
 「あ、ありがとうございます。それじゃ僕、急ぐからこれで!」
 そう言うと、ライチは落ちた崖に登り始めた。
 「ガウウウ(気を付けろよ、また落ちるんじゃねーぞ)」
 「だいじょうぶだよー♪」
 ライチは手を振りながら、崖をすいすいよじ登る。熊はその様子を見て、安堵の表情を浮かべ、森の中へ潜っていく。
 「ふんふんー、親切な熊だったなー。上にいた熊もあの熊ぐらい親切だったら、ペットにし甲斐もあるなー・・・って、あれ?」
 中段まで登って、ようやく気付いたようだ。
 「ああ! 今の熊をペットにすればいいんじゃん!! ちょっと待ってー!!」
 ライチは大急ぎで、崖を下り始めた。
 
 「はぁ、はぁ・・・よかった、近くにいて。」
 「ガウガウ、ガウウウ?(おいおい、どうしたんだ?)」
 森の中。のっしのっしと歩いていた熊に、ようやく追いつくライチ。スタミナ切れ寸前で、肩で息をしつつ、ポケットからバナナミルクを取り出して飲み干す。
 「ふぃー、楽になった・・・さてと。」
 ライチは熊の正面に立つと。
 大声で言った。
 「あの、僕、一緒に旅をしてくれるペットを捜してて、それで熊さん、一緒にきてくれませんか?」
 「ガウウウ? ガウガウガー!(もしかしてアニマル・フェイタライズか? さて、どうするべきか・・・。)」
 と、熊が悩んでいると。
 ライチはいつの間にか目の前まで来て、熊の顔を触る。
 そして・・・ガスト直伝の、地獄のアニマル・フェイタライズが始まった。
 「ガウーーー!!(ちょっと待て、待て、それは気持ちが悪い、うわーー!!)」
 
 レスクール・ベアーは仲間になりました。
  
 「ガウ、ガウ・・・(はぁ、はぁ、分かった、一緒に行く。)」
 「ホント? 良かった、バンザーイ!!」
 ライチは熊の周りで飛び跳ねる。
 「ガウウ(ったく、こいつの先が心配だな。オレがしっかりフォローしないとな。そうそう、オレの名前だけど、魚津万ベア九郎って・・・)」
 「そだ、名前決めないと・・・そうだ! 料理人になるなんだから、クックにしよう! よろしくね、クック!」
 「ガウウウ!(いや、オレの名前は魚津万ベア九郎だって・・・)」
 「クックー、クックー、僕の友達ー♪」
 「ガウ(いや、だから・・・)」
 (第22章 完)

第21章 あとがき

テーマ:

ペットっていいですよね。

可愛いし、楽しいし。見ていて癒される感じがします。

私の家には、フェレットが一匹。かつて住んでいた親元には、猫が一匹。どっちも、とても×100可愛いですよ。

(まあ、うちのフェレットはなついてくれず、親元の猫はほとんど会えませんが・・・;;)

そんな私が調教スキルに手を出すのは、必然だったのかもしれませんw


というわけで第21章、書き上げてみました。ホントは一話で終わられる予定でしたが、まとめきれずに2話構成に。まあ、ネタが増えるって事はいいことなんでしょうが。

ちなみに作中でシレーナ様が言っていたペット倫理は、私の本音だったりしますw

生き物には責任を持ちましょー!


というわけで次回予告。

「第22章 見つけた!僕のベスト・フレンド」

更新予定は10月9日です(もしかすると10日になるかもしれませんが)。

では次回も宜しくお願いしますノ

 テオ・サート広場の一角に、ライチがいつも露店を開く場所がある。
 今日もそこに、ソーセージやモヤシ炒めなどの売り物を持ち込んでいた。
 テオ・サート広場の人通りはとても多く、ライチの店には人々が次から次へと足を止め、品定めをしたり買っていったり。
 だがその光景は、ライチにとってはけっこう日常的なもの。だが。
 今日だけは、ちょっと違った出来事があった。
 ライチの店に、人間以外の客が来た。


 つぶらな瞳が、ライチを見つめている。
 大きな尻尾は、ブンブンと千切れんばかりに振られている。
 牙が覗く大きな口からは、「ハッハッハッ」と息を吐く音が漏れ、籐で編まれた手提げカゴが下がっていた。
 「・・・え?え?犬? どうして・・・お客さん?」
 ライチはとりあえず「いらっしゃいませ」と言ってみるも無反応。
 視線は変わらず、尻尾はパタパタ、口からはハッハッハッ。
 「えと・・・一体、何なんだろう?」
 大きなクエスチョンマークが頭に浮かび、ライチは首を傾げる。
 何の気なしにその手提げカゴを覗いてみると、そこにメモが入っているのを見つけた。
 それを手に取り、読んでみる。
 「ソーセージ20本、下さい。」
 と書かれていた。メモの下には、ソーセージ20本の代金、1800G。
 ライチは、呟いた。
 「あ・・・本当に、お客さんだったんだ。」
 
 「ありがとうございましたー。」
 駆けだしていく犬を、見送るライチ。
 ふと、テオ・サート広場に目をやると。
 ライオン、猫、鹿、白黒の虎。ドラゴン、オーク、エトセトラ・・・。
 沢山の人間に混じって、沢山の動物が歩いている事に、気付いた。
 「へー、結構動物飼っている人って、多いんだなー。」
 そして、ライチの心に、一つの欲望が生まれた。


 「ダメです。」
 しかし20分後、その欲望はシレーナの口によって、あっさり否定された。
 「えー、何でですか?」
 「何でではありませんわよ。料理人が動物を連れて歩いたら、衛生的に悪いではありませんか。それに、動物のいるレストランで、どなたが食事を取りたいと思うのですか?」
 ライチは、真っ向から反論する。
 「だ、大丈夫です! レストランには連れて行きません。料理の前には、必ず手を洗います。」
 だがシレーナも言葉を返す。
 「それに、ちゃんと世話出来ますの? ペットを飼うと言う事は、その動物の一生を面倒見るという事なのですわよ。一日だって世話を欠かせてはなりませんし、病気や怪我も全部貴方の責任で面倒見なくてはいけませんわ。生半可な考えで動物を飼ってしまえば、最後に本当に可哀相なのは、飼われた動物ですわよ。ライチ君には、それができますの?」
 「やります! 絶っっっ対にやります!!」
 ライチは真剣な目で、シレーナを見つめた。
 そして。
 先に折れたのは、シレーナだった。
 「・・・さっきの言葉に付け足して下さい。手を洗うだけでは不十分ですから、料理の前に着替える事。いいですわね?」
 「え? それって・・・飼っても良いんですか?」
 「ライチ君の言葉を信じますわ。」
 「・・・・っ、やったー!!」
 喜びの余り、部屋を飛び回るライチ。
 「やったー! 何飼おうかな? 犬? 猫? それとももっとすっごいのに・・・。」
 「ですけど!」
 シレーナの一喝。
 ライチは驚き、その動きをピタッと止める。
 「いいですか? 動物を飼うのですから、しっかりとした調教方法を学ばなくてはいけませんわ。そこで、私の知り合いに調教の名人がおりますで、教えを請いにいきなさい。彼からしっかり、調教方法を学ぶのですわよ。」
 
 シレーナから受け取った手紙を、渡す。受け取ったのはフォレールのギルドマスター・ガスト。
 ガストは怪しげに身をくねらせながら手紙を読むと、こう言った。
 「あぁ、シレーナ様からのお願いとあっては、僕らはこれを快く受け入れよう。何故なら、それが運命。」
 「えと・・・よろしくおねがいします(だ、大丈夫かな、この人?)」
 「あぁ、よろしく。さて、僕の役割はというと、君にアニマル・フェイタライズというスキルを教える事なんだ。知っているかい?」
 ライチは少し考え込むが、すぐ首を横に振った。
 「そうかい。それならば、まずはアニマル・フェイタライズの説明をさせて貰うね。このスキルは、動物と心を通わせて、友達になるスキルなんだ。どう、素敵だろ?」
 「・・・ええ、はい。」
 「ふふっ、理解して貰えて嬉しいよ。それじゃあ、さっそくやってみるね。おっと失敗失敗。その前に、僕のペットを連れてこないとダメじゃないか。」
 そう言うと、ガストはテントの裏に行く。
 そして、一頭の虎を連れて、戻ってきた。
 「どうだい、立派な虎だろう。こいつの名前はサヤマっていうんだ。僕の心強いパートナーさ。」
 褒められたのが分かったのか、サヤマはニヤッと笑って胸を張る。
 だが、すぐにその表情が変わった。ガストのやろうとしている事に、動物的勘で気付いたからだろう。
 「見て、ちゃんと覚えるんだよ。アニマル・フェイタライズは、こうやって動物と触れあって・・・。」
 そう言うと、ガストはサヤマに手を伸ばし、その顔や身体をなで回す。
 「おー、可愛いですね、サヤマー、可愛いよー。チュッチュッ・・・。」
 キスをし始めるガスト。思いっきり嫌な顔をするサヤマ。だが、その表情に気付いているのはライチのみ。
 そして、行動はエスカレートし・・・。
 「サヤマ、可愛いよサヤマー。うーん、ベロベロベロベロ・・・。」
 ついに、舐め始めてしまった。サヤマの顔が、唾液でベタベタになっていく。
 そう、その姿はまさしく、伝説のマスターテイマー・ムツゴ○ウそのもの。
 「よしよし、いいよー、可愛いよー。」
 我を忘れて、ペットを可愛がるガスト。ついに泣きそうな顔になるサヤマ。
 そして・・・それ全てを、唖然とした表情で眺めるライチ。
 
 アルビーズの森に、雪がちらつく。ランダル洞窟にも、白い粉雪が舞う。
 その恐ろしいアニマル・フェイタライズは、いつまでも止むことなく続いてたという・・・。
 (第21章 完→第22章へ続く)