ライチは小さい身体を更に縮こまらせながら、冷たい石壁に身を擦らせるように歩く。
 ここはムトゥーム地下墓地最下層、デスナイトの守る墳墓。その虚ろな目にライチが映れば、直ちに彼らは動き、無慈悲にデスサイズを振り下ろすだろう。だからこそ、ライチは慎重に、慎重に部屋の壁を伝って歩く。
 そして、運良くデスナイトに見つかることなく、部屋を抜けた。
 「・・・はあっ・・・怖かったー。」
 一つ、息を吐いてから。
 再び気合いを入れ、ウッドゥンポールを両手で握る。
 「えと、カマロンさんが教えてくれた場所は・・・この先だったかな・・・あ、あった!」
 広い通路の先に、石造りの短い階段。所々が欠け、抜け落ち、ヒビが入っている。踏んでも大丈夫そうな段を選びながら降りていくと・・・。
 「(・・・居た!)」
 ライチは心の中で叫ぶ。捜していた人を、見つけた。
 黒いローブを纏い、杖をつく男。フードを目深に被っているせいで顔は見えないが、雰囲気から分かる。
 そいつが、魔法を使う盗賊だと。
 ライチはカマロンから聞いた言葉を反芻する。
 「地下墓地最下層にいる盗賊の魔法使いなら、呪文抵抗を上げる相手に最適で御座います。彼らは単独で行動する上に、使う魔法も弱く、今のライチ君でも十分に太刀打ち出来るでしょう。」
 そして、意を決して、ライチは駆けだした。
 盗賊はライチの姿に気付き、杖を構える。そして声を上げた。
 「誰だ? 冒険者か? 丁度いい、身ぐるみ置いていけ!」
 ライチも負けじと、声を上げる。
 「やだよ! 覚悟しろ、えと・・・盗賊Aめ!」
 「・・・俺の名前はそんな単純じゃない!!」
 盗賊Aは怒りに震えながらも、口の中でごにょごにょと呪文を唱え始める。
 「万能なるマナよ、炎の玉となれ! マイナー・バースト! 毒の霧となれ! ポイズン・ミスト! 氷の礫となれ! アイス・ボール!」
 矢継ぎ早に、呪文をぶつけてきた。
 ドーン! もわっ! ピキーン!!
 全てライチに命中。そして・・・。
 「にゃーー!! うわー、熱いよー! 身体がチクチクするよー! 冷たいよー!!」
 早くも音を上げ、ライチは逃げ出した。
 
 その後何発もの呪文を受けながらも、ライチは何とか盗賊Aを振り切り、壁際に身を隠す。しかし怒号と足音はだんだんと近くなり、見つかるのは時間の問題だろう。
 「(うわーん・・・体力もう無いよー。どうしよう・・・あ!!)」
 その時、ある言葉を思い出した。
 「呪文抵抗を上げに行くんだってね。良かったら持っていきな。困った時、きっと君の助けになるはずさ。」
 「(そだ! ジャムさんに貰った野菜ジュース! 確か体力が減ったら飲むもんだって言ってた!)」
 大急ぎでぞうさんリュックを降ろし、中身をゴソゴソとまさぐる。そして、丸い瓶の感触が。
 「(あった! 後は蓋を開けて・・・って、臭っ!! でも飲まないと・・・えい!)」
 ライチは鼻をつまんで、緑の液体をゴクゴクと飲み干す。
 「・・・不味い!!」
 思わず声を出し、同時に瓶を投げ捨てる。
 「そこか!!」
 バカな理由で見つかった。お約束としては、「うわー!!」とか叫びながら逃げるのだが。
 その時は違った。ライチは身体に現れている、とんでもない変化に戸惑っていた。
 ジュウウウウウ!
 傷口や火傷から、白い煙が吹き出す・・・と同時に、その傷がみるみるうちに治っていった。
 「何・・・なにこれ? ミカエルの眼の薬? アンデルセン神父? でもこれなら、これなら・・・。」
 足音が迫ってくる。怒号は聞こえない・・・恐らく、呪文を唱えているのだろう。しかしライチは臆することなく、しっかりとその両手でウッドゥンポールを構えると・・・。
 「これなら、いくらでも逃げられる!!」
 完全に、敵に背を向け、駆けだしたのであった。


 翌日。
 ライチはミーリム海岸をトコトコ歩く。目的地は砂浜の先、大きな岩の元。
 そこに行くよう教えたのも、やはりカマロンであった。
 「大きな岩の周りに、フードを被った一団がおります。人々は彼らを「異端者」と蔑みますが、実際は気のいい者たちで御座います。きっと、ライチ君の修行に喜んで協力してくれる事でしょう。」
 元々ビスクからそれほど離れていない場所の為、地下墓地と違ってすんなりと目的地に到着出来た。
 そこでは、フードを被った一団が、熱心に、焚き火に向けて祈りを捧げていた。
 「すいませーん。」
 ライチはとりあえず、一番手前にいた人に声をかける。
 声をかけられた異端者は、祈りをやめ、ライチの方を向いた。
 「何や? 今取り込み中やで・・・って、緑髪のエルモニーやな自分、もしかして、あんさんシェル・レランのライチ君か?」
 「え? あ、はい。そうですけど・・・。」
 「何や、そうだったら話は早いわ。カマロンの爺さんに頼まれとったんやウチら。な、みんな。」
 他のメンバーも、一斉にライチを向く。
 「せやせや。ライチって名前の厨房師見習いがここに来っから、呪文抵抗の修行につき合ってくれってな。」
 隣に立つ異端者が話しかけてくる。
 「おお、ちっちゃくて可愛いのう。儂の小さい頃にそっくりじゃ。」
 反対側に立つ異端者は、遠くを見つめるような仕草をする。
 「っておっさん、種族違うやろ!」
 真ん中の異端者にビシッと突っ込まれた。
 全員が声を上げて笑う。
 ちなみにライチは、状況についていけず、ポカンとその様子を眺めていた。
 「・・・って、お客待たせたらあかんがな。ほなライチ君、修行始めるで。」
 「ええ? すぐですか? えと・・・どうすればいいんですか?」
 「なに、簡単や。そこに立っていれば、自分が魔法ばんばんかけてやるさかい、後は好きにしたらええ・・・ほな、行くでぇ・・・。」
 そう言うと、異端者はごにょごにょと、呪文を唱え始める。
 ライチは覚悟を決めて、痛みに耐えられるよう集中した・・・が。
 すぐ、ある事に気付いた。
 「あの・・・何で全員・・・呪文、唱えてるんですか?」
 その問いに答える者はいなく。
 「万能なるマナよ、破壊の炎となれ! バースト!」×8
 チュドーン!!×8
 砂地に、見事なまでに丸いクレーターが形成された。その中心で、ライチはポワッと黒い煙を吐いてから。
 倒れた。


 「ふえーん、痛かったよー!!」
 その後、何度も気絶しながらも、ライチは何とかバーストに耐えられるまで、呪文抵抗力をつけることが出来た。
 「大体なんで全員で呪文をかけるんですか? 1発ならまだ耐えられるのに、8発も受けたら気絶しますよー。」
 「あはは、すまんすまん。チマチマやってたらラチがあかんやんか、ウチらせっかちやさかい、許したってや。」
 異端者の1人は、そう言いながらケラケラ笑う。それをきっかけに、他の7人も笑い始めた。
 太陽は丁度、水平線へ沈んでいく。影は長く長く伸び、砂や岩は染め物のように紅く色づけられる。それでもライチは、むすっとした表情のまま、異端者達への抗議を続けるのだった。
 
 【ライチの現在のスキル】
 料理:35.4
 醸造:42.4
 呪文抵抗:0.5→40.3
 異端者達との友情:Priceless!
 (第12章 完→第13章へ続く)

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欄外編3 コミックバトン

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2本目のバトン、コミックバトンについて書きます。

もう偏るとか偏らないとかって個性だし、どーでもいいやって思うようになってきましたw


■本棚に入っている漫画単行本の数は何冊?

200冊程度
現在の住処に無い漫画を加えると300冊ぐらいかな?


■今面白いと思う漫画は?


「鋼の錬金術師」荒川弘 週刊少年ガンガン連載中
今や超有名になったハガレンです。人気出ただけあって面白いですよ。
アニメ見てないので、そっちの方はどうだか分かりませんが・・・。


■最後に買った漫画は?


「D.Gray-man 5巻」星野桂 週刊少年ジャンプ連載中
一部で人気が出てますね。連載当初から好きでした。けど最近の展開は・・・。


■よく読む、または思い入れのある漫画を5冊挙げよ。

①「ブラック・ジャック」手塚治虫
言わずと知れた、手塚漫画最大の金字塔。私は9歳の時にこの漫画と出会いました。
未だにこの漫画を超える漫画を読んだ事は無いですね。


②「トライガン/トライガン・マキシマム」内藤泰弘 ヤングキングアワーズ連載中
世界観やキャラクターがとっても魅力的な作品です。ストーリーも秀逸だし。
こんな世界観を小説で書きたいです。


③「RED」村枝賢一 ヤングマガジン連載中
最近ヤンマガに移籍したので、ちょっとだけ知名度が上がったかな?
マイナーだけど面白いので、読んでみて下さい。最終回間近です。


④「俺たちのフィールド」村枝賢一 週刊少年サンデー連載終了
再び村枝漫画登場。村枝漫画はとにかく魅せ方ってのが上手い。
Jリーグ創生期とフランスW杯予選が熱かったです。


⑤「ベルセルク」三浦建太郎 ヤングアニマル連載中
今更説明の必要もない、ファンタジー漫画の最高峰。
今だ進化を続けるストーリーには敬服するしかないです。


さて、バトンを渡す相手ですが。
ウチのリンク先で、まだバトンを受け取ってなさそうな以下の方に回しましょう。

・Irisさん「エルアン神殿に続く階段」

・Nicolaさん「[F.T.T]フライパンは縦に使え。」

・MARYBELLさん「スズマリヤ」

まあ、例によってスルーしちゃっても構いませんので~ノ

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第11章 あとがき

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今週は辛かった・・・

土日月と所用でパソコンの前に座れなかったので、第11章を書き上げたのは月曜の夜中・・・。

週末までに仕上げようと考えたけど、ネタに詰まり書ききれず。眠い目こすって、何とか仕上げました。


と、そんな作成秘話のある第11章、いかがでしたでしょうか?

ワイン200本は、本当に売れなかったです。その為に、現在酩酊スキル上げ真っ最中。さあ、何処へ行くライチのスキル?


リアルの方では、溜まっていた案件がほぼ全て片づき、地震にもめげず、台風にもめげず、大分楽になってきました。恐らく今週は、しっかり日曜日に新作を届けられると思います。


そんなわけで次回予告です。

「第12章 気合いと友情のスペル・レジスタンス」

行進予定は7月31日です。では、ごきげんよう(このネタ分かる人はいるのか?)

・・・もとい、では、次回も宜しくお願いしますーノ

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欄外編2 ゲームバトン

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チムチムチェリーのチムニィさんよりゲームバトンとコミックバトンを受け取りました。

まずはゲームバトンから・・・ですが、何だかまた偏りそうな気がw


1.Total volume of the game files on my computer
  (コンピュータに入ってるゲームファイルの容量)

12.757Gです。

内訳は FF11とジラートで10.306G。MOEで2.43G、残りはハンゲーム。

FFはもう引退しているので、もう動かすこともないかな。ハンゲはダウンロードしただけで手を付けてないです。

2.The game(s) playing right now
  (今進行中のテレビゲーム)

無し

・・・と思いましたが、それだとあまりに淋しいので。

クイズマジックアカデミー2。

まあ、テレビゲームじゃなくてアーケードですけどね。しかも今住んでいる地域には筐体が無いので、都市へ遊びに出たときだけしかやりませんが。

ちなみに先日、ようやく中級魔術師へ・・・w


3.The last video game(s) I bought
  (最後に買ったテレビゲーム)

中古で買ったパワプロ10です。サクセスで2人作ってやめましたw

4.Five video games I play to a lot, or that mean a lot to me
  (よく遊ぶ、または特別な思い入れのある 5 作)

①タクティクス・オウガ

オウガバトルシリーズは全て攻略しました。その中でも一番はやっぱこれかな。

とにかくやり込んだ記憶があります。一人も殺さないって決めてやっていたので、誰か死んだらリセットしてましたね。同じ面を20回以上やり直したりもしました。

トレーニングモードでレベルアップ? 邪道ですよーw


②キングオブキングス

S・RPGの草分け。知っている人は知っている。とにかくやりまくりました。ドラゴンナイトまで育て上げられたときの喜びといったら・・・分かる人、少ないだろうなw


③ドラゴンクエスト4

DQは2,3,4,5とクリアしました。一番良かったのは4ですね。3も好きだったけど。DQ2,3,4辺りは手に入れるだけでも大変だったな・・・あの頃は(遠い目)


④サムライスピリッツ

アーケード版です。一時期、かなりやりました。ギャラリーとか背負ったりもしました。けど、COM戦は苦手で、ゲーセンでクリアしたことは一回も無かったりしますw


⑤ファイナルファンタジー6

FFは4,5,6,7とクリアし、8の途中までやりました。一番は6かな? 7もけっこう好きだったけど。


まあ、予想通り偏りましたね。ここ数年はネットゲームへ流れたせいで、テレビゲームからは離れてますね。PS3とか買わないだろうな、多分。


コミックバトンは後日掲載します。バトンはその時に渡します。では今日はこの辺で~ノ

 右手にシェイカー。心にシレーナさま。唇にイチゴミルク。背中のぞうさんリュックに入ってるお金は11G。
 そんな姿で、ネオク・ラング醸造屋の椅子に座るライチ。机に上には沢山のイチゴミルクと、メモ代わりにもなるレシピ・バインダー。
 そこには、シェル・レランのシェフに聞いて回った成果が、汚い字で書かれている。
 もう一口、イチゴの味を楽しんでから、ライチはそれに目を通した。
 「えっと・・・イチゴミルクに関係あるのは・・・あった! えっと、イチゴミルクは原価売りか。うーん、じゃあ、原価で売ってみようーっと。」
 ライチは椅子から飛び降りると、木箱に綺麗にイチゴミルクの瓶を並べ始めた。
 そして、醸造屋の前で露店を開く。
 2時間後。
 「ありがとーございましたー!!」
 最後の客が立ち去るのを見届けてから、空になった木箱を持って飛び上がった。
 「やったー、売れたー!」
 木箱を抱えたまま、崖を駆け上がって醸造屋へ戻る。そして再び、レシピ・バインダーを広げた。
 「イチゴミルクはもう目を瞑っても作れるから・・・次は何かな。えっと・・・あ、これだ! 次はバナナミルクか。ええっと、バナナミルクは醸造の華、沢山作って沢山売れ、か。それなら沢山作って、沢山売ろうっと。」
 ぴょん、と飛び降りるように椅子から立ち、シェイカーを右手に持つ。レシピ・ノートに記した作り方に目を通し。
 ひたすら腕を振って・・・そして。
 テーブルの上に積み上がる、バナナミルクの山。それをせっせと木箱に詰め、崖を駆け下り、露店を開いた。
 3分後。
 「ありがとーございましたー!」
 山のようにあったバナナミルクは、あっという間に売り切れた。黄色い液体が詰まった瓶を見た冒険者達は、先を争うようにライチの露店へ走り、皆両手一杯に抱え金を払っていった。
 最後の客が立ち去るのを見届けてから、空になった木箱を持って飛び上がった。
 「やったー、すごい売れたー!!」
 木箱を抱えたまま、崖を駆け上がって醸造屋へ戻る。そして三度、レシピ・バインダーを広げた。
 「バナナミルクの次は何を作ればいいのかな・・・えっと・・・あ、あった! 次はワインがいいんだ。ワインはめいていが来るまで我慢しろ・・・か。えっと・・・どういう意味だろ? それと、ライチ君は飲んじゃ駄目、か・・・って、これはシレーナさまの字だ。何でだろう? まいいや、作ろー!」
 レシピ・ノートに記してきた製造法に目を通し、材料を揃え、作り始める。
 そして、机の上が占拠されるぐらいのワインが完成した。
 「ふー、疲れたー。さて、売りに行こうー!」
 ワイン入りの瓶を木箱に並べ、積み重ね、持ち上げ。崖を降りて露店を開く。
 そして・・・3時間後。
 「・・・売れなーい!」
 ライチは苛つくように、そう叫んだ。地面に尻だけでなく、背をつけて空を見上げてしまう。
 その視界の端に残る、山のようなワイン。
 これまでそれは、只の一本も売れていなかった。
 「めいていが来るまで我慢って・・・いつ来るんだ? 第一、めいていって何だろう?」
 ぶつぶつ愚痴るが、ワインは売れない。
 と、ふとライチはそのワインに視線を移し、紫色の液体をじっと眺めた。
 「こう見ると・・・やっぱ美味しそうだな。飲んでみようかな・・・いや、でもシレーナさまが・・・でも、どうせこんだけあるんだし、いいよね、いいよね?」
 誰に許可を求めるわけでもなくそう呟くと、ライチは身をピョンと飛び起こして、瓶の一本に手をかけた。
 そして栓を抜き、口を付ける。
 「・・・! こ、これは・・・美味しい!」
 そう思ったが最後、2度、3度と口を付け、ついに瓶を空にしてしまった。
 そして・・・。


 「お疲れさまでした。」
 ヴェルデに見送られながら、ネオク・ラング支店を出るシレーナ。
 「さて、視察も終わった事ですし・・・そうですわね、ライチ君の様子でも見に行きますか。」
 シレーナはネオク・ラングの広場を通り、醸造屋の前に行く。
 すると・・・その店の前に佇む、緑髪のエルモニーを見つけた。
 「あ、居ましたわね・・・って、ええ?」
 と、そのライチの周囲を見て、シレーナは驚いた。
 周りには、おびただしい数の空き瓶。そして近づいて分かる、強烈な酒の匂い。
 「もしかしてあの子・・・ワインを飲んだのですね。こら、ライチ君!!」
 シレーナの怒号で、振り向くライチ。しかしその目は据わっていて、焦点は定まっていない。
 「ふふ・・・。」
 ふらふらと揺れながら、薄く笑う。
 「もう、飲んでは駄目と書いておいたのに・・・こら!」
 ライチを捕まえようと、シレーナは手を伸ばす。
 が。
 ヒラリ、とその身をねじって、手を避けた。
 ボーンレス(酩酊スキル1 酔った状態で予測不可能な動きをして攻撃をかわす)
 そしてトトトッと千鳥足で、距離を取る。
 「あー、もう、こら、待ちなさい!!」
 「・・・ふふ・・・カユ・・・ウマ・・・。」
 シレーナは二度、三度と手を伸ばすが、その都度ライチはひらりひらりと華麗にかわし・・・。
 追いかけっこは、日が暮れるまで続いたのであった。


 翌日。
 「うわーん! 気持ち悪いよー! 頭痛いよー!」
 ベッドで泣き叫ぶライチ。
 「あれだけ飲んだら二日酔いになるのは当たり前です。少しは反省する事ですわね。」
 シレーナはそう言い放つと、冷えたミニウォーターボトルを置いて、部屋を出た。
 
 【ライチの現在のスキル】
 料理:35.4
 醸造:13.1→42.4
 呪文抵抗:0.5
 酩酊:0→10.4!
 (第11章 完→第12章へ続く)

第10章 あとがき

テーマ:

露天でカオスインゴ×2を8000×2で売りました。

動けなくなってました。ピクリとも。

仕方がないので、ミックスジュース×80を店売りする羽目に・・・

すぐ側に店があって良かったw ていうかその前に、重量計算しっかりやっておけ自分w


さて、第10章はいかがでしたでしょうか?

今回初の試みとして、実在のプレイヤーキャラを登場させてみました。協力していただいたジャムさん、ありがとうございました^^

・・・実際のジャムさんは、もっとまともな方ですよ、はい。

書き手としては、書いていて楽しかったので、ほかにもたくさんの方を巻き込む・・・もとい、登場させていきたいと思ってます。

立候補もOKよw

どんな風に書かれるかは、分かりませんが。


さて、次回ですが。

前回のあとがきに「前後編になるかも」と書きましたが、それどころじゃなくなりそうです><

今の構想では、4章仕立てっぽくなりそうです・・・長っ。

というわけで予告~。

「第11章 醸造?酩酊? スキルアップ・トレーニング」

今週末は出掛けるので、更新予定は25日の月曜日になります。

今週はカオスも休みになります・・・参加されるみなさん、私の分までがんばれーw

では、次回もよろしくお願いします~ノ

 散乱した書類をまとめながら、鼻歌を鳴らしながら、ライチは大きな机の上を片づける。
 バケツから濡れ雑巾を取り出し、ギュッと固く絞る。そして、トンと机の上に乗って、そのまま雑巾がけを始めた。
 と、その時。コンコンと、部屋の中に音が響いた。
 扉が叩かれる音。
 そして声が聞こえる。
 「シレーナ様、失礼します。シレーナ様?」
 「え・・・えと、はい、ちょっと待ってください」
 空席の主に代わって返事をすると、机から飛び降りて、トトトッと扉まで走った。
 そして扉を開ける。
 「失礼します。ご機嫌麗しゅう、シレーナ様。本日もまた一段とお綺麗で・・・で・・・あれ?」
 と、そこまで言って、扉の外の人物は気がついた。
 扉を開けたのは緑髪のエルモニーで、机の前に座っている筈のシレーナが居ないと言う事に。
 「あの、シレーナさまなら、朝市に出掛けてますけど・・・。」
 「おっと、そうでしたか。わたくしとした事が早とちりをしてしまったようですね。」
 「はあ・・・そうですか。」
 ライチは、その人物を見上げる。
 背の高い、黒髪で男前なコグニート。何故か目を瞑り、髪をかき上げる仕草のまま止まっている。
 だが、何より特徴的だったのが。
 そのコグニートが何故か、身に纏っている服がパンツ一枚であった事であろう。
 と、そのコグニートから話しかけてきた。
 「君は留守番かな? ならばシレーナ様が帰ってきたら、私の部屋まで呼びに来てくれないかな?」
 「あ、はい、いいですけど・・・えと、貴方は誰ですか?」
 と、その問いに、大きなジェスチャー(恐らく絶望を表現しているのであろう)を交えながら、コグニートは叫ぶ。
 「何と! 君は僕の事を知らないのかい? このシェル・レランにおいて、未だ数人しか居ないゴッドの地位を持つこの僕を? ああ神よ、貴方は何故この僕に更なる試練を・・・って、もしかして君は新入りかい?」
 「はい。まだ入ってそんな経ってないです。」
 「そうか、成る程な。」
 と1人納得顔で頷く。
 そして、コグニートは右掌を左胸に当て、少し前屈みになってから、喋り始めた。
 「自己紹介がまだでしたね。わたくしの名はジャム。艶めかしく七色に輝く様から、近しい人からは”真珠の”ジャムと呼ばれております。どうぞお見知り置きを。」
 そう言って、深々と頭を下げた。
 「えと・・・ジャムおじさん?」
 ライチがそう言うと、ジャムはゆっくりと頭を上げ、左目を閉じて右手の人差し指を唇に当て、腕を伸ばしてそれをライチの顔の前まで持っていくと、チッチッチッとメトロノームのように3回動かした。
 「ふふっ、その手のネタは、言われ飽きてますよ。それより、君の名前は何ですか?」
 「え、あ、はい。僕はライチって言います。どうぞ宜しくです。」
 「ライチ君だね。ではライチ君宜しく頼むよ。」
 そう言って、ジャムはゆっくりと、扉を閉めた。


「ただいま。」
 「あ、シレーナさま。おかえりなさーい。あのですね・・・えと、えと。変な人がシレーナさまに会いたいって来ましたよ。」
 「あらあら、きっとジャム君ですわね。申し訳ないのですけどライチ君、呼んできてもらえませんこと?」


「ふう、困ったものですわね・・・。」
 仰々しく頭を下げたジャムが扉を閉めてから、シレーナはポツリと呟いた。
 「どうしたんですか、シレーナさま?」
 「ジャム君がまた厨房師装備を欲しいって言ってきたのよ。これで何度目でしたかしら、もう数えるのも億劫ですわ。神との戦いに精を出すのも宜しいのですけど、これでは服がいくつあっても足りませんわ。」
 そう言って、またため息をつく。
 と、ライチが声を上げた。
 「あの、厨房師装備って、みんなが着てる白と赤の服ですよね? 僕も欲しいです!」
 「あらあら、ライチ君も欲しいの? 勿論ライチ君にもあげますけど・・・条件があるのを、知っていますか?」
 「条件・・・?」
 ライチは首を傾げる。
 その様子を見て、シレーナはニコニコと笑いながら口を開いた。
 「ええ。ウチでは、それなりのスキルがあると認められたシェフだけにしか厨房師装備を支給してませんことよ。そうですわね・・・ライチ君が作った中で、一番難しかった料理は何ですの?」
 「難しかったのですか? ええっと・・・あ! 最近オムライス作りました。卵をトロトロにするのが難しかったですけど、成功しました!」
 「オムライスですか。美味しそうですわね。ライチ君も、大分腕が上がったようですわね。それでは、一番難しかった飲み物は何ですの?」
 「飲み物は・・・ええっと・・・最近あんまし作ってないかも。イチゴミルク・・・かな?」
 「成る程。醸造はまだまだですわね。それでは最後に・・・ちょっとそこに立っていてくれませんか?」
 シレーナが、部屋の中央を指す。
 「はーい。」
 と、ライチは元気よく返事をしてからそこに立つ。
 すると・・・。
 「万能なるマナよ、炎の玉となれ! マイナー・バースト!」
 シレーナはいきなり、呪文を唱えた。掌から火の玉が迸る!
 ドドーン!!!!
 部屋の中央で、炎が弾けた。もうもうと煙が上がり・・・それが晴れた後には。
 真っ黒なライチが、ベタな漫画のように、口から煙を吐く。
 「な・・・何をするんですか! ひどいですシレーナさま!」
 ライチが抗議の声を上げるが、シレーナは意に介さず、その身体の様子を見る。
 「呪文抵抗力は・・・ほぼゼロね。残念ですけどライチ君、まだ厨房師装備はあげられませんわね。」
 「えー、何でですか?」
 「厨房師装備をあげる条件は、厨房師のスキルを満たす事ですわよ。ライチ君はまだまだですわ。」
 「厨房師・・・?」
 再びライチは首を傾げる。
 その様子を見て、シレーナは少しだけ眉をひそめながら口を開いた。
 「ライチ君・・・前に、厨房師になるための究極奥義の書をあげませんでしたか?」
 「え・・・えと?」
 「グロボのクイズに10問連続で正解した時に、巻物をあげたではないですの。覚えていますわよね?」
 「・・・えと。」

 ライチは思考をめぐらせ・・・そして。

 全問正解!

「あ、はい! 思い出しました・・・けど、あの巻物は・・・。」
 「巻物は・・・どうしたのですか?」
 「えと・・・この間、炭に火を起こす時に・・・紙が無くって・・・えと、燃やしちゃいました。」


「えーん、シレーナさまー。もう手が限界ですよー・・・。」
 「駄目ですわよ。まだ34本しか書けてないじゃないですか。後66本よ。それだけ厨房師の究極奥義の書を書き写せば、ライチ君も覚えますわよね。在庫も少なかったですし、丁度良かったですわ。」
 「もう覚えましたー。だからシレーナさまー。」
 「だ・め・で・す・わ・よ!」
 日が暮れるまで、シレーナの部屋では泣き声が響いていたのだった。


【ライチの現在のスキル】
 料理:35.4
 醸造:13.1
 呪文抵抗:0.5
 厨房師マスタリー・・・未取得!
 (第10章 完→第11章へ続く)
 
 スペシャルサンクス→pearlJAMさん 七色

第9章 あとがき

テーマ:

さて、第9章はいかがでしたでしょうか?

Cat-walk初の前後編となったわけですが・・・落ちが一緒じゃねーかって突っ込みは、スルーさせていただきます。

ちなみに、作中に登場した料理は、実際にも作れるんじゃないかなって思って書いてみました。ええ、思っただけで、試してはいませんw

どなたか勇気とリアル料理スキルのある方、是非是非。


そして、現在のライチですが・・・ついに、ついに達成しました!!

料理40突破,醸造40突破,そして呪文抵抗突破。そう・・・ようやく、ライチは厨房師となりました。

シーフードリゾットも無事に作り上げ、厨房師ファッションも手に入れました。

いやー・・・長かった。って、ここまで育てるのに一月半かかるってのは、どうですかね?

遅い? 早い?

いや、早くはないなw


まあ、今後は厨房師ファッションでダイアロス島を駆け回ることになりますので、見かけたら一声かけてください~ノ


どうでもいい話ですが、醸造上げで作ったミックスジュース、売れない・・・・・・orz


さて、次回ですが。

次回は10回目という節目に加え、当面の目標であったレラン服もゲットしたので、気合いの入った文章を書きたいですね・・・って、今でも全力で書いてるのに、これ以上って無理w

というわけで次回予告。

「第10章 目指せ!憧れのチューボー・ファッション」

タイトル通り、厨房師までの道のりを書けたらと思います。おそらくまた前後編になると思います^^;

では、次回もよろしくお願いします~ノ

 「はあっ・・・はあっ・・・や・・・やった・・・着いた。」
 崖に身を寄せたり、岩影に隠れたり、木の後ろで立ち止まったり、川底へ潜ったり。
 イルヴァーナ渓谷の川沿いを、おっかなびっくり下流へ向けて進み、歩き。
 ようやく。
 ようやく目的地へ辿り着いた。
 小さな風車の柱を背に、ライチはペタッと地面へ座る。
 程良い風が小さな風車に吹き付け、キコキコと車軸の擦れて鳴く音が心地よく響いてくる。
 風はライチの頬を撫で、その汗をゆっくりと乾かしていく。
 ゆっくり、目を閉じ。
 呼吸を整え。
 鞄からバナナミルクとローストスネークミートを取り出して、一瞬で消し。
 クワを手にとって、立ち上がった。


キョロキョロと周りを見渡しながら、クワを振る。
 遠くでは、青い飛竜に跨ったエルガディンの兵士が、青空に溶け込むかのように優雅に飛び回っている。
 川向こうでは村を守るドワーフの兵士が、焼き尽くさんばかりの視線を辺りに向け、侵入者への警戒を怠らない。
 湖では、身体を洗いに来たのだろうか、大きなグリフォンが水を派手に撒き散らしながらバタバタとはしゃいでいる。
 一見、平和そうなイルヴァーナ渓谷。
 しかし、数分後。
 エルガディンの兵士は同じく飛竜に乗った反乱兵と激しい空中戦を繰り広げている。
 ドワーフの兵士は村へ侵入してきた不届き物の冒険者と一触即発の状態。
 グリフォンはその羽根と肉を狩りに来たハンターと一戦交えている。
 そしてライチは。
 「うわーん・・・もーやだよー、早くビスクに帰りたいよーー!!」
 畑の側に立つ廃屋の影で、弱音を吐きながら身を隠していた。
 
 「人参十個、玉ねぎ十個。これでいいよね、いいよね?」
 ライチは誰に尋ねるわけでもなくそう呟くと、足早に畑を後にして・・・イルヴァーナ渓谷をダッシュで駆け抜けた。
 勿論、誰にも見つからないよう、必死に身を隠しながら。


 背負っていた籐カゴを床に置き、中の野菜を一つずつ取り出す。
 人参、玉ねぎ。帰りがけ、レスクールヒルズで収穫したキャベツ。ネオクラングで買ってきたトマト。
 「野菜サラダに使えそうな食材って、これぐらいだよね・・・よーし、作るかな!」
 ライチははりきって腕をまくり、包丁を握った。


 【ライチの3分間クッキング!】
 (BGM希望:おもちゃの兵隊の行進)

 ①キャベツはよく洗って、千切りにします。
 ②人参も洗って皮をむいて、薄い輪切りにしてから千切りにします。塩を振って少し置くとしんなりするので、それで食べ頃になります。
 ③玉ねぎは皮をむいて薄くスライスして、水にさらします。盛りつける時はよく水を切ろうね。
 ④トマトも洗ってヘタを取り、くし形に切ります。8等分ぐらいが、一番食べやすいかな?
 ⑤見栄えよく皿に盛ったら、出っ来上っがり~!


 「出来た!」
 机の上に10皿、野菜サラダが並ぶ。どれも瑞々しい緑色の輝きを放ち、見る者のヨダレを誘発させる。
 ライチはそれをお盆に乗せると、シレーナの部屋に小走りで持っていった。
 「シレーナさま、出来ましたー!」
 「あら、ライチ君、出来たんですの?」
 献上

大きな部屋の奥の大きな机の前で、羽根ペンを片手に持ったままシレーナは顔を上げる。
 「はい、持ってきましたよー。どうします?」
 「そうね、ではここに並べてくださるかしら?」
 シレーナは眼鏡を外して引き出しに仕舞い、机の上に散乱している書類をかき集めて、スペースを作る。
 そのスペースに、ライチは皿を並べた。
 「あらあら、これは美味しそうですわね。それでは早速頂きますね。」
 シレーナはどこからともなく箸を取り出すと、まずは手前の皿を手にとって、キャベツを摘み口に入れる。
 続いて人参を、玉ねぎを、そしてトマトを口に入れた。
 「・・・美味しいですわ。」
 「本当ですか? 良かった!」
 「ええ、ちゃんと10皿ありますし、クエストは成功ですわね。上出来ですわ。」
 シレーナは箸を進め、皿を一つ空にする。そして2皿目に手を伸ばした。
 「やった! ・・・ってシレーナさま・・・あの・・・え・・・?」
 呆けるライチに構わず、シレーナは次々と箸を進める。3皿、4皿、5皿・・・。
 「うーん、人参の塩加減もいいですわね。玉ねぎも瑞々しくて美味しいですし、キャベツも獲れたてですわね。」
 そして、ついに。
 10皿目が、空となった。
 「ふうっ・・・美味しかったですわ。やはり人に作らせる料理は美味しいですわね。」
 ハンカチで上品に口を拭きながら、シレーナは満足そうに微笑んだ。
 「あ・・・あの・・・シレーナさま。」
 呆けの世界から戻ってきたライチが、恐る恐るシレーナに問いかける。
 「あら、どうしたのですか?」
 「あの・・・僕の分は・・・無いんですか?」
 「あらあら・・・もしかしてライチ君、これだけしか作ってなかったんですの?」
 「えー! だってクエストは野菜サラダ10皿じゃ・・・。」
 「何を言っているのですか? 私が食べる野菜サラダが10皿、って事ですわよ。ライチ君も野菜を食べなくてはいけないのですから・・・分かりますわね。」
 
 翌日。
 件の滝の上で。
 膝に手をつき、ハアハアと大きな呼吸を繰り返す。スタミナは尽きかけて、今にも倒れそう。
 だが、その最後のスタミナをつぎ込まんばかりの勢いで。
 顔を上げ、叫んだ。
 「シレーナさまの鬼ーーーー!! 年増ーーーー!!」
 (第9章 完)

第8章 あとがき

テーマ:

みなさん、MOEてますかー?

作者は、MOEれません・・・時間が無いんです、ゲームする時間が。

金曜日脱衣王イベントも中抜けしたし、土曜日から火曜日までほとんど出来なかったし。

あー、もー;;

特にIrisさん、申し訳無いです。折角チャット教えてもらったのに、未だに入れません。ですが、そのうち絶対に行きますので・・・。


さて、第8章はいかがだったでしょうか? Cat-Walk初の2部構成になりましたが・・・まあ、1章にまとめきれなかっただけです、はいw

ちなみに公開が月曜日になったのは、作者のせいではありませんw サーバーメンテ中で、日曜日に上げられなかったのです・・・仕上がってたのに・・・って、時間あったなら名前ぐらいチェックしなおせって話ですね、はいw


さて、次回予告です。

「第9章 野菜サラダのスリーミニッツ・クッキング」

公開は7月10日の日曜日を予定してます。

では、次回も宜しくお願いします。