「ROCK!!利根川」 エピソード2 | CASSIS Blog

「ROCK!!利根川」 エピソード2

             「星の海」

   こんばんは、菅原です
   ちょっと昔を振り返りつつ・・・


 なんとなく考えることがあります。

「生まれて初めて空を飛んだ鳥はその羽に奇跡を感じるのだろうか」と。

 僕が利根川の近くに引っ越して来る前に住んでいたのは、たまプラーザ団地の5階でした。
生まれてから小学校6年生の4月まで。少し空に近い所に居ました。そんなこともあり僕の
その頃の趣味は天体観測。「天文ガイド」という月刊誌を購入してとても楽しく読んでいました。
当時、僕の天体観測の場所と言えば僕の団地の5階の踊り場でした。風が吹けば髪を撫でて行き、
雨が降れば踊り場の中は水浸し。夏は暑く、冬は寒い。そのかわり、団地は高台に建っていたので
前面遮るものは何も無く空いっぱい星が輝いていました。そして年に数回ある流星群の観測は僕に
とってはお祭りでした。踊り場から良く見える方角で星が流れる時は紙と鉛筆を持って何時間も
落ちて行く星を数えていました。星が落ちる速さと、方角と位置を無我夢中で書き写していました。

 そんな時によく見ていた夢が、その5階の踊り場から僕はふわりと舞い上がり星の海をぐるりと
一周して下界を眺めながら再び元の踊り場に戻ってくる、というものです。空を飛ぶ夢は今でもたまに
見るのですが<美しさ>が違うようなきがします。ファンタジーな感覚も。

 夜空を渡る鳥、僕、星、・・・・とり、ぼく、ほし、・・・・とぼ、くり、ほし・・・あぁぁ、
君が僕、ぼくがきみ・・・大丈夫、僕はきみを捕って食べたりはしない、なぜって、
君はとっても美しい・・・あぁだから保障は出来ない・・・すまない、ごめんね。

 降り出した雨でふと我に返ると僕はびしょ濡れ。
 街灯に照らされた黒いアスファルトが鈍くひかって、伸びた自分の影も夜道に輝いている。

 僕は夜道にいる自分の影に輝く羽を付けたいと思った。小学6年。

 そして、僕は利根川のある我孫子にやって来ました。


            つづく