中国企業との"付き合い方" | 上海、アジア、世界、そして日本へ

中国企業との"付き合い方"

日本で隔週で発売されているCOURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)という雑誌をご存知だろうか。フランスの国際ニュース誌の日本語版で、世界中のメディアからの記事をピックアップし、政治・経済からサイエンス・環境問題・エンターテイメントまでカバーする非常に面白い雑誌である。帰国後の愛読書のひとつである(ちなみに480円)。


2月15日号は"中国が変わる"というテーマで中国の今を特集。中国の製造業の行く末や、大学生のライフスタイル、メディア規制など、最新情報を現場から伝えている。その中で"米国人経営者が教える中国企業との付き合い方"を興味深く読んだ。元々の記事はFinantial Timesのものだが、現在アジア・ネットコムという情報通信会社のCEOである米国人、Bill Barney(ビル・バーニー)がみた中国企業を伝える。この会社は以前は中国国営企業で、彼はその雇われ外国人経営者であった(その後私営企業へ売却)。


"役員会の開始時に、中国語の書類を8時間も読み上げることもあった"と述懐し、役員会はまるで共産党大会だったと言う。反面、役員会は欧米式の知識、経験や技術に強い関心を持っていたそうで、これは新しい知識を貪欲に吸収したいという中国人の実態を鋭く描写している。そんな彼が、"中国企業で成功する方法"として、外国人が中国企業を経営することについてまとめているので抜粋した。


1. 企業内のネットワークを理解すること。だれが何をやっているのか、どのように機能しているかをつかむ。


2. 一瞬たりとも、欧米の組織とは相容れないと思わないこと。ブラック・ボックスに入り込むようなものだと思う人も多いが、決してそうではない。


3. よく聞き、観察すること。中国企業に対して固定観念を抱きがちだが、欧米企業と大きく異なると考えるのは、見当違いだ。


4. 言葉の壁は有利に働くと感じた。私はマンダリンは20語ぐらいしか話せないが、通訳を通して話し合うと考える時間ができる。反応しなければならないときには助かる。


5. 反面、会議や会食でも通訳をいれてしまうと、人間関係の構築に時間がかかる面はあるので注意が必要だ。



外国企業で働く時の共通項が多いようだ。例えば彼が日本企業のトップになってもこの5項目はいずれも当てはまるだろう。その中でも重要かつ難しいのは2.だと思う。"一瞬たりとも"と言っているところが彼自身の失敗経験を反映しているような気がする。私自身は中国の欧米組織にいたので、少し意味合いは違うかもしれないが、これらのポイントは物凄く頷ける。基本的に経営はどの国でも大きくは変わらない。しかし難しいのは、僅かだが非常に大きな違いを見極めることである。日本にもカルロス・ゴーンという優れた外国人経営者が出現したが、彼の異文化を理解しようという姿勢が周囲の人間に好感を与え、経営が出来る土台となったのだろう。


Bill Barneyは最後にこうコメントしている。"結局は信用につきる。上の会社の役員たちに信じてもらえるかどうか、にね"。


【COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)】

http://moura.jp/scoop-e/courrier/