去年22年の秋ごろから再び腰が痛くなり、23年の1月8日にギックリ腰状態になり半寝たきりになってしまった。
現在は手術を経てほぼ完全に回復したが、結局9か月あまり半寝たきりの生活が続き、だいぶ地獄のような生活を送っていた。

自分なりに原因がわかっているので、この経験を忘れないためにも、そしてもし似た症状の人がいたら参考にしていただくべく、「椎間板ヘルニア日記」としてまとめようと思う。

ちなみに以下は、医者でもない筆者の個人の感想なので、同じような症状を持つ人にはうのみにせずに医師に相談することをお勧めしたい。また、脊椎菅狭窄症の場合はまた原因や治療法が異なるので気を付けてほしい。

 

椎間板ヘルニアとは

 

さて、まず、整体師さんに聞いたことだが、椎間板ヘルニアはだいたい10代~30代で発症するようで、その理由は椎間板の水分が多くゼリー状であるため飛び出すことが多いとのことだった。
年齢を重ねると椎間板の含有水分が少なくなり固形化するため、高齢での発症は少ないとのことだ。

若いうちは、飛び出た椎間板を「異物」と認識したマクロファージ(白血球の一種)が捕食してくれ、また腹筋・背筋の筋力もあるため、症状は緩和されることが多い。

この飛び出た椎間板ヘルニアが神経を圧迫するため、ひどい腰痛を感じ、また下半身に神経性のしびれの症状が出る。




https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_518.html
上記画像はNHKが示した一般的なヘルニアの症状

私の場合は下記画像のように突起物(緑の矢印)がだいぶデカい。
デカすぎて神経を圧迫している様子がまざまざとわかる。
また、長年ヘルニア持ちであったため、突起物の上部の骨が変形していることがわかる。



加えて、私の場合は、腰骨の4番と5番の間の椎間板が患部だったが、「5番腰骨と骨盤」がくっついている先天的な状態も発症に関係した可能性があると医師に言われた。
このタイプの先天性は、脊椎科に来る患者の中でも数百人に1人しかいないので、一般の人でいうと数千・数万人に1人の割合だと思われる。


https://oji-sakura.com/blog/%E8%A7%A3%E5%89%96%E5%AD%A6%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%80%80%E8%85%B0%E6%A4%8E%E7%B7%A8/

手術では、飛び出たヘルニアと変形した腰骨を削ることになった。


病歴を振り返りたい。腰痛を繰り返している人も多いと思うが、個人的には根本治療(手術)を薦める。

 

 

病歴・時系列

 


14歳、中二で発症
  2年ほど体育の授業を欠席し、毎日のように整骨院に通いけん引や超音波等の治療を行う
  運動ができなくなったおかげでギターを弾き始めるようになる(ヘルニアのおかげでプロのミュージシャンになることができたともいえる笑)

高校に入学する頃にはだんだん症状が緩和され、高校卒業後はオーストリアで平然とサーフィンをしていた。

・その後はほとんど症状なし(マクロファージの働きと筋力があったためだと思われる)。

・プロのミュージシャンになり25歳くらいから音楽だけを生業としていたので、この頃からコンピューターの前に座って作業をし続けることが多くなる。 *座り続けの生活習慣が非常に良くない

30歳くらいで再び腰痛を覚えるようになった。

35歳くらいで下半身のしびれ(椎間板が飛び出したことにより神経を圧迫することで出る症状)が出るようになり、酷い時には歩くこともままならない状態になったが、整骨院などに通い数か月で痛みが緩和する。
 症状が重くなったり軽くなったりを繰り返す。

・2017年(42歳)に初めてまったく動けなくなるギックリ腰に。
 激痛のため寝返りをうつのに5~10分かかり、トイレに這って行くのに30分かかるという状態になる。
 半寝たきりで左足のつま先まで神経性のしびれと疼痛を感じていた。
 安静が必要とされたため、病院では痛み止め的なシップや内服薬を貰うのみで、基本的には自然治癒にまかせた。
 3か月ほどで症状が緩和していき、杖をつきながら外出可能に。6カ月ほどでほぼ完治する。

 症状が重い場合は、腰を揉むなどで筋肉の緊張をほぐしてもあまり意味がない。
 症状が緩和したのは、やはりマクロファージが突出した椎間板ヘルニアを食べてくれたためで、症状が全くなくなったわけではなかった。その後も軽い症状は出ていた。

22年の春頃、えげつない痛みが再発しだした。
 秋には座っていることもつらくなっていた。

23年1月、お泊りに来た甥と姪(小中学生)の相手を全力でした結果、再びギックリ腰に。
 最初の2週間~1か月は寝返りに5~10分かかり、トイレに這って行くのに30分かかるというほぼ寝たきり状態だった。
 しかし「今回も3か月ほどで治癒に向かうだろう」と気長に考え、寝たり座ったりの生活をしていたが3か月が経っても治らない。

4月くらいにかけて若干、症状が改善していたように感じたが17年の発症時と何かが違った。
 それでもこの頃は、杖をつきながらDJもやっていた。(1時間とか2時間立ち続けることは不可能なのでイスに座りながら)
 なんと、痛み止めを飲みながら大阪や新潟にも遠征に行った。

6月、回復に向かっているだろうと認識していた症状が激変し、再びほとんど立てなくなる。
 以降もほとんど良くならず、どうにかして歩いても歩行速度は分速20メートルにも満たない状態になった。
 発症した1月から手術をした8月までの9か月間、ほとんどの期間、20メートル歩いたら1分ほどは座って休憩が必要なほどの激痛が伴った。これは「疼痛(とうつう)による間欠性跛行(かんけつせいはこう)」という現象で、腰痛と神経痛のために連続して歩くことが困難になる症状だ。
 左足だけではなく、左下半身全体(腰・臀部からつま先まで)が痺れ、凄まじい疼痛を伴った。
 買い物などのためにどうにか杖をつきながら外出するが、信号の青信号が点灯している間に横断歩道を渡り切れないほどの遅さで、普段は歩いて5分ほどのスーパーに行くのに30分は要するほどだった。

23年7月、あまりの激痛と日常生活の困難さに疲弊し、手術を決断。8月にオペを行う。

 

 

 

 

手術


手術を考えている人は、下記フローが役に立つ。


https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_520.html

3か月を超えてもあまり座れない、歩けないなどの症状が続いた場合は、マクロファージがヘルニアを「異物」と認識しない状態になり、捕食の行われなくなったタイミングであるため、手術を考えるべきだということみたいだ。
基本的に薬物治療は、「痛み止め」であるため、根本治療にはならない。


私の場合は、全身麻酔をする「内視鏡下ヘルニア摘出術-MED法(https://medicalnote.jp/contents/180717-010-CC)」を選択した。
背部を1.5cmほど切開して外筒管を刺し入れ患部を削るといった方法だ。

手術時間は約1時間ほどで、1週間ほどの入院が必要になる。


私の場合、手術後は速攻で症状が改善した。
「成功率90%」という医師の話に悩んでいた自分がバカみたいに思えるほど劇的に改善し、痛みもほぼない。
手術室に入り全身麻酔を行った後は記憶がなくなり、いつのまにか病室のベッドで寝ていた、くらいの感覚だった。
(麻酔から覚めかけに意識の確認のため、看護師さんに声をかけられるが、なぜか英語で返答をしていた笑)

痛み止め薬のおかげもあり、術日も次の日もほとんど痛みがない。そればかりか、ヘルニアの症状がウソのようになくなり、痛みの感覚も術前より大幅に軽減されたため気分が晴れる。

手術費用は、年収と保険適応状況にもよるが、15万円以下だ。

削り取った患部を見せてもらっが、小指の爪の大きさの半分くらいで、「こんな小さなもののおかげであれほどの症状が出ていたのか」と信じられないくらいのサイズだった。


術後の23年9月には、間欠性跛行(歩行中に座って休む)が起こることなく、連続で1時間歩行可能になった。
23年12月、現在に至る。ほぼ全快である。
1年近く半寝たきりで、太ったため、筋トレに勤しんでいる。

長いことヘルニアを患っていて神経が損傷してしまったため、後遺症は残っている。
片足の甲と裏が痺れている。1年ほど経過を見て軽減されなければ一生残るということだ。
後遺症が残る確率を低減させるためにも、手術は早めに決断したほうがいい。

 

原因


重度のヘルニアになると、腰痛や疼痛もえげつないが、「治らないかもしれない」という思いと日常生活の困難さから鬱状態になる。
17年に発症した時も本当に鬱々とした気分になったが、21年の秋ごろから再発と不治への恐怖で鬱状態になった。

覚醒している間はずっと激痛で、横になっても痛みが少し緩和される程度、眠っても痛みで2時間ごとに目覚める。
こんな「拷問」を何カ月も受けたら鬱にもなる。

30分と座り続けることができないので、寝ながら仕事をすることになるし、軽い作業しかできない。
思考が常に痛みで支配されるため、複雑な思考が続けられない。これもまた鬱化を促す。


手術を受けたあと思うことは、「早く手術してればよかった」である。苦しみを無駄に長引かせてしまったという後悔がある。


さて、ヘルニアの原因はひとそれぞれだが、私の場合は先天的な腰骨の異常に加え、生活習慣がもっとも大きいと自覚している。

仕事がら、ずっと座り続ける。特にあぐらが良くない。

ヘルニア持ちの人ならなんとなくわかるだろうが、イスに長時間座るのがキツイため、イスの上で片立膝になったりあぐらになったりすることで、痛みが軽減されると感じることがある。
しかしこれらは悪手と思われる。

イスの上でこんな姿勢になってる人も多いと思うが、やめたほうがいい。


人間は、立っている状態がもっとも腰に負担がかかりづらい。

立位状態の次にカウンターチェアのように、深く腰掛けないタイプのイスが良いとされる。

身体がもっとも「L字」に曲がり前かがみになる、あぐらが一番良くない。

この前かがみの状態が椎間板を圧迫し、後方へヘルニアを突出させる原因となる。


前屈姿勢に近い状態をずっと続けるから、ヘルニアが後方にとび出てしまう。


そして適度な運動が大事だ。骨や筋肉が鍛えられ、バランスが保たれる。
バランスが崩れた時に病気になる。

 

障碍を持つことへの差別


調子の良い時は杖をつきながら電車に乗ることもあった。
興味深いことに、優先席の前に立っても7/10回は席を譲ってもらえない。
(最初にこの状況に遭遇した時に驚いたため数えていた)

優先席に座る健常そうな若者の目前30cmくらいでワザとらしく杖をカタカタやっても、彼らは絶対に譲らない。

皆さんは信じられないだろう。私も最初は信じられなかった。

しかし、私はふと思いだした。
「日本人は世界で最も弱者に厳しい」とのデータがあることを。

 

このことを、私自身の実証研究でもガチであることが証明できたという思いだ(サンプル数は少ないが)。
日本人は経済だけでなく、性根の部分もおかしくなっている。というか性根がおかしくなっているから経済も政治も腐っているのかもしれない。


一年近く、障碍者のようになってわかったこともある。

ガチで生まれながらの障碍者の方たちがどんなに苦労してきたことか。
社会から無視され、片隅みに追いやられ、それどころか社会から疎まれさえすることにどんなに傷ついてきたか。
障碍を負っていても生きやすいインクルーシブな社会でなければいけない。

こういう感覚は忘れないようにしておきたい。


以上、椎間板ヘルニアの経験に関する備忘録だった。


cargo



 

 

 

 

 

 

 

本記事は前回の続きだ。前回はユニクロ柳井氏のような経営者たちがマスコミの誤った経済報道に騙された結果、トンチンカンな処方箋を提示しているだろうことを指摘した。

 

【目次】
①日経「国を誤る積極財政の声」
②国の借金は、税金で返済されていない
③「需給ギャップ」というデタラメ指標
④経済安保と連合発表の「賃上げ」の実態
⑤日経「企業を淘汰すれば生産性が上がる」
⑥日経「投資減税で設備投資額が増えた」
⑦日経「消費減税すれば人口減少社会の財源が失われる」

今回は、実際の日経の記事から引用し、間違いを指摘していこう。

 

 

①日経「国を誤る積極財政の声」
・・・・・・・・
日経新聞「国を誤る積極財政の声」
大機小機 2023年10月14日
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO75272270T11C23A0EN8000/
【抜粋】
…自民党の「責任ある積極財政を推進する議員連盟」が近年の税収増を念頭に、消費税減税や大規模財政出動を提言した。
このグループは、日本の財政状況は破綻寸前とか、国債は国民の納税で返済すべきだ、などの常識は誤りだ、という趣旨の考え方を明らかにしている。

…日本経済は需要不足で財政出動すべき状況なのだろうか。日銀推計などでみると、いまはほぼ需給が均衡した状態だ。

…今春闘で明確になったように勤労者の賃金が上がり始めた。中国の労働力に依存してきた企業がサプライチェーン見直しなどの理由で国内回帰に動いている。労働需給がタイトになってきた

…本紙は9月下旬、企業の労働分配率はほぼ半世紀ぶりの低さだと報じた。賃上げ困難な企業は淘汰されざるを得まい。こうして経済全体の生産性が上昇する。

…沈滞していた企業の設備投資も、本社などの調査によると約30年ぶりに活発に動き出す気配だ。
…温暖化をはじめ差し迫った地球課題に向けた技術革新競争はこれからだ。岸田文雄政権はこの分野で大型の投資減税策を打ち出しているが、長期的視点に立った適切な政策選択だといえよう。

…将来人口が減少し高齢化が進む中で持続可能な社会保障制度をいかに構築するか。ただでさえ先進国最悪の財政状況で、財源をどう確保するのか。
「税は国家なり」ともいう。目先の選挙対策で恒久財源であるべき消費税を減税すれば、国家の大計を誤ることになろう。
・・・・・・・・


経済クラスタなら、上記がほぼ全て間違っていることがわかるだろう。本当に酷い認識だ。
この駄文に一つ一つツッコミを入れていこう。

 

 

②国の借金は、税金で返済されていない
・・・・・・・・
日経:
…自民党の「責任ある積極財政を推進する議員連盟」が近年の税収増を念頭に、消費税減税や大規模財政出動を提言した。
このグループは、日本の財政状況は破綻寸前とか、国債は国民の納税で返済すべきだ、などの常識は誤りだ、という趣旨の考え方を明らかにしている。
・・・・・・・・

政府負債(国債)は、国民が納税で返済すべきものでもなく、政府でさえも実際に返済していない。
自民党の積極財政議連に言われるまでもなく、財政学の常識だ。




【参考】▼財務省「国の借金は、税金で返済していません」 ~国債を償還する必要はない
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12806259332.html

 

 

③「需給ギャップ」というデタラメ指標
・・・・・・・・
日経:
…日本経済は需要不足で財政出動すべき状況なのだろうか。日銀推計などでみると、いまはほぼ需給が均衡した状態だ。
・・・・・・・・

日経は「需給が均衡した状態」としているが、完全に誤っている。

内閣府や日銀が公表している「需給ギャップ(GDPギャップ)」ははっきり言ってデタラメだ。
下図のように、双方の指標が大きな開きがあることからもわかるように、算出方法によって数値が異なる、極めていい加減なものなのだ。



さらにこの二つの指標は竹中平蔵工作員が導入した「平均概念」に基づいている。
「平均概念」がいかに実態を表さないのか(必ず数値が低く出る)は、れいわ新選組の櫛渕議員が端的に説明してくれている。


デモクラシータイムス出演時の櫛渕氏の発言

真の意味での「需給ギャップ」はこうなる。


これが日経が「需給が均衡している」と評した我が国の実態だ。


ご覧の通りG7で一人負け状態。我が国だけがコロナ前に戻っていない。
需給が均衡していたなら少なくともコロナ前のGDPを上回っていないといけない。

結局、日銀・内閣府公表のデタラメ「需給ギャップ」に基づいた「需要が供給を逼迫しインフレになりそうだから支出や減税をすべきではない」という認識はまったくの誤りであり、デマンドプル・インフレにもなり様がないということだ。

 

 

④経済安保と連合発表の「賃上げ」の実態
・・・・・・・・
日経:
…今春闘で明確になったように勤労者の賃金が上がり始めた。中国の労働力に依存してきた企業がサプライチェーン見直しなどの理由で国内回帰に動いている労働需給がタイトになってきた。
・・・・・・・・

賃金が上がり始めたことは確かだが、その実情は楽観視できるものではない。
実質賃金は18カ月連続で減少しており、物価の上昇に比して賃金は上がっていない。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231107/k10014248921000.html

加えて、マスコミが賃上げや春闘の話題の際によく使用する「連合」公表の賃上げの数値にもトリックがあることを指摘しておこう。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA04D8A0U3A700C2000000/
上図は連合傘下の組合に加盟している企業だけの集計だ。日本の組合組織率は16%程度(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0701_01.html)しかなく、そのうちの連合傘下のみのごくわずかな対象の数値ということになる。
つまり零細企業の賃上げ率などは反映されないのだ。

また、日経いわく「企業がサプライチェーン見直しなどの理由で国内回帰に動いている」とのことだが、本当だろうか。
下図のような劇ショボ経済安保政策で国内回帰が進むとは思えない。

【参考】▼メイドイン・ジャパンを政府が買え! ~れいわ新選組の「インフレ対策」こそが正しい③
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12749628590.html

日経が褒めたたえる岸田の経済安保政策は、バイデンの経済安保政策と比べて金額で10分の1レベルである。


▼米国1036兆、日本101兆 財政支出額(コロナ禍以降) 
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12801166308.html

半導体に限ってはアメリカの30分の1規模で、まさに始める前から終わっているのが岸田の経済安保である。


コロナ禍からの復帰過程にあり人手不足ではあるが、それは賃金が足りないことも同時に意味する。
https://news.mynavi.jp/article/20230219-2595039/
https://www.persol-group.co.jp/service/business/article/337/

 

 

⑤日経「企業を淘汰すれば生産性が上がる」
・・・・・・・・
日経:
…本紙は9月下旬、企業の労働分配率はほぼ半世紀ぶりの低さだと報じた。賃上げ困難な企業は淘汰されざるを得まい。こうして経済全体の生産性が上昇する。
・・・・・・・・

不況が拡がり、倒産件数が増えている。
10月の企業倒産数は、19カ月連続増(商工リサーチ)となった。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023110900859&g=eco
人材確保のための賃上げを迫られる一方、円安や物価高が重い負担となり、全産業で倒産件数が前年を上回ったという。

倒産した企業業種は建設や卸売り、製造業が多かったようだが(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/tousan/index.htm)、下図は休廃業の多かった業種となり詳細にデータがある。
日経に言わせると、建設や卸売り、製造業が倒産し、旅行代理店業や化粧品卸売業、新聞小売業などは休廃業が増え、淘汰されたので生産性が高まったということだ。
バカじゃなかろうか。

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230106.pdf

日経の記者の脳内では、業績が悪く生産性が低い中小企業が淘汰されればスケールメリットが効いて生産性が上がるというお馴染みのロジックが正当化されているようだ。
しかし、大企業の生産性が高いのは、生産性の低い仕事を中小企業に押しつけ、その上澄みを大企業がかすめ取っているからに他ならない。
生産効率の悪い仕事を引き受ける中小企業がいなくなったら、一体誰がその仕事を請け負うのだろうか。
https://newspicks.com/news/340410/body/

また、日経記者の脳内では、淘汰され失業者となった人達が失業した次の日には生産性の高い大企業に再就職できるとでも設定されているらしい。
そんなことが起こり様もないことは、社会人であれば誰もがわかるだろう。

人々が職を失い苦しんでいても「生産性が上がるので淘汰されてもしかたない」と考えるのが日経のサイコパスおじさん達だ。
マクロ経済以前に幼稚園からやり直すべきだろう。

生産性に関しては、過去に散々論じてきたのでぜひ参考にしてもらいたい。

【参考】▼菅政権の「中小企業淘汰」政策 まとめ(保存版リンク集)
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12673250506.html

 

 

⑥日経「投資減税で設備投資額が増えた」
・・・・・・・・
…沈滞していた企業の設備投資も、本社などの調査によると約30年ぶりに活発に動き出す気配だ。
…温暖化をはじめ差し迫った地球課題に向けた技術革新競争はこれからだ。岸田文雄政権はこの分野で大型の投資減税策を打ち出しているが、長期的視点に立った適切な政策選択だといえよう。
・・・・・・・・

設備投資に関してだが、コロナ前を取り戻したに過ぎないと言える。

まずは下図をご覧いただきたい。


https://www.dlri.co.jp/report/macro/241192.html

大企業に限っての増減率は下図の通り。

https://www.dbj.jp/investigate/equip/national/detail.html

上の二つの図では設備投資額が激増しているように見えるが、23年は予想値(計画値)だ。
実際は、23年4~6月期、および7~9月期の設備投資額は、ともに2期連続の減少となった。
上図では23年予想が右肩上がりに出ているが、実際にはより低くなり、結局はコロナ前に戻る程度にしか回復しないだろうということだ。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023111501193&g=cyr

日経新聞が褒めたたえる岸田の投資減税は、結局いままでやってきた施策と変わりない。
これは、賃金を上げた企業にはちょっとだけ法人減税するといったものだが、効果を発揮したとは言えない。
https://diamond.jp/articles/-/287780

【参考】▼経団連のおバカ提言に反論します。
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12820394084.html

 

 

⑦日経「消費減税すれば人口減少社会の財源が失われる」
・・・・・・・・
…将来人口が減少し高齢化が進む中で持続可能な社会保障制度をいかに構築するか。ただでさえ先進国最悪の財政状況で、財源をどう確保するのか
「税は国家なり」ともいう。目先の選挙対策で恒久財源であるべき消費税を減税すれば、国家の大計を誤ることになろう。
・・・・・・・・
日経新聞いわく「消費税は恒久財源」とのことだが、不況でも、そして病人や子供からも搾り取る消費税は破滅的な税制である。
これは欧州のVATの性質とは大きく異なる。租税の応能負担原則から大きく逸脱し、ビルトインスタビライザーを破壊するものだ。

また、消費税収は社会保障財源にはほとんど使われていないため、減税によって財源がなくなるというのも与太話でしかない。
下図の内容は参院の財政金融委員会で財務官僚が事実であることを認めている。


個人消費は、GDPの6割を占める日本経済のエンジンであるため、消費を温めることこそが経済安定のための常道である。
しかし目下の消費支出は7ヵ月連続マイナスだ。消費を後押しするには消費減税が直球の答えとなる。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA06BRO0W3A101C2000000/


景気対策としての消費減税は世界の常識だ。

上は10%増税直前のノーベル経済学者たちの警告。


そして日経は、消費税をより多く取って緊縮財政により財政を健全化させようという認識のようだが、バカも休み休み言ってほしい。

米国の元財務長官・ハーバード大学学長のローレンス・サマーズやその他の実証データでも「債務を減らそうと努力すれば努力するほど、逆に債務が増える」ことが示唆されている。これも世界の常識だ。
 

これまで検証してきたように、日経新聞の言うことはほぼ全てが間違いであった。
書いてあることの90%が間違ってるというのは、ドラえもんで言うとのび太のテストの答案用紙レベルのゴミだということだ。

こんな便所紙新聞を真剣に読むとバカになるとこは言うまでもない。

マスコミというものは、スポンサーである資本家のための提灯を持つためにのみ存在している。

皆さんも、周りで日経新聞で読んだデマ知識をもとにご高説を垂れているような人がいたら「かわいそうな人」だと同情してやってほしい。


以上。

cargo

 

 

 

日経新聞を読むとバカになる。
というか、「マスコミのプロパガンダを鵜呑みにすると事実認識を誤る」とでも表現したほうがよいだろうか。

社会的地位の高い人間ほど、マスコミ報道をそのまま信じてしまい認識を誤るようだが、なぜ企業にスポンサードされる新聞や雑誌が事実を報道すると思い込むのか、私には不思議でならない。
紙面に書いてあるのは、資本家を喜ばせるための広告でしかないのだ。

資本家が喜ぶことというのは、たいてい経済を悪化させる。
 

 

ユニクロ柳井氏の大きな錯誤

 

 

先日、ユニクロの創業者柳井氏がタイム誌の表紙を飾り、インタビューで「日本人は目を覚ませ!」と息巻いていたが、彼もまた日経新聞をはじめとするマスコミのプロパガンダの犠牲者であることが伺える。

 


ツイートでは文字数の関係上雑な表現になったが、より正しく表現するなら「ダメ経営者」と言うより、経営者としては有能かもしれないがマクロ経済の知識がまるでない大本営日経新聞の犠牲者といったところになるだろう。

記事から柳井氏の所感を抜粋する。

 

・・・・・・・・
日本の財政赤字問題や賃金が上昇していない状況、低い生産性についても「日本の公的債務はすでにGDPの264%に達して世界最高となっている、1990年から2019年にかけて、名目賃金(インフレ調整なし)は米国の145%と比べて4%しか上昇していない。生産性はG7の中で最下位で低迷している」

…日本政府に対し、1億2500万人の国民が気づかぬうちに大惨事に陥るのを防ぐため、金利引き上げ、給付金のカット、抜本的な規制の変更などの積極的な措置を講じるよう求めた。

…日本の遅れや欠点についても、「世界に進出してもっと積極的にならなければ、日本人に未来はない」

…「近年、現状に満足しきっている状況や保守的なリーダーシップ、熾烈な競争により、日本のブランドは遅れを取っている」とし、スタートアップ投資が米国ではGDPの0.64%、イスラエルでは2.61%であるのに対し、日本はわずか0.08%という点も指摘している。
・・・・・・・・


タイム誌の本文も確認したが、このヤフー記事の記述に齟齬はないようだ。
ヤフー記事では「給付金のカット」と訳されていた部分の原文は「Handouts」で、これは「施し」とか「バラマキ」とも訳せるだろう。

要約すると、冒頭のツイートに記述したように、柳井氏は30年の不況を、膨大な公的債務で借金漬けなのに、賃金も生産性も低いと分析し、その処方箋を利上げ、給付金(バラマキ)の削減、規制緩和とした。

まずツッコミが入れられるのは「膨大な公的債務で借金漬け」という認識だが、もちろんこれは正しくない。
国債とは、政府にとっては、返さなくてもよい負債だからだ。もちろん我々国民が返すものでもない。

ノーベル経済学賞受賞者のクルーグマンはこう発する。

【参考】▼財務省「国の借金は、税金で返済していません」 ~国債を償還する必要はない
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12806259332.html

文章があまりに短くて彼の意図は正確にはわからないが、文脈を読み解くと、おそらく彼はこんな風に間違った理解を持っているのではないだろうか。

①国債を多発しても低賃金も低生産性も解決しない
②不景気で低賃金になったから、利上げすべきだ。
③政府債務が増えすぎて財政は崖っぷち。原因はバラマキ(給付金や社会保障?)のせいだから、バラマキをやめろ。
④賃金が低く、企業の生産性が低いのは規制が厳しいせいだから規制緩和すべき

一つ一つ何が間違っているのか指摘していこう。

 

 

 

①国債を多発しても低賃金も低生産性も解決しない


国債をたくさん発行しているはずなのに、賃金も伸びず経済成長しない理由は、ランダル・レイ教授の言葉を借りれば以下の通りとなる。

・・・・・・・

レイ教授:日本は景気後退に直面した際には一時的かつ十分ではない財政刺激策を行い、景気が回復し始めると思われるときには必ず緊縮財政を行うという、ストップ・ゴー型の財政措置を一貫して選択してきた。
これを赤字と債務が大きすぎるという信念によって正当化した。
…日本が大きい赤字と債務を抱えているのは、積極的な財政政策をしたためではなく、積極的な財政政策をしなかったためである。

【参考】▼少子高齢化は問題じゃない。レイ教授に教わる日本の「Stop-Go-Stop政策(ドケチ財政)」
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12664539224.html
・・・・・・・


加えて、2001年以降の新規国債発行額を見ると、「日本は国債をたくさん発行してきた」という印象も逆転するだろう。
国債発行額を抑え、緊縮財政を行ってきたことが事実だ。




きちんとしたデータも見ずにマスコミの誘導に騙されてしまっているのが日本のトップ経営者の姿だ。


また生産性に関してだが、生産性は主に少ないインプットで多いアウトプットを創出できる度合のこととなる。
この生産性にはいくつもの種類があって、主に新聞等に使われるのは労働生産性[=付加価値÷労働者数(または時間あたり労働時間)]となる。
式の分子の付加価値には賃金も含まれるため、給料が上がればおのずと労働生産性も高まる
そう、企業経営者が従業員の給料を上げれば労働生産性が上がるのである。

また、生産性には「TFP(全要素生産性)」というものもあるが、これは需要の影響を加味せず、労働投入量と資本投入量のみから導き出す。

労働生産性とTFP双方に言えることは、政府が支出し適切な需要を創り出し好景気にすれば、生産性が上がるということだ。
無駄の削減や効率化、合理化、時短などでダイエットしても限界がある。

誤解を恐れず簡単に言えば、「国債を多発すれば、低賃金も低生産性も解決する」のである。

以下は政府支出(国債)を出せば出すほど労働生産性が上がるとするグラフとなる。



▼スガ首相のブレーンのアトキンソン氏に反論します。③ ~詐欺グラフを看破!
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12667976795.html

国債を発行し政府支出し、「需要を高めれば生産性が上がる」とは現財務長官のイエレンの発言である。

 

 

②不景気で低賃金になったから、利上げすべきだ


タイム誌の記事を読むと、柳井氏が低賃金の原因を低金利だと分析したような内容になっているが、ちょっと意味不明だし、彼がなぜ「利上げすべき」と言ったのか理由がよくわからない。
しかし、これがもし円安・インフレ是正のためであっても利上げすべきでないことは確実だ。

これはノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ教授がしっかり説明してくれているので参考にしてもらいたい。
スティグリッツは、利上げすれば住宅・不動産関係の金利にまで影響を与え経済が滞るし、利上げの影響で資本家が消費者に価格転嫁を行い、逆にインフレが進むことすらありうるとし、処方箋として金融政策ではなく財政政策を提示した。

【参考】▼21世紀のインフレ対策(利上げしない!的を絞った財政支出!) まとめ
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12804291073.html

 

 

③政府債務が増えすぎた原因はバラマキ(給付金や社会保障?)のせいだから、バラマキをやめろ。


無駄な社会保障費などを削減して債務の縮減に勤めろということだろうが、これは間違っている。

米国の元財務長官・ハーバード大学学長のローレンス・サマーズやその他の実証データでも「債務を減らそうと努力すれば努力するほど、逆に債務が増える」ことが示唆されている。

 


これは、新自由主義者らが陥る基本的な罠だ。

 

 

④企業の生産性が低いのは規制が厳しいせいだから規制緩和すべき


これもまた新自由主義者が陥る典型的な誤解だ。
規制緩和して供給量を増やせば過当競争が始まりデフレ化圧力になるばかりか経済に悪影響をもたらすことは常識である。

たとえば、「大企業のために規制緩和してもトリクルダウンはしない」と元々ネオリベだったバイデンにさえ完全否定されている。



スティグリッツは規制緩和すると逆に需要を弱め、GDPを低下させうると説明する。
供給側を強化したからといって、困窮する国民の購買力が上がるわけではないし、モノが売れるわけでもないのだ。

【参考】▼経団連のおバカ提言に反論します。 その2
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12823231065.html


引用したヤフー記事の最後のほうの「スタートアップ投資が少ない」とする部分だけは正解なので、その点だけは評価したい。

上記の経団連記事にも書いたが、投資をしないから賃金も労働生産性も上がらないのだ。



しかしスタートアップ企業だけを支援したのでは唯のトリクルダウンになりかねないので、それだけではなく、全般に支援すべきだということも念押ししたい。

【参考】▼経団連のおバカ提言に反論します。
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12820394084.html


上述してきた柳井氏の誤解は、反緊縮派であれば、日経新聞や朝日新聞、週刊エコノミスト、プレジデントなどの紙面でウンザリするほど散見されてきた典型的な誤りだと気づくだろう。

大企業の経営者がいい年をして、このような典型的な誤りを持ち続けているのだから頭が痛いし、日本の将来が心配になる。
多くの人にはぜひ反面教師にしてもらいたい。

さて、次回は、実際の日経新聞の記述を正していく。
多くの場合の、経営者やビジネスパーソンが持つ誤解の源泉が「資本家の犬」であるマスコミだ。

ではまた次回。


cargo

 

 

先日9月20日に、経団連の十倉会長が「消費税増税から逃げてはいけない」と発言し大炎上しました。
人々からは「国民を殺す気か」「法人税増税から逃げるな」との声があがっています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/de7b3ed3941b40cc6778a9d528ec72a4c7b27e03

上記FLASHの記事では「税を含めて一体的な改革をしなければ、日本の社会保障制度はもたない」と強調したとありますので、十倉氏が真正の経済ド素人であることがわかります。


さて、前回記事の続きに移ります。

【前回記事】▼経団連のおバカ提言に反論します。   2023-09-14

 

経団連のおバカ提言は、「令和6年度税制改正に関する提言」と「2023年度規制改革要望」の二つに分かれており、メディアで話題となったのは前者のほうのみです。
https://www.keidanren.or.jp/policy/

前回は「令和6年度税制改正に関する提言」を扱いましたので、今回は後者の「2023年度規制改革要望」にツッコミを入れていきましょう。

・・・・・・・
Policy(提言・報告書) 産業政策、行革、運輸流通、農業
「2023年度規制改革要望」 ―日本経済にダイナミズムを取り戻す―
2023年9月12日 一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2023/061.html

【概要】
https://www.keidanren.or.jp/policy/2023/061_gaiyo.pdf

【本文】
https://www.keidanren.or.jp/policy/2023/061_honbun.pdf
・・・・・・・

まずは【概要】部分から。
下記画像は概観といったかたちです。


大きな問題は、やはり「規制緩和」という邪神に対する熱き信仰心でしょうか。
90年代にはすでにこの手のサプライサイド経済学は「ブゥードゥー経済学」としてバカにされてきたのに、いまだにバカなことを言っています。

そしてここでもまた「成長分野の振興」という「選択と集中」や「トリクルダウン」の名を変えた愚策も見えます。



「大企業のために規制緩和してもトリクルダウンはしない」と元々ネオリベだったバイデンにさえ完全否定されているのに、経団連は40年以上前の経済学の流行りを信じ切っています。宗教って怖いですね。

「文鮮明はキリストの生まれ変わり」と信じる統一教会みたいなもんです。

なぜ(不完全雇用時に)何でもかんでも規制緩和してはダメなのか
基本的な考え方もお伝えしておきます。




参考:「改革して生産性を上げても給料は増えない」~新自由主義者の間違い【下】
2020-07-21 
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12612426911.html


さて、経団連提言の【本文】部分も見ていきましょう。



「規制・制度の中には、技術進歩や経済社会の変化に迅速に対応できず、GXやDXを阻んでいるものがいまだに存在する。…時代にそぐわない規制・制度をスピード感をもって不断に見直していく(p.5)」とのことです。

確かにそういう規制も存在するでしょう。
例えば[p.17]で示される「洋上風力発電の作業船の活用に向けた規制緩和」などは勘案すべき事項かもしれません。

しかし、続いて「人手不足が深刻化している産業の課題解決へのデジタル技術の活用や、デジタル完結が進んでいない手続の改善に向けた規制を変革し、DXを推進していくことが求められる。(p.6)」とあります。
「人手が足りないからデジタル化を進めれば人手不足をカバーできる」というロジックですね。

デジタル化は進めるべきでしょうが、しかし供給側を強化したからといってモノが売れるというわけではありません。
需要側が疲弊してるのに、一体誰がデジタル化で供給を増やしたモノやサービスを消費するのでしょうか。

上掲した画像でスティグリッツが指摘したように「適切な需要が伴わないと、供給サイド改革はGDPを低下させえる」のです。
経団連のおバカ提言には一貫してこのような需要サイドの視点が欠けています
というか、30年間同じ間違いを続けてきて、まだその間違いに気づいていません。


同じ[p.6]にはこうあります。

要するに「イノベーションを起こして成長してから分配だ!」という話です。
バカなんでしょうか。
需要が足りず、給料が上がらず、経済成長しないから分配が滞ってるんですよ。
イノベーションを起こしたら人々の購買力が増えるんでしょうか?(笑)
まずは「分配が先」で、話はそれからです。
 


例えば米中に比べて圧倒的に劇ショボなのが日本のデジタル投資額です。投資をしなきゃ需要は生まれず、成長も分配も起こりません。
米中は投資こそが需要とイノベーションを生み出すのだと理解しています。
一方で経団連は経済学の基本中の基本「有効需要の原則」を理解していないため、提言も明後日の方向を向くことになります。

政府だけでなく企業側も、自分達はまったく投資しないでいて「イノベーションで経済成長!」なんて考えはやめた方がいいです。

*上記の設備投資増減率は対GDP比



また、[p.8]では、公共サービスの民営化が薦められています。これも需要を減らす向きで作用します。


世界中で失敗が明らかになっていることを、30年間変わらずまだやろうとしているんだから、このカルト宗教の信仰心には頭が下がります。

スティグリッツ先生も民営化の正体を下記のように指摘しています。


経団連が民営化を推し進める理由は、利権を手に入れたいためであり、今回のような提言も要するに「我田引水のためのお為ごかし」です。

そしてその民営化の効用に関しては「これらを効率化できれば、地方公共団体の事務処理の迅速化と負担軽減に大きく貢献する[p.8]」、「これにより、地方公共団体サービスを維持したまま組織のスリム化と業務効率性向上が図られる[p.8]」、「地方公共団体における事務負担の軽減に向けて、改めて対応を求める[p.8]」と続きます。

しかし、デイヴィッド・グレーバーの「ブルシット・ジョブ」でも指摘されるように、また、実際に規制緩和すると、緩和された規制を規制するルールがむしろ増えることがデータから明らかになっています。
事務負担を軽減」するどころか、逆に負担を増大させることもあると言えます。
 


そしてたとえ「組織のスリム化」や「業務効率性向上」、「事務負担の軽減」に成功したとしても、それは、ただ実体経済に対する供給貨幣量を減少させる結果に繋がるだけになります。需要を減らす向きで作用するということです。

我が国はすでに公務員数も公共事業額もかつてより半減し、総雇用者数あたりの公務員数はフランスの4分の1、あのネオリベ国家アメリカの3分の1程度にまで減り、世界一ともいえる「小さな政府」になり果て、世界が「Japanification」と反面教師にするほどの低需要国になりました。

 


公共事業関係費の推移

経団連のように「経営者目線」で行政の業務を考えると、このようなトンチンカンな発想に拘泥するようになってしまいます。


[p.9]では、役員の自社株保有を奨励しています。


「自社株買い」を奨励することは、貨幣流通を実体経済から離れさせ金融市場に向かわせることであり、「金融不安定化」にも繋がり、格差拡大を助長します。

元財務長官のライヒが言うように、企業役員が自社株買い(Buyback Stock)で得たお金は従業員には還元されません



出所:落合貴之議員(立憲)

 
労働者が稼いだ利益は、株主配当と役員報酬に消えていきます。


そして儲かる、儲からないに関わらずやってはいけないのが環境破壊です。
[p.17]では「保護林でソーラー発電させろ」と要求しています。


これではまったくGx「グリーン・トランスフォーメーション」ではありません。
SDGsのスローガン「誰一人取り残さない」や、「2050年までのカーボンニュートラル」誓約における「公正な移行」を無視するのが経団連スタイルです。
「グリーン」の名を騙るまがいものと言えるでしょう。


この他にも提言には、「副業・兼業における労働時間規制を緩和して増やせ」、「家族の介護をする労働者のために深夜労働の規制を緩和せよ」、「運送業が人手不足だから荷台連結トラックを解禁せよ」などと綴られています。

いやいや、その前に労働者の報酬を増やせよとしか言えません。  
彼らは大企業の利権を増やし、労働者には「労働凄惨性」を高めるためのお為ごかしの方策を押しつけようとしているに過ぎません。


以上、長くなりましたが、経団連の提言にツッコミを入れてきました。
相変わらず酷いもんです。

科学をまったく無視して日本経済をぶっ壊す、提言という名の日本政府に対する命令を発するカルト的組織には解散命令を出すべきではないでしょうか?


①②⑥⑦⑧⑨⑩に該当しそうですよね。


長文をご覧いただきありがとうございました。
ではまた。

cargo

 

 

 

 

 


経済の素人集団がその団体名に「経済」を冠してはいけません。

経団連は「日本経営団体連合会(経団連)」と名を変えれば、誰もが納得するんではないでしょうか。
これなら、「マクロ経済のことなんか知りまへん、ワイら経営者だけが儲かればええんや」とする経団連の本質とも合致します。

この人たちの専門は「マクロ経済」ではなく、あくまで「私企業の経営」ですので、公私混同してはいけません。

本稿では今回の経団連の提言のおバカさ加減にツッコミを入れていきますので、大企業経営者の皆さんがいかに無能で日本経済にとって有害であるのかを確認していってもらいたいと思います。

9月12日に、この経団連の「少子化対策の財源は、消費税を増税した税収で」とする驚天動地のおバカ提言が取りざたされ、バイラルメディアはおろか、主流メディアにまで批判される始末となりました。



若い人達の所得が少なくて結婚もできず少子化に繋がっているのに、その若者から所得を取り上げる消費増税を提言するなんて、本末転倒もいいとこです。

しかし経団連のおバカさ加減は、上記ニュース記事にあるような消費増税や法人減税に関わるものだけにとどまりません。
成長産業だけを優遇しようという「選択と集中」であったり、地方公共団体の業務の民営化などの提言も行っています。

◇◇◇◇◇◇

今回の経団連の提言は、「令和6年度税制改正に関する提言」と「2023年度規制改革要望」の二つに分かれており、メディアで話題となったのは前者のほうのみです。
https://www.keidanren.or.jp/policy/

これらをざっと読んでツッコミを入れていきましょう。
まずは「令和6年度税制改正に関する提言」から。

・・・・・・
令和6年度税制改正に関する提言
―持続的な成長と分配の実現に向けて―
2023年9月12日
一般社団法人 日本経済団体連合会
【概要】
https://www.keidanren.or.jp/policy/2023/062_gaiyo.pdf
【本文】
https://www.keidanren.or.jp/policy/2023/062_honbun.pdf
・・・・・・

【概要】から見ていきます。



令和6年度税制改正に関する提言【概要】(p.2) より
なんだか耳当たりの良い文言が並んでいますが、これらは殆どが「だまし絵」。詐欺師の手法そのものとなります。


(p.3) より
「Ⅱ.企業の持続的な成長に向けた税制」として「防衛力強化に係る財源は、本来、すべての個人、法人によって広く負担すべき」としながら、「法人税の負担増加…は慎重に検討していくべき」としています(笑)

じゃあ法人の税負担を上げないのだったら何で負担するのか?それは次の項「1.分厚い中間層の形成に向けた税制①」で高らかに宣言されています。


そう、消費税です。
「(中国との戦争に向けて)ぶ厚い中間層を作るため、子どもから老人まで国民全員が消費税で社会保障を負担しろ!」というわけですね。
(*常識ですが、消費税も法人税も目的税ではないので、その使途を決めることは出来ません)
頓珍漢すぎて何を言ってるんだかワケがわかりませんね。

「中国が攻めてくるのだから防衛は必要だ!」とおっしゃる方もいるでしょう。
しかしよく考えていただきたい。アメリカにけしかけられて隣国を挑発しまくって自滅の道を歩んだ国があります。
【参考】▼ウ露戦争に学ぶ「戦争の作り方」https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12778173321.html

安易にエスカレーションするかたちで軍事費を増やしてはいけませんし、それを支えるために子供や病人からも召し上げるなんてことはあってはいけません。

◇◇◇◇◇◇

さて、税制に関する提言の【本文】のほうも見ていきましょう。


[p.5]より
「GX、DX、スタートアップ等の重点分野に対して、官民が連携して国内投資を促進し、わが国企業の産業競争力を強化するとともに、成長の果実を適正に分配することで、「分厚い中間層」を形成していく」とのことです。

これらの分野に投資することは間違いではありません。しかし、供給サイド、しかもその一部だけに重点投資して供給能力を拡大したとして、そこから供給されるサービスをいったい誰が需要するのでしょうか?
需要する側の国民の賃金が上がらずインフレで苦しみ、購買力は低下しているのですよ。

4~6月期のGDPは前期比1.2%でしたが、設備投資も個人消費もマイナス国内需要は壊滅的でした。
https://www.sankei.com/article/20230908-WT6IHEEL4FMAXACFAFINBYEBRI/

 


また、7月の実質賃金は16カ月連続でマイナスでした。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-07/S0GCLMT1UM0W01

国民全体、特に低・中所得層の所得が増えなきゃどんなに良いサービスを提供しても消費されません
日本政府と経団連は、根本から経済理論を理解していないことがわかります。

同じ[p.5]では「成長を確かな軌道に乗せるよう、企業による設備投資、無形資産・人への投資を後押しする税制措置を果敢に講じるべき」と言っていますが、これは、「賃上げした企業にはちょっと税制優遇する」といった程度の話で、これはいままで同じことをやってきて失敗してきた方策です。
10年以上失敗し続けているのに、そこからまるで学んでいないのはどういうわけでしょうか?
https://diamond.jp/articles/-/287780

これも上述した供給サイド偏重の経済対策の話と同じく、需要サイドに購買力がなく消費が増えないのだから企業も儲からず、ちょっとばかし減税のインセンティブをつけようが、賃上げなどできるわけもないということです。

需要不足なばかりか、中小企業には経団連系企業のような元請け大企業からの「値下げの圧力」も賃上げができない理由にあげられています。
https://newspicks.com/news/340410/body/

◇◇◇◇◇◇

[p.7]では、「防衛力強化は、国民や企業の安全を確保する基盤であり、その財源については、安定的な確保に向け、本来、すべての個人、法人によって広く負担すべきである」としつつ、「わが国の法人実効税率は主要先進国の中では依然として高い水準にあり…慎重に検討していくべき」と、法人税を上げさせない向きで言い訳しています。

日本の法人税は、大企業にとっては分社化等で赤字にすることによって徴税逃れが可能であり、そもそもの仕組みとして法人税率を少しばかり上下させてもたいして影響はありません。
加えて、「財源は、本来、すべての個人、法人によって広く負担すべき」という税の基本原則「応能負担」を無視した謎論理にも閉口させられます。


上記[p.8] では米国の支援額(インフレ削減法の3690億ドル)について触れていますが、この日米の投資額の差は圧倒的です。
この日本と米国のコロナ禍以降の補正予算額を簡易的に比較したのが下図です。


詳細: https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12801166308.html

とにかく、日本は支出額がショボ過ぎて「お話にならない」わけです。

例えばDX関連、半導体投資に関していえば、米中の投資額に比べ桁違いに少ないこともわかっており、まさに、始める前から終わっています。

 


経団連は、ショボ過ぎてまるで効果のない税制優遇ではなく、年間100兆円規模の財政支出を政府に提言すべきでしょう。

◇◇◇◇◇◇

続く[p.9]では「GX分野を中心に、DXや経済安全保障等の観点を踏まえつつ、戦略的に重要な物資の国内生産等に対する投資を促進するための新たな税制措置を創設すべきである」としていますが、相変わらずの「選択と集中」と「税制の優遇」では「失われた30年」から脱することができないことは既に説明した通りです。

「経済安全保障」というのなら、冷遇される農業や漁業等の第一次産業、つまり食糧安全保障分野にもしっかりと政府に支出、助成させるべきで、生産性の低い業界ほど支援し、購買力と供給力を共に支えることが重要です。
ところが、日本政府は真逆の政策を進め、日本経済を破壊しようとさえしています。そしてそれを後押ししているのが経団連という構図になります。

農業・漁業従事者の9割は売上1000万円以下の免税事業者です。インボイスで10%課税すると多くが潰れ、供給能力が著しく毀損することは明らかです。

 

インボイス導入で廃業を予定する社は、4割(40.9%)にものぼります。

画像は「9.4 STOP!インボイス 緊急提言記者会見」より

欧米のグリーン政策には、必ず農業・漁業の支援策も盛り込まれていますが、日本のそれは殆ど無視しています。

◇◇◇◇◇◇

経産省の官僚は、経団連系企業に天下り先を斡旋してもらうため、経団連系企業にのみ政府支出の矛先を向かわせるような事業を常態化させています。
経団連側は官僚の天下り先を確保する代わりに「産業政策助成金」等と名付けられた汚職マネーを受けることで、経産官僚とWINWINの関係性を保っています。
https://www.asahi.com/articles/ASQ5D5WZNQ5DULFA00F.html

この癒着構造を念頭に置きつつ、経団連の提言と経産省の方針を照らし合わせると見えてくるものがあります。

下記画像は昨年に公表された経産省・産構審の報告書です。


産業構造審議会・経済産業政策新機軸部会 中間整理(2022年6月)[p.8]
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shin_kijiku/pdf/20220613_1.pdf

わりと良い感じですよね。
しかし、上記[p.8]に続いて、[p.13]の「(2)ビジョン実現に向けた政策の基本的な考え方」には、「具体的には、成長分野への投資や人的資本投資を進める大胆な政策が必要であり、このため、グリーン、デジタルなどの社会課題の解決が未来の成長の種にもなるとの考え方の下、政府も民間も一歩前に出て投資を拡大していくことが重要である」とあります。

ここで気づくことが、上記画像の[p.8]で言っていた「ミッション志向」や「大規模・長期・計画的」が、いつのまにか「成長分野への投資」、つまり「選択と集中」方式にすり替わっていることです(笑)

お題目だけを見栄え良くし、見た目の良さげな商品を並べていても、実際はただの毒饅頭。経団連の提言としっかり重なってきませんか?

経産省は「大規模・長期・計画的なミッション志向で投資する!」という「錦の御旗」を掲げながら、実際にやってることは「一部の優良企業、高生産性分野にだけ投資する」ことであり、それを経団連がさらに悪用し、見事に「公金横領スキーム」とも言うべき循環フローを構築しているのだと言えます。

この「錦の御旗」の悪用が、いかに悪質かと言うと、経産省資料において引用・参考元となっているマリアナ・マッツカート教授の経済理論とまるでかけ離れたものになっている点です。

マリアナ・マッツカートについても触れておきます。
経産省と経団連の悪事の元ネタとなっていますので、極めて重要です。

マッツカートは、イギリス、イタリア、スコットランド、スウェーデン、フィンランド、南アなどの国々のほか、世界経済フォーラムや欧州委員会、WHO、OECDなどの国際機関でも経済顧問を務める、超売れっ子の経済学者です。

https://onl.la/GNkYCLw
ベストセラーとなった「企業家としての国家(The Entrepreneurial State)2013」は、アマゾンやアップル、フェイスブックなどのビッグテックや、インターネットやスマートフォンなどの技術は、すべて(アメリカ)政府により公共投資され発展していたことを証明した書籍で、それまで漠然と「民間の投資がイノベーションを起こすのだから民営化を進めよう」と考えられていた神話が間違いだったことを証明することとなり、これが各国の政策立案者の心を鷲掴みにしました。

マッツカートの2017年の論文「Public financing of innovation(イノベーションにおける公共投資)」では、直接的かつ広範な公共による資金投入が市場の形成とイノベーションに繋がったことを明らかにしたほか、「ミッション指向」の公共投資を、特にGxやDxに拡充することが金融バブルなどの景気循環リスクへのショックアブゾーバーとなるといったアイデアが語られています。
https://www.ecb.europa.eu/pub/conferences/shared/pdf/20170626_ecb_forum/Mazzucato_SINTRA_Paper.pdf

しかし、これに目をつけたおバカな経団連系の御用学者や、天下りに脳内を支配された経産省の反日官僚らが、「我が意を得たり!」としてチェリーピッキングした結果、マッツカートのロジックは真逆の方向に歪められてしまいました
無残にも「成長分野にだけ投資したら経済成長するんや!」と「選択と集中」型の政策に魔改造されてしまったのです。

当のマッツカートは、逆に「一部の大企業にだけ投資をしてはいけない」との向きでクサビを打ち込んでいます。
マッツカートと、我らがMMT派のL.ランダル・レイ教授との共著論文から引用しましょう。
・・・・・・・
経済における資本発展のためのファイナンス: ケインズ、シュンペーター、ミンスキーの融合(Financing the Capital Development of the Economy: A Keynes-Schumpeter-Minsky Synthesis)
マリアナ・マッツカート、L.ランダル・レイ (2015)
https://www.levyinstitute.org/pubs/wp_837.pdf

経済成長は「スマート」(イノベーション主導)であるだけでなく、「インクルーシブ」(欧州委員会の2020年産業戦略やOECDの2010年イノベーション戦略などの成長戦略が目標としているもの)であるために、雇用を促進し不平等をもたらさない成長でなければならない。
本論文の主要な目的は、このように金融の役割を再考し、議論することである。すなわち、イノベーション主導の成長と完全雇用の両方を生み出すために、金融をそれ自体ではなく「実体経済」に役立つように再構築する方法についてである。
そのためには、ケインズ、ミンスキー、シュンペーターの考え方をまとめるとともに、公的部門が停滞した市場の失敗を修正する以上の役割を果たす(Stiglitz 1989)と理解する必要がある。[p.7]
・・・・・・・

また、2013年のレイとマッツカートの共同論文についてのインタビューでは、「R&D(研究開発)の費用が高価であるため大企業に集中してしまっています。中小企業をこそ公共投資で支えるべきです」、「銀行の投資が実体経済のイノベーションや経済インフラの構築ではなく投機的なものになっていて、金融不安定化に繋がっています」と論じています。
「Mazzucato and Wray: Making Finance Work for Innovation」 https://www.youtube.com/watch?v=QLuQB4zybRk

マッツカート/レイ論文にある「『欧州委員会の2020年産業戦略』のような『インクルーシブ』」とは、例えばジェトロの報告に「欧州新産業戦略では、化石燃料に依存する地域や産業に、移行に必要な技術的および助言的支援を提供するための『公正な移行プラットフォーム』の立ち上げなどの政策が含まれた」とあるように、グリーン・ニューディールの提唱者たちがテーマとする「公正な移行(Just Transition)」のこととなります。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/03/389d30ebaafe0851.html

マッツカートやレイはグリーン・ニューディーラーです。
GNDの目的は、環境や経済的に脆弱な地域や人々を支援し発展させることであり、簡単には、「弱い人を助けると経済発展し、より強い国になる」というものです。
経団連や経産省が目指す「一部の成長産業だけに投資して我田引水する」などといった悪意に満ちた目論見とは真逆のインクルーシブな経済理論が根底にあります。

マッツカートの理論は、弱い人や中小企業を公共投資で助け、下部構造をしっかり支えることで、成長企業がイノベーションを起こすことができるといったものです。

もし本稿を見ている経団連や経産省関係者がいたとしたら、自分達の行いを恥じてほしいです。
キミ達のやっていることは欺瞞に満ちているどころか、悪意の塊であり、日本経済を破壊する政策です。今すぐ反日行為をやめなさいと言いたいです。

経団連の提言「令和6年度税制改正に関する提言」[p.14]には「経済成長の担い手となる企業の裾野を広げ、さらなるイノベーションの創出を推進していくには、革新的な技術やアイデアを有するスタートアップを育成するとあります。

スタートアップ企業を育成することに異論はありませんが、我田引水しないでスタートアップ企業以外の人たちも支援しろや、ということです。

一部の優良そうに見える企業や生産性の高い大企業だけに投資・減税し、また規制緩和すれば、経済が良くなって下層部にもその利益がしたたり落ちるとする考えは、「トリクルダウン」そのものですよ。
アメリカの大統領にさえ完全否定されてるのに、まだやるんですか?


ケインズは「一国の資本発展がカジノ経済の副産物となる懸念」を抱いていました(マッツカート/レイ,2015)が、経産省や経団連の人たちは目先の金と利権に目がくらんでしまい、我田引水するべく愚かな「選択と集中」に拘泥しているのす。

ソース:ネットの拾いもの

経団連は、売り上げ1000万円以下の事業者に対する10%増税となる「インボイス」も、自身とお仲間の利益には無関係として粛々と進めていくようです。[p.31]
小規模零細事業者が潰れることで経済全体が悪くなることには想像が及んでいません。


[p.35]では、「税は、広く国民全体が受益する公的サービスの費用を賄うための財源である」としていますので、弱い事業者を潰してもたった2500億のインボイス税収を吸い上げることが必要であると考えており、また財源や税制について大きな勘違いをしていることがわかります。
そして、[p.33]にある「Ⅲ.サステイナブルな経済社会の実現に向けた税制」、「1.分厚い中間層の形成に向けた税制」、「次元の異なる少子化対策」の財源として、消費税については、広く全世代の国民全体が負担すること、生涯所得に対して比例的で長期的には公平であること、財源として安定的であることなどの特徴により、社会保障財源としての重要性が高く、中長期的な視点からは、その引上げは有力な選択肢の1つである[p.36]としています。

何を言ってるんだか理解できる人はいないのではないでしょうか?(笑)
要するに、これは「分厚い中間層をつくり、サステイナブル社会を実現し、少子化を解決するために、消費増税で若い人の所得を奪ってやる!」ということですよ。
おそらくこれを書いている担当者本人もワケがわからなくなっているのではないしょうか。

上記にある「生涯所得に対して比例的で長期的には公平」の意味もわかりません。
低所得者と高所得者の所得が生涯をかけて同比率で移行していったとしたら、低所得者の痛税感は変わりませんし、限界消費性向も変わらないでしょう。
それともまさか低所得者がいずれ高所得者に成り上がるとでも想定しているのでしょうか?ご冗談を(笑)
彼らが「税の応能負担原則」を理解していないからこそ、この体たらくなんですよ。


さて、長文になったので続きは次回に続けましょう。
次回は「2023年度規制改革要望」についてです。
悪の秘密結社「経団連」の正体を暴いていきます。

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