大勢の神将、あるいは戟を執り、あるいは剣を提げ、小野の小町の屋根を護っている。そこへ黄泉の使、蹌踉と空へ現れる。
 神将 誰だ、貴様は?
 使 わたしは黄泉の使です。どうかそこを通して下さい。
 神将 通すことはならぬ。
 使 わたしは小町をつれに来たのです。
 神将 小町を渡すことはなおさらならぬ。
 使 なおさらならぬ? あなたがたは一体何ものです?
 神将 我々は天が下の陰陽師、安倍の晴明の加持により、小町を守護する三十番神じゃ。
 使 三十番神! あなたがたはあの嘘つきを、――あの男たらしを守護するのですか?
 神将 黙れ! か弱い女をいじめるばかりか、悪名を着せるとは怪しからぬやつじゃ。
 使 何が悪名です? 小町はほんとうに、嘘つきの男たらしではありませんか?
 神将 まだ云うな。よしよし、云うならば云って見ろ。その耳を二つとも削いでしまうぞ。
 使 しかし小町は現にわたしを……
 神将 (憤然と)この戟を食らって往生しろ! (使に飛びかかる)
 使 助けてくれえ! (消え失せる)


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