2012年10月06日

郷傑と小さな変化

テーマ:原発と共存はできない
$酒とホラの日々。-Local Hero

ローカル・ヒーローのDVDとサントラCD
 
1983年のイギリス映画『ローカル・ヒーロー』は一風変わった映画だ。
アメリカの石油会社が大西洋に面したコンビナートの建設のためスコットランドの片田舎に白羽の矢を立てる。石油会社の若いエリート社員のマッキンタイヤは社長の命を受けて地権者の村人と交渉に乗り込む。
コンビナートができればのどかな風景は破壊され、村人は家も仕事も放棄して立ち退かなければならない。交渉は難航するかと考えそうなところだけれど、田舎暮らしからおさらばできると考えた村人たちは内心ほくほくソロバンをはじいて、ポイントは金額交渉だけの様相。だが、海岸の広い土地を保有する偏屈な老人ひとりが、のらりくらりと、しかし頑として応じない。交渉にあたるマッキンタイヤと代理人、それに村人たちのフラストレーションが高まる中、石油会社の社長がヘリで乗り込んで偏屈老人と交渉にあたるのだけれど、二人には不思議な友情が成立する。
そして巨大コンビナート計画は新たな展開を見せる・・・。



私たちはどうしても開発と環境保護の切り口で見てしまいがちなのだけれど、この映画にはユーモアや遊びの要素がたっぷりと盛り込まれている。
  何もないけれど、静かで美しい浜辺の村。
  みんな仕事を掛け持ちして何とか暮らしているのだけれど
  それぞれに人生を楽しむ村の人たち。
  若くて自信たっぷりでアメリカの都会暮らしを満喫していたのに
  村の暮らしに次第にひかれていくエリートサラリーマン。
    (私としては、彼の個人的な価値観の変化が面白い)
  神経症で天体観測だけが心のよりどころの石油会社社長。
  スコットランドの美しい白夜。
  獅子座の流星群、夜空を覆うオーロラ。
  メルヘンなまでにぼろい浜辺の掘っ立て小屋。
  そこに住む由緒正しい偏屈老人。
  若い女性海洋学者と人魚・・・
 
何よりマーク・ノップラーの音楽がいい。私もこの映画を見ようと思ったきっかけはライブで聴いたこのテーマ曲が好きだったからである。 

開発と環境保護、経済発展とのどかな暮らし、対立する問題に目をやれば見ようによってはとても深刻なテーマではあるけれど、映画がとてものどかに見えてしまうのは、ユーモラスな作りもさることながら、ひとつには映画よりも、今現実に私たちの向き合うの原発経済と暮らしの不安の構図のほうがもっとドロドロしているからでもある。

そこで私たちはこの映画に経済開発と相容れない平穏な田舎暮らしの二つの選択肢とはまた違う、社会と個人の第三の道を映画にかぶせて夢見てしまうのだが、これはたわいもない大人のファンタジーだ。たわいもないけれど原発経済と反原発の先鋭な原理主義的二項対立で行き詰る今こそ、どこかひかれるファンタジーである。



映画のラスト、新たな展開を見せた開発計画によりマッキンタイヤはお役御免となり、アメリカに戻ってビルの林立する都会を呆然と眺める。バックに流れる非常に印象的なエンディング音楽(ゴーイング・ホーム)が終わると、場面はスコットランドの村にもどって、村に一つしかない電話のベルが鳴りだす。
・・・マッキンタイヤからに違いない。






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2012年09月20日

我らに力を

テーマ:原発と共存はできない
$酒とホラの日々。-ノー・ニュークス
『MUSE ノー・ニュークス原発反対コンサート』

スリーマイル島の原発事故の後、1979年に行われた反原発イベント、「ザ・ミューズ ノー・ニュークス反原発コンサート」のビデオ(レーザーディスク)。
当時一流のミュージシャンが結集して、人は原発との共存はできない!と声を上げた。
今見ても真摯なメッセージと、熱いステージパフォーマンスに心が高ぶる。
 
1日で25万人を集めたこのコンサートは純粋に音楽イベントとして成功したというだけではない。今なお感じることのできる高揚した気分は、コンサートに参加した、来場した、あるいはビデオを見たすべての人々が、世界のより良い変化に関与しているのだという確信を共有していたがゆえの熱気のためなのである。

戦後の大衆中間層の拡大ともに生まれたポップカルチャーは、その発展の過程で60年代の反体制運動を経験し、70年代80年代になると、ポップカルチャーによる大規模な感動体験と大衆的な社会意思表示はつながっている、という確信めいた夢を見るに至った。それゆえに何らかのスローガンを掲げた大規模なコンサートの感動共有は、それ自体が社会変革の世界変革の力であるとさえ信じていたものだった。みんなそう信じたかった。

今は戦後経済の枠組みは変わり、ポップカルチャーと大衆的な連帯意識を支えた安定中間層が崩壊に向かう中、大衆層という言葉の意味するところと実体は、互いの足を引っ張り合う引き裂かれた下層階級になりつつある。
何事かを訴える大規模なコンサートも、いまや形式だけが残る。

この大規模な原発反対コンサートの発起人であり主催者の一人であるボニー・レイットが今年久々のニューアルバムをリリースしていた。この際に印象的なコメントがあった。

「・・私たちは世界を変える力があると信じていた。でもそんな時代ももう終わろうとしている・・。」

  
うわべ民主主義の社会でも、企業や政府など大きな権力は民主的な意思決定を嫌う。卑小な一般市民は翻弄されるだけなのか、ネットが真の力になるのか、まだ私にはわからない。
でもきっと、「正しいと思うことに皆か意思を持ってボランティアで参加することで、世界は変わる、変えられる」(N.チョムスキー)。

私もこれを信じたい。




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