2007年11月18日

世界征服を企む悪の結社の活動員であること

テーマ:本読み



世界征服
「世界征服は可能か」 岡田斗司夫 / ちくまプリマー新書


 


なつかしのヒーローモノの悪役たちが企てる世界征服というテーマの実現性と構想、征服後の世界の展望についてのおもしろおかしくも真面目な考察がなされるが、これは読者を現代社会のあり方の考察に誘う仕掛けのようなものである。

腹を抱えて笑った後に、今の社会の価値基軸に異を唱えることこそ現代の悪の思想であるという、著者の主張が現れ、読後感は爽快だ。


 


*  




そこであたりを見回してみると、現代のアメリカ的平和、グローバリズムを標榜する傲慢な価値の押しつけ。


これこそが現代の中心的価値観だとするのならば、これを支える民主主義と自由経済では私たちの社会に足りないモノを考え、アメリカ的価値軸を修正しようとする試みこそすべては”悪”の思想と言うことになる。

民主主義と自由主義経済は道具として恩恵はよく分かってはいるが、野放しのままでは社会に様々な歪みをもたらすこともみんなの知るところだ。

もちろんここで年寄りの大好きな自由主義経済と社会主義経済の不毛な二元論を持ち出すわけではない。民主主義はその地域にいる同種の’人間’にしか恩恵は及ばないし、自由主義経済は、誰のものでもない資源や誰も引き取り手の無い廃棄物に対しては機能しないからである。 


    

そもそも、私たちの社会の枠組みは「経済成長」ありきで成り立つモノだが、この経済成長を可能にするためには、枯渇する資源を食いつぶし奪い合うことと、処理の限界を上回る廃棄物を生み出すことが必要になっている。事実各国至る所で頻発する紛争は突き詰めれば資源争奪の利を獲得するためであるし、CO2排出を巡る問題はなんのことはない廃棄物の押し付け合いである。

 

こんな現代の大悪事とは? 
現代の成長原理に沿った社会経済活動を否定すること、たとえばフェアトレード、環境ボランティア、消費情報に踊らされる事をやめること、ゴミ情報溢れるネットを捨てて人と人とのつながりを大切にすること。これを実践しようとすることはすべて、成長至上の価値観から見れば世界転覆を企てる悪の組織の仕業である。 

そんなわけで普段の私はショッカーにも死ね死ね団にも勝る悪の活動員であることが明らかになってしまった。
今ある見せかけの平和の価値基軸にノーを。新しい平和と共存を目指す価値観にイエスを。


 

どうれ、それでは今日もせっせと悪事に励むことにしよう。


 

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2007年11月07日

よろず人生悩み相談承ります(その2)

テーマ:CO2

どうしたわけか、我が家にこのところ間違い電話が多い。

なぜなのだろうかとかかってきた電話の話を聞いてみると、どうやら最近役所が「市民電話相談室」(仮名)のようなものが設置したのだが、その中には(1)命の電話相談(2)お金と生活の電話相談(3)ちょっと世の中に文句を言いたい電話相談、などという区分があって、この(3)のあまり深刻でない要件の電話相談窓口が我が家の電話番号と酷似しているために、おっちょこちょいの相談主が電話してくるのだということがわかってきた。 

たいていは、ダイアル先の名違いを指摘して切るのだけれど、話も話であるので私もたまに機嫌がいいときは即興で電話人生相談の相談手をしてあげることにしている。
勝手なことを?、いやいや、これだって善意の市民ボランティアと言うものだ。。。



(相談例その1) 20台男性

ちょっと聞いて下さい、朝の通勤電車の中で困った状況に出くわしました。荷物をたくさん持って回りにぶつかりながら載ってきた女がいたのですけど、音楽プレーヤーのヘッドホンから音を垂れ流しながら大声で携帯電話で延々しゃべって、髪のブラッシングして化粧をして、むせ返るほど香水振りまいて降りていきましたが、誰も注意もしませんでした。いったいあの女は何なのでしょう、そもそもなぜみんな黙って見ているのでしょう。


(回答)かわいそうな人だからです。

「そんな程度」の彼女がこの社会の中でせめて人並みに生きていくのはどんなにか大変なことでしょうか。

「そんな程度」では周りからは白い目で見られ、勤め先でもろくな扱いを受けず、交際範囲も程度が知れていますし、仮にそんな彼女がパートナーを見つけても、どうせ相手はいずれ刑務所にでも行くか、稼ぎがないか、暴力を振るうか、ろくな男ではないでしょう。そんな程度の彼女はそれでも生きていかねばならないのです。乗り合わせたみんなはそんな彼女を哀れんでそっとしてあげたのでしょう。今度見かけたら、そっとおひねりに小銭でも包んで渡してあげなさい。


(相談例その2)40台男性独身

なんだかんだ言っても世の中にお金以上の価値なんてありません。もっと良い収入を得るため、私は無制限の残業も会社の付き合いも厭いませんし、仕事の資格を取るため休日もぜんぶ勉強のためにあてています。時は金なりです。遊んだりボーっとしている時間は無駄です。

(回答)働くあなたは素敵です。

あなたの将来はばら色・黄金色・錦色の光に満ち溢れています。毎日会社の仕事に粉骨砕身して稼げば、働くためだけに生きる今は大変つらくても、最後はきっと立派な養老院にいけて、立派なお葬式が出せることと思います。明るい将来がとても楽しみですね。

 

(相談例その3)30台女性

人生は楽しむためにあると思います。楽しみを我慢して人生に何の意味があるのでしょうか。仕事は経済手段に過ぎませんから、休暇に遊ぶことだけが真実の人生です。私は流行のファッション以外は身に着けませんし、世界中いたるところの観光地にも行きましたし、ゲーム機も映画も気の利いたレストランもたくさん知ってます。

(回答)あなたの生き様は素敵です。

みんながあなたのように生きてくれたら、企業はどんなに好都合なことでしょう。「求めない」だの「足るを知る」だの「清貧」だの余計な雑音に耳を貸さず、馬鹿一般市民は黙って流行に踊らされて稼いだ金を全部吐き出せばいいんです。消費機能として生きるのが、馬鹿一般市民の務めです。いっぱい消費と物的満足を堪能して、その上人並みの幸せまで要求するなんて、あつかましいにもほどがありますよね。あなたは現代消費社会の鑑です。

 


(相談例その4)年齢性別不明

人は金や物だのにとらわれず夢と希望に生きるべきだと思います。現世のお金や名誉なんて運命がその気になればすぐに取り上げてしまうことでしょう。ぜひ役所の広報記事でも金儲けのばからしさや日常の雑事とらわれるつまらなさをもっと取り上げてください。

(回答)その通りです。あなたは全面的に正しいので、人の評判に臆せず地上のあらゆる困苦を退け夢と希望にだけ生きるべきです。あなたのお金は私が責任もって使い込んで差し上げますので、余分なものはすべて私に預けてください。



・・・われながら見事な相談手ぶりだが、今日届いた役所の広報に、「市民電話相談が思うような効果を挙げず、相談手に関する苦情が多いためこの原因を分析中」というような記事があった。

私もボランティアでこんなにまじめに協力してあげているのに、役所の相談手たちはもっとしっかりしてもらいたいものだ。


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2007年11月04日

むかし昔に捧げるバラード

テーマ:隠れ岩石生活

カーティス・ロウのバラード

がきの時分にはよく、おいらは雄鶏が鳴くより前に起きだして
小遣い稼ぎにラムネのビンを集めては村の店屋で金に換え、
カーティス・ロウという爺さんの所にもっていったもんだった。
 
 カーティス・ロウってのは縮毛の白髪の黒人で、
 一杯引っ掛けてさえいればいつもご機嫌だった。
 飲めばいつも持ち出したドブロ・ギターをひざに乗せ、
 日がな一日そいつを弾いてくれたもんさ。
 
 「歌っておくれよ、カーティス、
 酒代くらいおいらが稼いでくるから、あんたはギターをチューニングしておきな。」
 みんなはカーティスを役立たずと言ってたけれど、どいつもみんな馬鹿だったのさ。
 だって、カーティスは世界一のブルース弾きだったんだから。
 

 カーティスは60くらいに見えた。オレはたぶん10歳だった。
 おれはママにむちでひっぱたかれても、それでもカーティスのところに出かけていった。
 手を鳴らし、足で調子をとってカーティスと一緒にいるのは最高だった。

 カーティスは一曲二曲やってくれるたびに、また一杯ひっかけた。 

 

 カーティスが死んだ日、葬式には誰も来なかった。
 年寄りの牧師が二言三言何か言うと、カーティスは土に埋められた。
 カーティスの一生は生きる痛みをブルースで歌うことだったけど、
 一生を終えたその日にこそ、本当はカーティスはブルースを歌うべきだったんだ。

   

 カーティス、あんたが今いてくれたらきっとすごい有名人だったろうになあ。 

 カーティスを役立たずと言っていたやつらはどいつもみんな馬鹿だったのさ。 
 だってカーティス、あんたは世界一のブルース弾きだったんだから。

  

この曲を歌ったレーナード・スキナードが飛行機事故で主要メンバーを失い

解散を余儀なくされてから30年が過ぎた。輸入CDを聞き取りながら訳してみたが

昔ほんの子供の時分に意味も分からず聞いていた英語の曲を

最近再入手したCDで聞いてみると、歌の印象とともに時代の空気がよみがえるとともに

歌詞を知って再発見することも多い。

私の物心ついた子供の頃には、もうすでにあまり町中には物乞いや路上をさすらう

独自の生活を送る人はいなくなっていて、社会はだいぶ均質化していたのだけれど、

その少し昔にはどこの町にも堅気の市民からはじきだされつつもその周辺で生きる名物人間が

いた話をよく聞いたことがあったものだ。

そんな彼らははみ出し者として蔑視される一面で、顔の見える個性豊かな一個の個人として語られ、

社会のあり得べき一員として確かに許容されていて、

一種の愛情を持って眺められる存在でもあったようだ。

 

かつての日本は猛スピードで経済的な豊かさが推し進められた市民社会ではあったけれど、

そんな社会からあぶれ出た、乞人やヒッピー、路上芸人たちでも

なんとか生きる隙間がまだ世の中にはあったのだろう。 

今では社会のあぶれ者は顔のないホームレスや闇の存在となり、

在るべきではない社会矛盾として個性も行動も忌避される

アンダーグラウンドの住人だけとなってしまった。

 

  

子供の時、かつていたという、名物乞食の男が最後はどうなったのか、怖々聞いてみたことがあった。

天皇行幸だか、都市再整備だか、何かの折、予防注射だからとだまされて薬殺されてしまったと

いうことである。

    

豊かで平和な社会にいることを本当に感謝しているけれど、

この豊かな社会はそんな時代をひた走ってきたのだろう。

 

 



針とスプーン
「カーティス・ロウのバラード」を収録したレーナード・スキナード二枚目のアルバム

セカンド・ヘルピング。

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