2010-06-16 10:35:22

第23回 実録「カツ船長の19歳航海記―A Maiden Voyage

テーマ:2日ぶりの上陸で、サントス家の招待に与る

1970年317 ()



2日ぶりの上陸に胸躍る。粋な計らいに感激

サントス家に招待され、楽しい一夜を過ごす


カツ船長のブログ

P-039 (美しいサマリンダ河畔の夕焼け。この後、訪れる南国特有の夜も素晴らしい)



2日ぶりに上陸した。どうも昼間は天気が悪くていけない。しかし夕方になると晴れてきて、素晴らしい夜を創り上げる。今日はチーフ・オフイサー、パセンジャー等と共にヌーグラハ・サントス家へ行った。小生としては思いがけないハプニングであり、粋な計らいに感謝しつつ楽しい一夜であった。

チーフ・オフイサーの話だと彼は中国人(いわゆる華僑と思う)で、取引先の副親玉らしい。その彼の話す英語はどうも難しかったが、とても良く我々をもてなしてくれた。奥さまも大変良くしてくれ、お土産(何という宝石かガラスかは知らないが)までいただいた。




彼もまた、すこぶる気前のいい男で、何でもくれてしまう。パッセンジャーの一人には、スカルノ・ハット(兎製)まであげてしまったが、たいそう高価なものであろう。畜生、小生も欲しかったのに…。


その代わり小生、インドネシア語のベリー・イーズイな本を頼んだ。すると、明日さっそくマーケットへ買いに行って、船まで届けてくれると言う。子供の使い古しの教科書でもと頼んだのに、とんだことになり大いに恐縮してしまう。彼はまた、写真にもたいそう凝っていて、我々の写真も撮ってくれた。明日、小生は白黒ではあるがフイルムを贈ることにする。


何か記念になるお土産が欲しかったが、全く何も買わなかった。明日チェンジの奴が来たら替えることにするが、来なかったらしょうがない。


香港、マニラ、サマリンダと来たわけだが、その中で一番良かったのはやはりここサマリンダである。ここには我の愛する自然があり、静けさがある。人々も殆どが親日的で、人懐っこい。


ただ、もう少し小生にお金と時間があったなら、もっと見方も変わったかも知れないが…。

今日は、なぜか非常に酒が飲みたい気分だ。しかし、俺は何も持っていない。人生とは、最善を尽くすべし、か。(am0:40)

■記事訂正 前回の【船員の仕事と名称あれこれ】の解説で、「甲板部」が重複するとともに「機関部」が抜け落ちてしまいました。訂正してお詫びすると共に、下記に「機関部」の仕事内容を記します。

◎「機関部」の主な仕事は機関士の指揮の下に様々な機関の運転、点検・整備・修理などで、機関長(Chief Engineer,チーフエンジャー)1名、1等機関士(First Engineer,ファーストエンジャー)1名、2等機関士(2nd Engineer,セコンドエンジャー)1名、3等機関士(3rd Engineer,サードエンジャー)の各1名が乗船。そして部員では、操機長(Numbur One Oiler,ナンバン)1 名、操機手 (Numbur Two Oiler,ナンブツ)3,機関員(Fireman,ファイヤーマン)1名の計9名が「愛光丸」に乗船していた。  


2010-06-09 10:51:08

第22回 実録「カツ船長の19歳航海記―A Maiden Voyage

テーマ:昨日に続き今日も上陸せず

1970年316 ()


雨季明け直後で天気が悪く、今日も上陸せず

帰国したら今度こそ素敵な恋人見つけるぞ!



カツ船長のブログ

P-037 (「愛光丸」の雄姿をみよ。手前の小船と比べその大きさが分かる)



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P-038 (サマリンダ郊外での筆者。日焼けで顔が黒くなっているのが分かる)





今日も上陸しなかった。行きたいのは山々だけど、どうも天気が悪くていけない。やっぱり強烈な太陽が欲しい。そのくせに、夕方になると晴れてくるのだから頭にくる。ナンバン(操機長)の話だと、今が雨季明け直後の時だとか。

毎日夢を見ている。一体どういうことなのだろうか。そして、夜半に何度か目を醒ます。いつもあまりいい夢でない。日本へ帰ったら、今度こそ素敵な恋人を見つけるぞ!(pm10:55)



【船員の仕事と名称あれこれ】―この間の質問にも答えて

・私が乗船した「愛光丸」の乗組員構成は、船長(Captain,キャプテン)をトップとして「甲板部」「機関部」「無線部」「司厨部」から成っていました。




◎「甲板部」の主な仕事は航海士の指揮の下に航行中の見張りや舵取り、貨物の積み下ろし、船体や甲板機器の保守整備などを担います。「愛光丸」には職員である1等航海士(Chief Officer,略してチョッサー)2等航海士(2nd Officer,同セコンドォツサー)3等航海士(3rd Officer,同サードッサー)が各1名と、部員である甲板長(Boatswin,ボースン)1名、操舵手(Quarter master,クオーターマスター)3名、甲板員(Sailor,セーラー)2名の計9名が乗船していました。




◎「甲板部」の主な仕事は航海士の指揮の下に航行中の見張りや舵取り、貨物の積み下ろし、船体や甲板機器の保守整備などを担います。「愛光丸」には職員である1等航海士(Chief Officer,略してチョッサー)2等航海士(2nd Officer,同セコンドォツサー)3等航海士(3rd Officer,同サードッサー)が各1名と、部員である甲板長(Boatswin,ボースン)1名、操舵手(Quarter master,クオーターマスター)3名、甲板員(Sailor,セーラー)2名の計9名が乗船していました。




◎「無線部」は、無線電話などの通信機器による陸上との交信、気象図の受信などを行い、通信長(Chief Radio Officer,局長さん)1名が乗船していました。



◎そして私が所属した「司厨部(しちゅうぶ)」は、主に船員や乗船客の食料の 

 調達、調理や供食などを行います。司厨長(Chief Steward 通称しちょうじさ 

 ん)をトップに司厨手(Cook)さん、それに司厨員(Steward)として士官食堂担

 当のボーイさん(我が同室の兄貴分)、そして、最後に控えるのはこの私。主

 に「部員食堂を担当」し、通称メスロンボーイ、皆さんには「メスさん」と

 呼ばれていました。計4名が担当していました。

 私の仕事は他に、仕官の部屋や風呂の掃除、皿洗い、賄いの手伝い、その他  

 雑役全般をこなしていました。




「愛光丸」にはさらに船客4(男性)もおり、総勢で28名が乗り込んでいました。右を見ても左を向いても男だらけという、むさ苦しい世界ではありました。


※現在の商船(貨物船)は、必然ですが時代と共に建造の技術開発や

 組織の合理化が進み、乗組員の構成は当時とは様変わりしています。


19歳で世界に向けて航海するという体験が、私のその後の人生の方向を決めたことはブログの初めに書かせていただきましたが、青春の一時期、何物にも変えられない貴重な経験をさせていただきましたことは、生涯の財産となりました。(筆者:出﨑 )





  




2010-06-02 08:58:44

第21回 実録「カツ船長の19歳航海記―A Maiden Voyage

テーマ:昨日のこともあり気がひけて陸へは上がらず

1970315 ()



高くついたYシャツとバナナの物々交換に後悔

日本が恋しくなるも、最後の手綱を締め頑張る




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P-035 (カメラを向けるとポーズをとって見せる現地の子供。実に人懐っこい)





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P-036 (自生するサトウキビ。緑の実をつけたバナナの木やヤシやゴムの木が高く聳える南国ならではの光景が広がる)




どうも天気がパットしない。この時期ではしょうがないのであろうか。話によると、今はバナナは時期はずれであるそうな。これは大きなショックであり、非常に残念でならない。とはいえ、今日もYシャツ(だいぶ着ていた)とバナナの一房(もちろん一房といっても木にぶら下がっているあの大きなやつの事であるが)をチェンジした。しかし今考えると、コレは大いに高かったことになる、大失敗であった。青くてまだ食べられないが、それでも非常に楽しみである。


陸へ上がりたかったが、昨日のこともあり、気が引けて止めた。明日はできたら昼からでも暇をもらって、反対の岸へ行ってみよう。

小生この23日でめっきり腹が出てきたみたいだ。他のところへ肉がつけばいいけれど、お腹ではありがた迷惑である。年を取ったら、俺もオヤジ見たくなるのであろうか。いやなこったぁね。

早々、日本が恋しくなってこないでもないが、まあ最後の手綱を締めて、だれないよう頑張ろう。(pm10:45)


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