会計学のすすめ
テーマ:経理こんにちは。草野です。
以前テレビで、ある経営者の方が、
企業の人件費(給料)について話をしていました。
昔は、人件費を「資産」への投資と考えていたきらいがあるが、
現状多くの企業に資金的な余裕がなく、人件費についてコスト(費用)と考えるようになっている。
企業のその時の実情、時代背景などにより、人件費のとらえ方は変わるとすれば、どちらが正しいというものではないと思います。
話は変わりますが、
会計学の中に「繰延資産(くりのべしさん)の概念」という項目があります。
繰延資産の定義は「将来の期間に影響する特定の費用」です。
費用とは「もうけを得るための出費」と捉えますが、
次に重要なのが 費用・収益対応 という考え方。
さらに 期間損益計算 という考え方。
ではないでしょうか。
上記が「繰延資産」とどう関係するのでしょうか。
まず繰延資産とは、そもそもどういうものかといえば、
「費用のかたまり」です。
さらに資産とはいうものの「形がありません」
では「費用のかたまり」「形はない」とはどういうことかといいますと、
例えば、会社を設立(設立登記するまで)するためにかかった、定款代や登記料など支出を伴う「費用の金額の総額」のことを、
会計学では「繰延資産」といいます。
繰延資産は、どのように経理していくかといえば、
端的にいえば、資産というぐらいですから、費用と考えないということです。
ただ「費用のかたまり」と表現したとおり、繰延資産の基礎は費用そのものなわけです。
矛盾!
「費用と考えない」でも「基礎は費用」
どういうことでしょうか。
少しアプローチを変えてみましょう。
「費用と考えない」のは一定期間のみであり、
厳密にいえば、ずっと費用にならないのではなく、
最初だけ「資産」で、その後少しづつ「費用としていく」ということになります。
ここで 費用・収益対応 の考え方が必要になります。
つまり、費用はもうけを得るための出費であるいじょう、かせぎ(収益)と対応する分だけしか費用とはしてはいけません。
すると、なんとなく繰延資産の意味が分かってきますでしょうか。
会社設立までに要した支出をなぜ費用とせずに、繰延資産にするのか。
そうです。
会社設立当初は、まだ創設期で顧客もいず、かせぐ(収益)ことができないだろう。
違った表現をすれば、
会社設立時にかかった支出は、
設立当初「のみの」かせぎ(収益)のための出費(費用)と考えるのではなく、
それ以後にも影響する費用(もうけを得るための出費)と考えるので、
費用ではなく、「一旦資産」にしておきましょう。
そして、以後の会計期間のかせぎ(収益)に対応する分は、以後に費用としていきましょう。
と考えます。
つまり、繰延資産の総額が100円、そのうち20円を費用としました。とします。
すると繰延資産はまだ80円あると考えます。
この80円は、以後の収益獲得に貢献するための出費と考え、以後の会計期間に費用として処理していきます。
こう考えると、
今年も4月から新入社員の方を迎え入れる会社があると思いますが、
新入社員の方が、即売上には貢献できない(として)。
でも、給料は支払われます。
するとこの給料は、
「もうけを得るための出費」
ではなく、将来の収益獲得に貢献する特定の費用、というふうに考えられませんでしょうか。
簡単にいえば、
人件費を「資産」と考えるとは、以後の収益獲得に貢献する「前払支出」、つまり「投資」とする見地。
人件費を「費用」と考えるとは、「たった今」から「もうけを得るために払った出費」とする見地。
ということでしょうか。
どちらが正しいかは分かりません(答えはないのかもしれません)が、経営者の方が言っていることを、会計学になぞらえて考えてみることもその理解の一助になることもあるかもしれないと思いました。






