流れ雲のブログ

季節は巡り、花が咲き花が舞い、花が散り花が逝く、
きっといつか、風が吹いて、夢を運んでくる予感…
繰り返しと、積み重ねの、過ぎ去る日々に、
小さな夢と、少しの刺激で、今を楽しく、これからも楽しく…
(^_^)…流れ雲…

趣味と、実益の、自己満ブログです。

人生は、振り返ることは出来ても、

後戻りは出来ない…


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V0151111115

 

なぜ、美人はいつもつまらない男と
  結婚するんだろう?
賢い男は美人と結婚しないからさ。・・・



181011

 

「Bitter Moon 〜蜜月の逆説〜 

 

瑤子は、正志への復讐を企んでいた。
それは、瑤子亡き後、正志に激しく後悔させること。
便利な女として邪険に扱ってきたことを、どうしても
後悔させてやりたい。

死んだ後、平気な顔でいられたら、それこそ
報われない。
瑤子は、正志に対して最大限の気配りをし、
尽くしに尽くした。
それこそ、ごみ一つ正志に捨てさせないくらいの
心配りをした。

正志の母親がどれだけ苦労してきたか、
今、身に染みる。初めて挨拶に行ったとき、
正志の母親は「正志の病気も背負う覚悟が
あるのか。」と聞いてきた。厳しい目で、口調で、
瑤子の決意を問うてきた。瑤子は頷き、
それを証明するため、正志の母親に一から百まで
教わりに通った。

半年後にやっと認められ、それからは
瑤子をこの上なく可愛がってくれるようになった。
正志の母親は、瑤子の死をどう思うだろうか。
再び正志の生涯を支える女性に一からすべて
教えねばならない苦労に、喘ぐのだろうか。

死ぬことをわかっていて結婚した瑤子を、
裏切り者と思うだろうか。それとも、・・・
瑤子の死を、純粋に悲しんでくれるだろうか。

結婚式から2週間後、瑤子は病院を訪れた。
順番を待っている間、ぼんやりとしてしまう。
こんなに気を張らないでいい時間が、
ここ何週間も無かった気がする。
今は自分だけの時間。部屋のことも、
食事のことも、正志のことも、考えなくていい
自由がある。

「尾見さん。・・尾見瑤子さん、いらっしゃいませんか。」
アナウンスで応答がなかったためか、看護師が
直接待合室に走ってきた。
瑤子は、自分と同じ名前が呼ばれてるなぁ・・と
優雅に構えていた。が、次の瞬間に気付いた。

そうだ。尾見瑤子とは、自分のことだった。
苗字が、変わったのだ。
「はい!・・・はい、私です。すみません。」
「大丈夫ですか?」
「・・・すみません、ちょっとぼんやりしてました。」
保険証が変わって初めての診察。名前が
変わったことなど全然忘れていた。
正志と結婚したことは、わかっているのに。

診察室に入ると、医者は言った。
「ご主人に、一度病院に来ていただきたい。
すぐに入院が必要なこととか、今後のことを
お話したいので。」
医者は、こんな時にどうして結婚なんかしたんだろう、と
不思議に思っているのかもしれない。
もしくは、こんな時でも結婚せねばならないほど
互いが愛し合っているとでも思っているかもしれない。

瑤子は、きっぱりと断った。
「いいえ、その必要はありません。」
「どうしてですか?あなたが入院に積極的でないなら
ご主人に説得をお願いしたり、家で気をつけて
欲しいことや、緊急の際のことを話しておかねば
なりませんよ。」

「そんなの、必要ありません。主人自身が身体が
弱い人なんです。私が動かなければならない
立場なんです。私の体です。
あの人には・・・関係ないことです。」
医者は、眉をひそめた。

「まさか、病気のこと内緒にしているんじゃないでしょうね?」
「いけませんか。」
「あたりまえでしょう!?結婚したら、ご主人が
あなたの家族なんですよ?
家族には、言わなければならないことでしょう?
どうせ、わかることでしょう!」

「そうです!どうせわかるんです。だったら、
ギリギリまで知らなくていいんです。
余計な波風が立てたくないんです。
それに、入院して、あの人に看病してもらうなんて
絶対に嫌です。下の世話とか、母にやってもらうのも嫌なのに、
絶対に彼にさせられないし、それくらいなら
飛び降りて死んだほうがいいです!」

「馬鹿なことを!そんなこと、考えても、言ってはいけません!」
横にいる看護師が、憐れみの表情で瑤子を見つめている。
結婚してすぐに死なねばならない女の不安定な感情に、
同情しているのだろうか。

だが、瑤子はそんなセンチメンタルに浸っているわけではない。
今、瑤子が立っていられるのは、正志に復讐しようという
強い思いから。それには、できるだけ長い時間正志に尽くし、
瑤子が貴重な存在だと思ってもらわねばならない。

できるだけ多くの優しい時間を作り、瑤子が死んだときの
穴を大きくしなければならない。
そのためにも、病気のことは最後まで知らなくていい。
瑤子が死ぬことを知ってから死ぬ瞬間までの
時間に覚悟などされたら、死んだときのショックが
少なくなってしまう。

今更、正志に同情なんかしてほしくないし、
「もうすぐ死ぬ」ことを理由に優しくされても、
全然嬉しくないし、かえって気分が悪くなる。
「私も、自分の限界はわかると思います。
駄目になるまで、どうか私を自由にしてください。
どうしてもやり遂げたいことがあるんです。

それが私の最期の意地なんです。プライドなんです。
ホスピスを希望しています。予約ができるのなら、
手続きのお手伝いをお願いします。」

「あなたは、あなたの身体を過信していますよ。
熱も高くなっているし、血液の状態も良くない。
体力もなくなっているはずだし、痛みだってあるでしょう?
ご主人の世話がどれほどのものか私にはわからないが、
それは、相当大変なことでしょう?」

瑤子は、穏やかに微笑んだ。
「申し上げましたでしょう?それが、私がやり遂げたい
ことなんです。」
「・・・それが、あなたの愛ですか。」
「まさか。愛なんて幻想は、私を支えません。」

でも、憎しみは違う。憎しみは確かな現実として、
瑤子を奮い立たせてくれる。そして例え憎しみは
消えても、そこには安らぎが待っている。
愛が消えたら、待っているのは絶望だけだが。

瑤子は、医師の眼を凝視した。
「私は、ちゃんと支えを持っています。でもそれは、
彼に傍にいてほしいとか、慰めて欲しいとか、
そういうものとは逆の所にあるんです。」

「薬の影響で、倦怠感なども出ます。そのことを
ご主人に理解しておいてもらわないと、
仲たがいしてしまったり、最悪、暴力に
走ってしまうこともあるんです。」

「それでも、いいんです。」
医者は大きく溜息をつき、回転椅子を回して、
デスクに向かった。
「紹介状を出しますから、ホスピスの見学に
行ってください。そこで色々聞いて、見て、
もう一度考え直してください。

少しでも寿命を延ばすための治療を受けるか、
そのままにしておくのか。」
これ以上反論しても、医者と反目しあうだけだと
わかっている。
瑤子は何も言わず、頭だけ下げて、診察室を出た。

・・・
つづく

 

Author :井浦美朗( イウラミオ)
http://mypage.syosetu.com/

性別: 女性; 血液型: AB型;

 

 

A71211

 

 

歌は心の走馬灯、歌は世につれ、
 世は歌につれ、 
  人生、絵模様、万華鏡… 




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