■出版不況にネット通販・新古書店台頭で店舗数半減

 初夏を思わせる青空の下で、朝早くから数百人が並んでいる。5月28日、東京・神宮前の携帯ショップ「ソフトバンク表参道」。米アップルの新型情報端末「iPad(アイパッド)」の国内販売を待つ人たちの行列だ。午前8時の開店に向け、普段は静かな早朝の並木道がカウントダウンセレモニーで盛り上がる。この模様は、発売初日の象徴的なニュースとして大々的に報道された。

 iPadは、インターネットやメール、ゲームなどが楽しめる多機能情報端末だ。特徴の一つが電子書籍を読める機能。使い勝手の良さ、何冊も保存可能なことから電子書籍時代を加速させる情報ツール(道具)として期待されている。早くも大手出版社などが電子書籍の配信を始めたが、紙の本を取り扱う書店の反応は複雑だ。

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 ソフトバンク表参道から並木道を歩いて10分ほど。国道246号との交差点の一角に、都内有数の老舗書店がある。3階建ての壁一面に描かれた画家、谷内六郎の絵で有名な「山陽堂書店」だ。創業は明治24年3月5日。開店120年目の“黒船襲来”に、取締役の遠山秀子さん(50)は「本屋の未来はどうなるか…」と戸惑う。

 母親(78)と妹2人、叔母の女性5人で切り盛りする家族経営の“街の本屋さん”。東京五輪前の道路拡張で建物を削ったり、バブル時代に父親の死去で相続があったり…。そして近年の読書離れと、幾多の苦難がありながら営業を続けてきたが、2年前のリーマン・ショックによる金融不安以降はさらに状況が悪化したという。「土曜日の利益はパートに出たほうがましなときもある」と、つい愚痴も出る。書店のもうけは定価の2割程度で、紙袋の経費もばかにならない。雑誌1冊の客に単価が20円程度の手提げ袋を求められると、かなりつらいという。

 全国の書店が加盟する日本書店商業組合連合会(日書連)によると、加盟数はこの四半世紀減り続ける一方だ。ピークは昭和61年の1万2935。今では半分以下の5187に落ち込んだ。背景には、出版不況と流通環境の変化がある。出版科学研究所によると、推定販売金額は平成8年の2兆6564億円をピークに減少が続き、昨年は2兆円を割り込んだ。「アマゾン」などのネット通販や「ブックオフ」など新古書店の成長も大きい。小さな書店は大手に比べ取次業者との関係から、売れ筋の本がすぐに店頭に並ばないこともある。日書連の大川哲夫事務局長は「小さな書店ほど疲弊しきっていて、iPadへの不安の声すら上がってこない」と明かす。

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 街の本屋も傍観しているわけではない。山陽堂書店では、街との結びつきを生かした近隣オフィスへの配達が成功している。遠山さん自ら自転車をこぎ、本を運ぶ。多いときは1日500冊にもなる。明るい材料はまだある。客とのふれあいだ。常連客に事故で亡くなった作家の向田邦子さんがいた。本代のつけを気にする文面が残されており、後日遺族が支払いに訪れた。「父はよくお客さんに声をかけていました」と懐かしむ。客も会話をしたくなるような雰囲気づくりを大切にしたいという。

 東京の下町、千駄木で「往来道書店」を営む笈入建志(おいり・けんじ)さん(39)は、ポイントカードの利益還元をはじめ、毎週発行の手書き新聞などでスタッフおすすめの書籍を紹介している。「街の本屋が変わらなければならない時期に来たということ。本屋の良さは客が集まり、情報を寄せてくれるところにある。交流ができる場所づくりをしていきたい」と、希望を語った。

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 「毎日の生活が変わります」。iPadの国内販売が始まった日、ソフトバンクの孫正義社長は、こう予言した。前日にはソニーも電子書籍端末「リーダー」の日本投入を発表。電子書籍時代の幕開けを、街の本屋さんはどう受け止め、変わろうとしているのか。書店に携わる人々の表情を追った。

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