まいど~ニコ

生きもの大好き絵本講師のくが やよいです

 

 

先日の日記の続きです。

絵本、そして何より生きもの好きとしては

これはもうぜったいに行くしかなかろう・・・

 

 

一日だけでは足りず、二日通いました。

薮内正幸さんの原画展があったのは

なんと、大阪通天閣のド真ん前!

 

 

 

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ギャラリーカフェ・キリンさん。

 

 

一日目は絵本講師の先輩と行きました。

ギャラリーの中には、『しっぽのはたらき』の原画がズラリ!

 

『しっぽのはたらき』

川田健/ぶん

薮内正幸/え

今泉吉典/監修

福音館書店

 

 

 

 

表紙の果実をもぎとろうとしている しっぽ、

誰のしっぽだと思いますか?

 

 

ページをめくると現われるしっぽの持ち主。

子どもは「あっ!」と思うでしょうキラキラ

 

 

そして、そのしっぽのはたらきが、

 

ていねいに 

 

分かりやすい言葉と画で、

 

しかも 詳しく 書かれています。

 

 

(文章を書かれたのは、長年、アメリカの動物園に勤務されていた川田健さんです)

 

 

 

しっぽの部分と上半身とで 絵本の中では

真っ二つになっている薮内さんの画が

原画では一枚の絵で展示されていました。

 

 

 

これを真っ二つにした(せざるをえなかった)

福音館書店の編集者さん、、、、

(たぶん、松居直さん?)

そういう絵本の企画だから しゃーなしとはいえ、

勇気が要ったやろな――。

 

 

 

この絵本の監修の今泉吉典さん、、、、

実は、尊敬する動物学者

今泉忠明さんのお父上!!!!

 

 

 

今泉忠明さんといえば、

私の絵本講座のマスト写真集ハート

超絶おすすめ本『ブラザー・ウルフ』

の訳者さんで、

 

(たぶん生きもの好きには)めちゃめちゃおもしろい

『小さき生物たちの大いなる新技術』の著者で、

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『ざんねんないきもの事典』の監修もされている方なのです!

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ひーーーえーーーー!

そら、さすがの一冊ですわーーーガーン

 

 

 

なかなか薮内さんの画のすごさの

解説にたどりつけてないけど

これは、もう、あれこれ言わなくても

見てもらえば分かります。

 

 

 

2回目に行った原画展 最終日に、

薮内正幸さん(ヤブさん)のご子息で

薮内正幸美術館館長の藪内竜太さんのお話を聞きました。

 

 

ヤブさんは、絵を学んだことはなく、完全な独学。

そしてもともとは絵本画家ではなく

徹底的にその動物を見て、

骨をスケッチし、

生態と骨格を知りぬいたうえで

その動物の見たこともない動きを

忠実に再現して書くことができたという

研究者のような人だったそうです。

 

 

高校を卒業する年に

福音館書店を興した松居直さんにスカウトされ、

福音館の社員として動物学者の今泉吉典さんに師事

(ここで「とにかく骨をかけ」といわれたそう)

そして日本で初めての『世界哺乳類図説』を出版するために

ひたすら絵を描き続けたという・・・

 

 

でも、10巻刊行されるはずだったその図鑑は、

社の方針で3巻目でストップしてしまった・・・

そのことをヤブさんは、

「心に穴があいたようだった・・・」と語っていたそう。

 

 

60歳で永眠される前、入院されていたヤブさんは

病室で「水彩画教室」という番組を見ていた、

という話を聞いたとき、

たぶん、体力的にペンを持つことさえ辛かったんだろうと思う・・・

 

 

それでも、

ずっと頭の中で絵筆を走らせていたヤブさんが

福音館書店の松居直さんと

 

「子どもたちに本物を届けたい!

子どもに見せるものは

本物でないとだめだ!」

 

という熱い思いで繋がり、

世の中の子どもたちのために残してくれた絵本がある。

 

 

そして、その制作過程や裏話、

薮内正幸さんのことを伝え続けている、藪内竜太さん。

 

 

講演の中では一度も

「父」という言葉は使われませんでした。

とにかく動物を見て、描くことが好きだった

薮内正幸さん その人の生きざまや

一枚の絵が生み出された経緯、

描くための深い洞察と 熱意を

まっすぐに伝えてくださいました。

 

 

 

 

『しっぽのはたらき』の表紙の絵、

•この果実がこのぐらいの色に熟すとき、

この植物の葉の色や広がり具合はどれほどか。

 

 

•登場する動物たちの毛の流れ、

この部分はどちら側に向かって生えているか。

 

 

•動物がこういう動きをしたときに

尻尾はどちら側に流れるか。

 

 

•筋肉はどの部分が盛り上がり、

どこに太い血管があるか。

(これは『どうぶつのおかあさん』のライオンの絵を見てね!)

 

 

専門家が見ても唸るほどの正確さと精密さなのだそう。

 

こういうものが、さりげなく込められている科学絵本。

・・・・すごい。

 

 

 

絵本講師・養成講座で学んだ松居直さんの

子どもの本の作り手としての思いと

それに応えるように絵筆を走らせたヤブさんの思いは

深いところでしっかりと繋がっていたんやなぁ。

 

 

知ってしまったら、知らんぷりはできない。

 

 

竜太さんが話してくださった

熱い思いを胸に抱いて、

私はこれからも 絵本講座や いろんなところで

ヤブさんの絵本を伝えて

読んでいこうと思います。

 

 

 

 

ギャラリーで買った『冒険者たち』のファイルと葉書、そして冊子。

 

『ヤブさん 薮内正幸・動物園に生きた六十年

(薮内正幸美術館)

 

 

 

鷲鷹がお好きだったという ヤブさん。

ありし日のヤブさんの人となりが伺えて、

胸がいっぱいになる一冊です。

 

 

 

 

 

 

 

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