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 今日の記事は、民法のAランク過去問から得るべきことについてです。

(平成28年)
 平成28年の問題は、設問1(1)~設問2(3)のすべてにおいて、訴訟物から考えさせる問題です。

 この問題では、正しい「訴訟物」を選択し、請求の「要件」の検討過程で論点を抽出することができるかどうかで勝負が決まります

 論証・当てはめの説得力は、1桁~2桁でやっと問題となるレベルです。

 一番大事なことは、訴訟物の選択と論点の抽出です。

 なお、設問でいう「請求の根拠」「内容」「当否」についても、本試験で悩んで時間をロスすることにならないように、自分なりにでいいので、それが意味するところを把握しておく必要があります。

 ただ、あまり深く考える必要はありません。

 設問1(2)・設問2(1)・設問2(2)のぞれぞれにおいて「請求の内容」が具体的に何を意味しているのかが明確に示されていない以上、ほとんどの受験生が「請求の内容」について把握できていないでしょうし、「請求の内容」に振られている点は僅かです。

 訴訟物の選択・論点の抽出が一番重要ですから、「請求の内容」で悩んで時間をロスしないようにしましょう。

 請求の「当否」は請求の要件及びそれに関連する論点ですから、少なくとも、請求の「内容」は請求の要件・論点ではないということになります。

 なお、設問2(1)に関する採点実感では、「Mの請求の根拠がHのEに対する貸金債権をMがHから譲り受けたことにあり,Mの請求の内容が元本500万円とそれに対する利息及び遅延損害金の支払となることは,大多数の答案が説明していた」とされています。
 
 ここでは、請求の内容とは、設問記載の「500万円」「利息」「遅延損害金」が、MがHから譲り受けた貸金債権の「元本」「同貸金債権の利息」「同貸金債権の遅延損害金」であることとして把握されています。設問2(2)も同様です。

 なので、「請求の根拠」として訴訟物をピンポイントに示すことが求められている場合もあれば、「請求の根拠」と「請求の内容」とで訴訟物を示すことが求められている場合もあるということになります。


(平成27年)
 幅広い分野から出題されており、平成28年の問題に近いと思います。
 
 特定の設問から何かを学ぶというのではなく、平成28年に近い問題であるため、演習には最適であると思います。


(平成25年)
 平成28年・平成27年の問題と異なり、設問ごとに学んでほしいことがあります。

 まず、設問1では、請求原因事実を摘示するという問題の書き方をしっかりと確立しておきましょう。

 ポイントは、①請求原因事実の摘示に入る前に抽象的な要件事実の説明・摘示をどこまでやるのかを、自分なりに確立しておくこと、②最終的に摘示するべきは、抽象的な要件事実ではなく、問題文の具体的事実に依存する請求原因事実
であるということです。

 次に、設問2では、契約当事者間での金銭支払請求が問題となっている事案では、(少なくとも思考過程としては)まずはじめに債務不履行責任を考えるということを、思考パターンを確立しておきましょう。

 これに加えて、債務不履行責任が言い分方式で問われた場合に、原告パートはフルスケールで主張させ、反論・私見は争点についてのみ展開する、という書き方を確立しておくことも重要です。

 そして、設問3では、判例の射程が問われている問題では、①判例のルールを支えている根拠をピンポイントに指摘した上で、②その根拠を比較基準として判例と本件の事実関係を比較・評価することで判例の射程を論じ、③判例の射程が及ばないとする場合には、判例のルールがどのような形に変容して本件に適用されることになるのかまで論じます(合格レベルとしては、①②ができれば十分です。)。

 ①→②というプロセスは、民事訴訟法における判例の射程問題でもそのまま使うことができますから、しっかりと習得しておきましょう。


(平成24年)
 平成24年の問題も、平成25年の問題と同様、設問ごとに学んでほしいことがあります。

 まずは、設問1(2)では、「法律上の意義」として究極的に問われている「訴訟上の攻撃防御との関係における意義」を論じる前提として、「実体法上の意義」について説明することが必要となります。

 以下が、設問1(2)に関する採点実感となります。

 " 訴訟上の攻撃防御の理解を踏まえた具体的事実の意義付けを問う小問(2)においては,自己の物の時効取得が成立可能であるかどうかという見地から題意の事実の意義が考察対象となるということ,及び,自主占有が法律上推定されることを踏まえて,自主占有であることを否認する観点から題意の事実が意義を持つことを適切に論ずる答案も見られた。半面において,これらのいずれかのみを論じ,又は,これらのいずれもが指摘されていないものがあり,とりわけ自己の物の時効取得の適否という観点を問題としていない答案は,少なくなかった。訴訟における攻撃防御を考察する際には,実体法と関連付けて検討することが,極めて重要である。そもそも実体法上問題とならない事実,実体法上問題となる事実ではあるが主張立証責任の観点から主張立証を求められない事実ないし否認の理由付けになるにとどまると認められる事実,そして,実体法上問題となるのみならず主張立証が正に求められる事実の区別は,実体法の正確な理解を基盤として初めて成り立つものである。 "

 次に、設問2では、「契約内容の確定」のプロセスを理解することが重要です。
 
 契約内容の確定は、大別して、①合意の意味の確定、②合意の意味を確定できない場合における契約の補充、という過程を経ることになります。

 これを意識して、設問2を書いてみましょう。

 そして、設問3では、債務不履行責任における相当因果関係の検討過程をしっかりと確立しておきましょう。
 
 416条1項・2項との関係で相当因果関係説についてどのように論証するか、特別事情の予見可能性の有無についてどのような過程を経て認定するのか、特別事の予見可能性が認められた場合にどのようにして相当因果関係を判断するのか、といったあたりです。


(平成23年)
 まず、訴訟物や法律構成を自分で考えさせる問題である上、かなりの多論点型の問題であるので、今年の司法試験対策のための演習には最適です。

 次に、設問1(2)では詐害行為行為取消権が問題となりますが、メリハリを付けた上で、すべての要件を網羅的に検討するというテクニックを身に付けましょう。また、相関関係説に基づく詐害行為該当性の論じ方も確立しておきましょう。

 そして、設問2では、「債務内容」を検討するということも求められており、同種の出題がされる可能性もあるので、しっかりと検討の視点を確立しておきましょう。ポイントは、給付義務・付随義務・保護義務(あるいは付随的義務)という概念を正確に理解することです。

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