びょうそくで司法試験(労働法1位 論文36位で合格した秘訣)

 加藤喬(かとうたかし)
 青山学院大学法学部
 慶應義塾大学法科大学院
 平成26年の司法試験合格後、資格スクエア・株式会社BEXA・辰巳法律研究所
 にて、労働法と基本7科目について徹底した過去問分析に基づく実践的な司法
 試験対策講義を実施。

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 今回は、民事訴訟法の雑感です。

 

 詳細につきましては、こちらの模範答案及び解説動画で確認して頂ければと思います。

 

 平成25年~平成28年の判例の射程・応用に重点を置きすぎた出題から一変し、昔の新司法試験・旧司法試験に近い、バランスの良い問題になりました。

 

 そして、設問1~3を通じて、新司・旧司・予備試験の過去問をほぼ対応することができます。

 

 したがって、司法試験対策としての過去問の重要性が増したといえます。

 

 なお、総まくり140民事訴訟法との相性はかなり良かったと思います。

 

 総まくりで取り上げている新・旧・予備の過去問論証が複数出題されています。

 

・代理人による契約締結(84頁、新司H241(2))

・訴訟物については主張共通原則のように考えることはできない(129

 頁、旧司)

・権利抗弁と事実抗弁の区別基準(87頁、新司H21設問1)

・前訴訴訟物と後訴訴訟物がいずれも同一売買契約に基づく場合に

 おける先決関係の肯否(137頁、H24予備)

・建物収去土地明渡請求の認容判決の「建物退去」部分についての既

 判力に準ずる効力(150頁、新司H21設問2)

 

 以下が、設問ごとの雑感となります。

 

 

設問1

 これは、新司平成24年設問1(2)に、訴訟資料と証拠資料の峻別という観点が追加されたものです。

 

 弁論主義第1テーゼ → 訴訟資料と証拠資料の峻別 → 代理人による契約締結が主要事実に位置づけられることの説明、という流れで論じます。

 

 

設問2(1)

 

1.処分権主義(その1)

 まずは、「裁判所は、原告により設定された訴訟物とは別の訴訟物について判決することができない」という意味での処分権主義への違反が問題となります。

 

 ①会話文では、「本件絵画をXに時価相当額で売却し、その額は300万円である」というYの主張の位置付けの整理も問われているため、事実についての主張共通原則のように考えて、Yの主張によって売買契約に基づく目的物引渡請求権が訴訟物として追加されたとはいえないかが問題となります。

 

 同種の問題意識は、原告が法定解除に基づく原状回復請求をしたところ、裁判所が被告のみから主張された合意解除の事実を認めて、合意解除に基づく原状回復請求についての認容判決を下すことの可否、として旧司で出題済みです。

 

 事実主張については主張共通原則が認められているが、訴訟物については原告にのみ設定・変更の処分権が認められているため主張共通原則のように考えることはできない、という話です。

 

 ②そこで次に、「仮にこの取引が売買であり、本件絵画の時価相当額が代金額であるとしても、その額は200万円に過ぎない」というXの主張が、Yの主張通り本件絵画に関する取引が売買であると認定された場合に備えて、訴えの追加的変更(143条)によって売買契約に基づく目的物引渡請求権を訴訟物として追加する趣旨のものであるといえることから、訴えの追加的変更を検討します。

 

 ここでは、㋐Xによる訴えの変更はYが防御のために主張した事実に基づいて行われたものであるため、「請求の基礎」の同一性は要件とならないこと、㋑請求の趣旨の変更を伴わない「請求の原因の変更」のみによる訴えの変更については書面の提出・送達は不要であること(判例は不要説、通説は必要説‐新民517頁、伊藤603頁)を論じます。

 

 結論として、訴えの追加的変更により、売買契約に基づく目的物引渡請求が訴訟物として追加されたことが認められます。

 

2.処分権主義(その2)

 次に、「200万円の支払い」を強制執行の条件とする点について、一部認容判決と処分権主義の問題を論じることになります。

 

 Xの合理的意思及びYに対する不意打ちという観点から検討します。

 

 結論としては、処分権主義には違反しません。

 

3.弁論主義

 まず、①同時履行の抗弁権が権利抗弁であることを認定します。

 

 権利抗弁と事実抗弁の区別については、複数の説明がありますが、「延期的・一時的抗弁権は権利抗弁、永久的抗弁は事実抗弁」とする民訴百選51解説の立場が、最も正確であり、分かりやすいです。

 

 この見解からは、同時履行の抗弁権は権利抗弁に位置づけられます。

 

 次に、②同時履行の権利主張がYによって行われているのかについて検討します。

 

 模範答案では、Yの否認の態様(贈与に対する否認であれば間接事実として売買だけ主張すれば足りるのに、代金額及びX未払いという事実まで主張している)に着目して、黙示的に同時履行の権利主張を行っていると認定しています。

 

 

設問2(2)

 

1.220万と評価されれる場合

 まず、①処分権主義が問題となります。

 

 ㋐反対給付額220万円はX主張の200万円と格段の相違のない金額であること、㋑Xが200万円を超えるのであれば代金を支払わないという明確な意思を有しているともいえないという理由から、Xの合理的意思に反しません。

 

 また、Yには代金額を争う機会が与えられているため、Yに対する不意打ちにも当たりません。

 

 したがって、代金額を220万円とする引換給付判決は、処分権主義には違反しません。

 

 次に、弁論主義との関係で、X・Yいずれかの主張が代金額220万円という事実にも及んでいるといえるかを検討します。

 

 模範答案では、いずれの主張も代金220万円という事実にも及んでいないとして、代金額を220万円とする引換給付判決は弁論主義に反するから、代金額200万円とする引換給付判決をするべきであると結論付けています。

 

2.180万円と評価される場合

 ①まず、Xはもともと贈与契約に基づく無条件の引渡しを求めていたのだから、売買契約に基づく無条件の引渡しを求める意思も有しているとの理由から、売買契約に基づく無条件での引渡しも申立事項に含まれているとして、処分権主義違反を否定します。

 

 ②次に、弁論主義との関係では、Xの代金額200万円の主張には代金額180万の事実の主張も含まれているとして、弁論主義違反も否定します。

 

 したがって、代金額180万円とする引換給付判決をするべきであるという結論になります。

 

X主張の180万円よりも

  

 

設問3

 

1.先決関係

 まず、前訴と後訴が既判力の作用する関係に立つかどうかを検討することになります。

 

 前訴訴訟物(本件絵画の売買契約に基づく目的物引渡請求権)と

後訴訴訟物(本件絵画の売買契約に基づく代金支払請求権)とが、先決関係に立つかが問題となります。

 

 同種の問題意識は、明示的一部請求と残部請求の関係が問われた平成24年予備試験で出題済みです。

 

 前訴訴訟物と後訴訴訟物は同一目的物の売買契約に基づくものでありますが、あくまでも後訴訴訟物が前提問題にしているのは前訴訴訟物ではなく、前訴判決理由中の判断事項である本件絵画の売買契約の成否です。

 

 したがって、「前訴…訴訟物…が後訴…訴訟物…の前提問題(先決問題)になっている」(読解141頁)といえず、先決関係は認められません。

 

2.売買契約の成否についての争点効

  争点効を認めることができれば、前訴判決の既判力が作用しない後訴においても、売買契約の成否についての審理・判断を制限することができます。

 

 模範答案では、一定の要件の下で、売買契約の成否についての争点効を認めています。

 

3.代金額についての既判力に準じる効力

 引換給付部分である代金額についての問題の本質は、それが本来的には判決手続の関知しない「責任」に属する問題であるという点にあります(重点講義(下)669頁)。

 

 そうすると、代金額については、争点効ではなく、既判力に準じる効力(判例は、限定承認という責任に属する事柄について肯定している‐百85)として論じるのが、もっとも問題の所在に沿っているといえます。

 

 なお、「新堂説では、争点効が生ずる」(重点講義(下)246頁)という説明もあるので、立場によっては争点効による処理もあり得るかもしれません。

 

 ただ、難しいのは、争点効と異なり、「既判力に準ずる効力」については、前訴判決の既判力が作用する関係(同一・矛盾・先決関係)にある後訴においてのみ作用するものではないか?ということです。

 

 そのため、模範答案では、「仮に、前訴既判力が後訴に作用すると解したとしても、既判力が生じるのは訴訟物である売買契約に基づく目的物引渡請求権の存否についてのみであり(114条1項)、訴訟物と区別される責任の問題に属する引換給付部分には既判力は生じないから、後訴において代金額について改めて審理・判断することができるのではないか。」という断り書きをした上で、既判力に準ずる効力の検討に入っています。

 

 結論として、肯定しています。

 

 以上が民事訴訟法の雑感となります。

 

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