厚生労働省は5月18日、経済連携協定(EPA)に基づきインドネシア人・フィリピン人看護師・介護福祉士候補者の受け入れ事業を行う「社団法人国際厚生事業団」を対象に事業仕分けを行った。仕分け人の高橋進氏(日本総合研究所副理事長)は、「EPA協定に沿った事業そのものが、体制と実績との間、成果と言うか、そこの差がいずれ大きな問題になってくるのではないかという懸念を抱く」と指摘。「法人の問題というよりも厚労省全体として、この問題について改めて当事者意識を持った取り組みが必要ではないか」と問題提起した。

 同事業団は1983年に、国際的な保健・福祉の発展に貢献することを目的に設立された。アジア地域を中心とした開発途上国の保健・福祉分野の行政官の人材育成研修事業や、水道をはじめとする保健・福祉分野の調査などのほか、「外国人看護師・介護福祉士受入事業」や「外国人看護師・介護福祉士受入れ施設支援事業(あっせん事業)」を実施している。

 同事業団は改革案として、▽候補者が協定により許可されている滞在期間を最大限受け入れ施設内での就労・研修に充てられるよう、候補者の就労開始時期の早期化を図る▽より多くの候補者にマッチングの機会を提供するとともに、受入れ機関の選択肢を増やし、マッチング成立者数を増加させるよう、マッチングリストに登録する候補者を増加させる―などを提示した。

 議論では、田代雄倬氏(元川崎製鉄環境エンジニアリング部長)が外国人候補者の国家試験合格率について、「どれぐらいを前提に入れて考えているか」と質問したのに対し、同事業団の角田隆専務理事は「分からない」とし、今年3人の看護師候補者が国家試験に合格したことを踏まえ、「とにかく3人受かったということで、皆さんまたやろうかという気になってくださったと思っている」との認識を示した。

 仕分け人の「外国人看護師・介護福祉士受入事業」についての仕分け結果は、全員一致で「改革案では不十分」だった。

 省内事業仕分け事務局が示した資料によると、同事業団の実施する事業以外にもEPA関係事業として今年度は、経済産業省の「経済連携人材育成支援研修事業」や厚労省の「外国人看護師候補者就労研修支援事業」などがある。
 これについて、高橋氏は「政府全体では非常に多額の日本語教育のためのお金を使っている。これだけのお金に見合う日本語教育の効果が上がっているのか」と指摘。費用対効果も含めて、どこでどういう体制で日本語を教えるのが結果的に合格者数を増やすことにつながるのか検討を急ぐべきと主張した。


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