武士道ボクシングⅤ

世界に誇るべき日本人のボクシング
それが武士道ボクシング


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2016.1.20 後楽園ホール
DANGAN150

見どころ ~その2

 ダブルメインのもう一試合は、元WBC世界フライ級王者、ソニーボーイ・ハロ[33=比国]に、日本Sフライ級8位、サウスポー鈴木悠介[28=八王子中屋]が挑むビッグチャレンジマッチがセットされた。

 ハロは後楽園ホール初登場。心待ちにしていたコアなファンも多いであろう。私も一ファンとして、スポンサー、マッチメイカーに心から感謝したい。ハロの名前を世界的に有名にしたのは、‘12年、敵地タイで挑んだWBC世界フライ級王者、日本人キラーのポンサクレック・ウォンジョンカム[タイ]戦。当時引き分けを挟んで18連勝中のポンサクレックに対し、1Rと3R、そして6Rに2度のダウンを奪い、3度目の挑戦にして見事、世界王座を獲得した。この試合は、誉れ高き’12年リングマガジンアップセットオブザイヤーに輝いている。元々Lフライ級を主戦場とし、切れ味鋭いカウンターを武器に戦っていたハロ。世界獲りにあたり、以前から定評のあったパワーパンチを肉体改造で更にレベルアップ。一方で、肥大化しすぎた筋肉は、フライ級戦線での減量苦を招き、五十嵐俊幸[帝拳]との初防衛戦での王座陥落に続き、久高寛之[仲里]にも判定負けを喫するなど、コンディショニングは脆弱であった。しかし、主戦場をSフライ~バンタムに移し、霧が晴れたかのように8連勝6KOと再び勢いを取り戻している。現在WBC7位に位置し、虎視眈々と世界2階級制覇を目論むハロ。ポンサクレックを倒した目の覚めるようなカウンター右アッパー等のスキルに加え、4230KOの強打も兼ね備えたハロに死角はあるのだろうか。


一方の鈴木はアマ78戦、高校、大学ともに国体3位の実績を引っ提げB級デビュー。器械体操出身の父親から譲り受けた高い身体能力と、どこを叩いても『強気』しか出てこないポジティブなメンタルをベースに、極めてアグレッシブなボクシングを展開する。また、最終ラウンドまで渾身の打ち合いを挑める高い心肺能力によって、激闘、大逆転劇を演出してきた。反面、気持の強さ故、ディフェンスの脆さを垣間見せる場面も多い。更に、今回の相手は元世界王者、プロ60戦のハロ。プロ8戦の鈴木とのキャリア差は歴然である。その意味でも、今回のハロ戦は無謀な挑戦だとの声もある。しかし、ハロの勝利のほとんどは1~2Rの早いラウンドでのKO決着であり、一方13の敗戦のうち7敗が序盤のKO負け。倒しもするが倒されもする。更に直近の3敗は全て1012R判定であり、スタミナの不安を覘かせる。アウェイでの厳しさを知るハロは、判定など考えず、当然初回からフルスイングでKOを狙いにくると予測される。つまり、序盤でのKO決着も互いにあり得るし、後半の大逆転劇もあり得る。とはいえ鈴木にとって厳しい戦いになることは間違いない。誉れ高き’16年DANGANアップセットオブザイヤー受賞を期待し、鈴木に大きな声援を送って頂きたい。

 

そしてアンダーには渕上誠[32=八王子中屋]と芹江匡晋[32=伴流]の元王者二人が登場する。渕上といえば佐藤幸治[帝拳]を奇跡の大逆転で下し、日本&東洋王座統一を果たした伝説の一戦が思い出される。更には3団体統一世界王者、ゲンナジー・ゴロフキン[カザフスタ]に挑んだ世界タイトルマッチも印象深い。現在、日本人選手に4連敗中と、かつての勢いを失っている感のある渕上。気力の打ち合いが身上、4戦連続ランカー挑戦の美柑英男[渥美]を弾き返し、再浮上を狙いたい。

そしてかつて日本王座を6度防衛した芹江が、ノーランカーとして、日本Sバンタム級12位、戸井健太[三迫]に挑む。日本王者時代は無双の強さを発揮した芹江だったが、小國以載[角海老]戦での敗戦以来、暗く長いスランプのトンネルに入り込んでしまった。日本ランクに復帰し、再浮上のきっかけとしたい。ランカー対決2連敗中の戸井も後がなく、両者正念場の一戦となる。

また破壊力抜群、右のスカッドミサイル搭載、エルフェロス・ベガ[平石]と‘14年全日本ミドル級新人王、成田永生[八王子中屋]との再戦も楽しみだ。

 

メイン級のカードがズラリと並んだ今宵のDANGAN150&FIRSTRAIGHT CUP。ボクサーたちの様々な葛藤に心を寄せたとき、リング上で戦うボクサーに贈るあなたのエールは、実は自分自身へのエールでもあることに気づくはずだ。

 日ノ本一(ひのもとはじめ)


*ソニーボーイ・ハロvs鈴木悠介の試合は、ハロの計量失格のため中止となった。ハロは以前にも日本において計量失格を犯し、1年間の招聘禁止となっているが、続く今回の失態によって、招聘禁止どころか永久追放も免れない事態となってきた。1回目の計量が1.4kgオーバー、2回目も1.2kgオーバーとボクサーとして全く艇をなしていない。あの筋骨隆々の体は見る影もなく、ただの肥満中年にしか見えなかった。人間とは日に日に新たに生きるものであるから、過去を問うて一事が万事との偏見は持ちたくないが、今回のようなことがあると、私の心まで貧しくなってしまう。世紀のアップセットを狙い、正月返上で練習に取り組んできた鈴木の無念さたるや筆舌に尽くしがたい。

メインの大川vs新藤のみどころはコチラ↓
http://ameblo.jp/bushidoboxing5/entry-12116102870.html

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2016.1.20 後楽園ホール
DANGAN150[日本]

みどころ

 

 本日のメインイベントは、前王者、高山樹延[角海老]が返上した日本ウェルター級王座を懸け、同級1位の大川泰弘[31=ワタナベ]と同級2位の新藤寛之[29=宮田]が雌雄を決する。

 

実にハイコントラストなカードとなった。大川のデビュー戦は‘0211月。下川原雄大[角海老]と対戦し、ドロー判定でプロキャリアをスタート。2戦目もドロー。3戦目に黒星。5戦目はデビュー戦の渡部あきのり[野口]に判定負け。A級昇格後も一つの引き分けを挟んで4連敗。下川原との2度目の対戦では8RTKO負けに加え、白内障を患い1年間のブランクも作った。それでも諦めることなくリングに立ち続けた大川は、坂本大輔[角海老]から念願の日本ランキングを奪うこととなる。しかし次戦、斉藤幸伸丸[輪島]とのランカー対決に敗れランクを失うと、3度目の対戦となる下川原戦で5RKO負けを喫し、この試合を転機として、人知れずリングを去ることとなった。野獣のような風貌と豪快なボクシングスタイルとは対照的なリング人生であった。しかし「強くなりたい」。そんな一心で始めたボクシング。未練があった。子供も生まれた。大川は自問自答する。「もし子供が挫折したとき俺は何を語ってあげられるのか・・・」。24か月後、大川は再びリングに立った。復帰戦となった日本ランカー有川稔男[川島]戦では左右を振り回す以前の荒々しいスタイルではなく、鼻先で拳をかわし、左ジャブを中心にボクシングを組み立てる緻密なスタイルへと変貌を遂げていた。別人と錯覚するほどの変貌ぶりで目下5連勝。ランキング1位まで上り詰め、プロ29戦目でこの大舞台にたどり着いた。

 

 一方の新藤はアマ25戦の経験を持ち、186センチの長身サウスポーから繰り出される槍のような左を武器に‘08年東日本新人王準優勝。’09年には全日本新人王も獲得した。連勝街道を突き進む一方で、これまでの新藤は長い手足を完全には使いこなしておらず、ムラのある戦い方が目立っていた。また鋭い身躯は故障にも弱く、幾度となく怪我に悩まされた。しかし、ここ数試合は強い体幹を作り上げ、バランスのとれたボディワークから繰り出される左の槍が実に効果的に距離をキープする。昨年3月にアタックした初のタイトルマッチでは、初回、王者高山から左ストレートでダウンを奪うなど前半戦を完全に支配した。しかし6Rに左拳を痛めてからは、開き直った高山の前進を止められず、ボディで後退。前半の貯金を使い果たし、無念の判定負けを喫した。しかし、このタイトルマッチ経験というアドバンテージは非常に大きく、独特の雰囲気への適応は勿論のこと、最悪の中の最善という引き出しも今回、新藤は用意しているであろう。関係者間でも、やはり新藤有利との予想が多い。

 奇しくも身長差は高山戦と同じ14センチ。同様に大川が懐に入りボディを叩こうとすれば、新藤は左で突き放し、隙があれば顎を打ち抜かんとする展開が予想される。見どころはズバリ距離感とハート。抽象的で見えない世界の駆け引きに五感を寄せることで、この試合をより一層楽しむことができるだろう。今宵も両の拳を弾丸の如く練磨し、己の生きざまを謳い闘う拳闘家たちの熱きドラマをご堪能ください

日ノ本一(ひのもとはじめ)

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2015.12.21 後楽園ホール

DANGAN149の見どころ



 本日は2015年最後のDANGAN興行となります。今年は計31回の興行を開催させて頂きましたが、皆様には多くのご愛顧を頂戴し、心より御礼申しあげます。まもなく訪れる新しい年も、
皆様にとって実り多き一年となることを祈念すると共に、ボクシングという競技が今後も永続的に発展していくことを願ってやみません。

 昨今では、中東シリア情勢等、世界中で改めて平和とは何かが問われています。世界各国で、多くの尊き命が奪われている緊迫した空気の中、今ここでボクシングを語ることへのそしりを受けることは承知しておりますが、非議を受けながらも、ボクシングを通じて今を生き、平和を主張すること、祈ること。そして生活をするとは如何なることなのかを表現していくことが、我々ボクシング人としての責務だと感じております。


 本日のメインは前王者、小國以載[角海老]の返上によって空位となった日本Sバンタム級王座決定戦がセットされた。赤コーナーは、同級1位久我勇作[ワタナベ]25歳。久我は幾多のハードマッチメイクを勝ち抜いてきた生粋の叩き上げボクサー。

 死のグループと呼ばれた2013B級トーナメントで優勝&MVP獲得。続くA級トーナメントも制するなど、勝負どころでの爆発力と決定力の高さから、Mr.トーナメントと評される若手の成長頭。着実に勝利を重ね、14戦目の今夜、トップランカーとして初のタイトルマッチに臨む。

 対する青コーナーは本日が35戦目となる同級2位石本康隆[帝拳]34歳。石本は名門帝拳ジムの中にあって決して輝く存在ではなく、勝ち負けを繰り返しながら苦労人と言うべきキャリアを積み重ねてきた。

 初のタイトル挑戦は、2012年に遡る。最強後楽園を勝ち上がり臨んだのは、当時V5中、無双状態の芹江匡晋[伴流]。しかし初のタイトル挑戦という飲み込まれと、芹江のフィジカルの前に惜敗。一時は引退も示唆したが、その後大きな転機が訪れる。元世界王者のウィルフレド・バスケスJr[プエルトリコ]からダウンを奪い、数ある地域タイトルの中でも由緒正しきWBO世界Sバンタム級インターのベルトを獲得するというマカオの奇跡を巻き起こし、石本は一躍全世界からの脚光を浴びることとなる。

 
そして満を持して臨んだ昨年末の小國以載[角海老]との王座決定戦では、決して折れない心と技術という粘り強いボクシングを見せ、どちらの手が上がってもおかしく無い試合展開となったが、あと一歩が届かなかった。

 あと一歩。あと一歩。3度目の正直で是が非でもタイトルを手中にしたい石本であるが、「自然体のボクシングをするのみ」と静かに語る。今回、その心中が意外と静かに保たれているのは、やはり積み重ねてきた戦績の重みであろう。

 一方の久我も、充実した練習環境のもとで更なる成長を実感しており、タイトル獲得に向け一遍の曇りもない。久我の若さと勢いが、石本を飲み込んでしまうのか、それとも石本のキャリアとスキルがモノを言い、久我を封じ込めてしまうのか。更には両陣営が如何なる作戦を立て、展開の中で如何に戦術を組み直していくのか。

 アンダーカードも含め、本年最後のDANGANに相応しい、ボクシングエッセンスがこれでもかと詰まった試合の数々をご堪能ください。

日ノ本一(ひのもとはじめ)

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2015.12.8 後楽園ホール
DANGAN147

 ラテン語のsur(超える)とvive(生きる)が語源であるSURVIVAL。サバイバルという言葉は日常的にもよく使われているが、決して安易な言葉ではない。語源からも分かるように、その奥には「生命を超える」という超常的な意味が込められている

 

 本日のメインに登場する土屋修平[角海老]は、デビューから無傷の12連続KO勝利を記録。豪快な勝ちっぷりに加え、セクシーボーイと評される甘いルックス。某テレビで、辛口の張本功氏から「あっぱれ!」を賜るなど、まさに時の人であった。試合の度、各種メディアは土屋の一挙手一投足を追いかけた。

 ‘10年には全日本新人王&MVPを獲得しランクイン。勢いそのままにタイトル奪取の期待も高まったが、15戦目で40戦目の川瀬昭二[松田]にまさかの9RTKO負け。初黒星を喫し、続く再起戦も、現東洋太平洋ライト級王者、中谷正義[井岡]に3RKO負け。メディアは潮が引くように土屋から離れていった。

 それ以降、いわゆるメインストリームからは外れてしまった感のある土屋。また日本ライト級王者に加藤善孝、日本Sライト級王者に岡田博喜という同門王者が君臨していたことも、タイトル挑戦へのストーリーマッチメイキングのし難さに繋がっていた。

 隔靴掻痒の日々を送る中、ここ数試合は荒々しいファイトスタイルから、左を中心とした正統派ボクサーへのスタイルチェンジを模索しているが、最近では原田門戸[横浜さくら]にも競り負けるなど、未だかつての勢いを取り戻したとは言い難い。更なる高みを目指すため、土屋は今、産みの苦しみの中にいる。


 対する松山和樹[山上]は、2連敗からプロキャリアをスタート。そこから奮起し6連勝を遂げるも、東日本新人王準決勝で敗れるなど3連敗を喫する。しかし、ここからがこの男の真骨頂である。敗戦をバネに着実に成長を遂げ、タイトル挑戦経験もある日本ランカー小竹雅元[三迫]を判定で下しランクイン。そしてB級時代に敗れた合田剛士[草加有沢]にも雪辱を果たすなど6連勝。

 感情を表に出すタイプではなく、KO勝利してもその表情はほぼ変わらない冷静沈着ぶり。177cmの恵まれた身長とリーチから繰り出されるショットにも自信がみなぎっており、関係者間でも評価はうなぎのぼりだ。気が付けば、土屋がライト級6位、松山がSライト級3位と立場も逆転した。同門、天笠尚とのスパーリングで培った打たれ強さで土屋の強打に対しても決して臆することはないだろう。


 ともに1986年生まれで、デビューもほぼ同時期。過去の戦績やスタイル等、対照的ともいえる両者が雌雄を決する。

 土屋にとっては、自身の輝きを取り戻しつつ、タイトルマッチに繋げるためにも絶対に落とせない一番。対する松山にとってはタイトル前哨戦と言っても良い一番。どちらにしても今後の選手生命を左右する潮目の一戦となることは間違いない。


 まさにサバイバルマッチである。どちらが生き残ることへの執着が強いのか。己の生命を超えていけるのか。大注目の一戦。 



日ノ本一(ひのもとはじめ)



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2015.11.9 後楽園ホール
DANGAN145のみどころ 


 中国の春秋時代、呉王夫差は、父の仇である越王勾践を討つため、薪(たきぎ)の上に寝て身を苦しめるという苦行を自らに課し、その痛みによって屈辱を忘れまいとした。何事にも消し去れぬ誓いを刻んだ夫差は見事勾践を討ち獲ることに成功する。一方、敗れた勾践は、夫差の馬小屋の番人にされるなど奴隷として屈辱の日々を重ねたが、いつの日か会稽の恥を雪(そそ)がんと心に誓い、苦い胆(きも)を嘗()めて報復の志を忘れまいとした。そして20年もの苦行の日々を経て、見事夫差の軍を大破した。このような由来から、目的を遂げるために苦難を耐え忍び、努力を重ね続けるさまを表した故事成語が『臥薪嘗胆』である。

 

 本日のメインで激突する両選手は、2013年1月、後楽園ホールのリングに登場している。王者、柴田昭雄[ワタナベ]は、プロ28戦目、日本Sウェルター級チャンピオンとして、細川貴之[六島]を8RKOで下した。一方の挑戦者、前原太尊・康輝[六島]は、プロ4戦目のグリーンボーイとして金澤圭介[ワタナベ]と4回戦を戦い3RTKOで敗れている。

 

 あれから、2年10か月。柴田はロンドン五輪金メダリスト村田諒太[帝拳]のデビュー戦の相手を務めたが2RTKOでマットに沈んだ。一敗地に塗(まみ)れ、閉じこもる日々が続いたが、その後再起し、日本・東洋王座統一を果たすなど5連勝。村田戦での屈辱が柴田に深みをもたらしたのだろうか、感情が昂ぶることで打ち合いに付き合い、距離やリズムを乱してしまう悪い癖が、ここ数試合、影を潜めるなど安定感が増している。

 

 対する前原は、トップロープをまたいでのリングインに始まり、190cmの長身から怖いもの知らずの左を打ち込む迫力満点サウスポー。前述の敗戦以来、全日本新人王獲得に始まり、元日本王者、佐々木佐之介[ワタナベ]を破るなど目下無傷の7連勝中。常々世界を獲ると公言しており、強力なプロモートを続ける枝川会長との師弟愛には、いずれ本当に世界戦を実現させるのではと思わせるほどの力感がある。豪然たるサポートが未だ粗削りな彼を上へ上へと押し上げているだけでなく、腕白だった過去への後悔と贖罪意識も彼に強さを与えている。

 

2階級で日本、東洋を制した王者、柴田は言わずと知れた重量級の旗手。オープン気味に構えた独特のスタンスは自在のステップワークを生み、上下に打ち分ける多彩な左も前原を困惑させるであろう。テクニックと駆け引きという面では柴田に一日の長があり、強打と思い切りの良さでは前原に分がある。ともに心の奥底にある何かをボクシング同様磨きながら日々を重ねた両者である。

今宵リングで繰り広げられる臥薪嘗胆の激突やいかに。


日ノ本一(ひのもとはじめ)

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2015.11.5 後楽園ホール
DANGAN144
のみどころ

 

 本日のメインイベントを迎えるにあたり,どうしても避けて通ることのできない事実がある。

 事は本年
4月の日本フライ級タイトルマッチに遡る。世界4団体全てでランキング上位に位置し,防衛すれば世界挑戦のチャンスを一気に引き寄せるであろう王者,村中優[F赤羽]に対し,7連勝と勢いに乗る林徹磨[セレス]が挑む好カード。胸躍る一戦は村中の体重超過で水を差されることとなる。村中が勝てば王座は空位。林が勝つか引き分けならば王座獲得となる変則タイトルマッチは,前半,林が2-1とリードしたものの,後半に村中が捲り返し判定勝利。

 その後,空位となった王座を斎藤洋輝[ワタナベ]との決定戦で獲得したのが,かつて東洋王座を保持し,世界挑戦経験もある元日本フライ級王者,粉川拓也[宮田]である。貫禄の再戴冠を果たした粉川ではあるが,一昨年の12月,その年の国内最高試合と言われた一戦で,王座を奪い取られた相手が村中である。本日のメインで激突する両者は奇しくも重要な局面で村中に苦杯をなめさせられているのだ。

 激震が走ったのは今年の10月。またもや村中が体重超過し,メインイベントが中止となる大失態を犯してしまう。裏をとれば酌むべき事情は確かにあった。しかし2戦連続の計量失格は世界ハイランカーであろうが,元王者であろうが,それ以前に契約体重で試合を行うプロボクサーとして言語道断。対戦相手やファンの気持ちを考えると,もはや弁明の余地はない。WBC3位,WBO3位,IBF6位,WBA8位まで上り詰めていた男の明日は完全に絶たれてしまうのだろうか。

 人間はミスを犯す動物である。誰もが何度も失敗をしている。そして,そのたびごとに自分を責め,そして一からの出直しを積み重ねてきたはずである。その積み重ねが多面的な視点を育ててきたはずである。心の豊かさを育んできたはずである。立ち直りが許される社会こそが成熟した社会であるとも言われる。倒れても倒れても立ち上がり,ファイティングポーズをとるボクサーの姿に,私たちは心を揺さぶられ,知らず知らずのうちに「頑張れ!」と叫んでいたのではないか。

 何より苦杯をなめさせられた林,粉川の両者が何としてもリングでのリベンジを果たしたいと願っているだろう。とはいえボクシングはルールに則った厳正なスポーツである。厳しい状況は変わらない。だからこそ,本日相まみえる両者には,村中へのメッセージを拳に託してほしいと私は願っている。

粉川と林は、20124月,奇しくも同じく日本フライ級タイトルマッチという大舞台で一度拳を交えている。最大4P差の3-0判定で破れた林であるが,3年と7ヶ月の月日は林を大きく成長させている。王者粉川は,持ち前のアジリティに加え,経験に裏打ちされた懐の深さと変幻自在の攻防で迎え撃つ。粉川が林をコントロールしきるのか,成長著しい林が粉川超えを果たすのか。大注目の一戦。

   日ノ本一(ひのもとはじめ) 

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2015.9.17 後楽園ホール
DANGAN139のみどころ

 再チャレンジができる社会こそ、豊かな社会だと思うのは私だけだろうか。昨今では炎上現象と呼ばれるように、ひとつの過ちを犯した人物を再起不能となるまで叩き尽くし、その後にまた新たな叩く対象を見つけては同様の愚行を繰り返している事例が増えてきたように感じられる。生きていく中で、一度の失敗もなく、成功体験のみで生きていける人たちはほんの一握りであろうし、実際小さな出来事の中では躓いたことがある人がほとんどではないだろうか。

 歴史に名を刻んだ偉人たちも、何度となく失敗を繰り返しつつも、不屈の精神で歩み続け世界に光をもたらした。再チャレンジによって開かれた歴史の数々から、私たちは勇気づけられるのと同時に、それは不断の努力をしていたからこその成功であり、守株の心持ちには偶然という名の機会は決して訪れることはない、ということを私たちは学ぶ。そしてその成功の影には、再チャレンジを暖かく見守ることができる成熟した人間関係や社会があったことを立体的に解釈できるのである。


 本日のメインイベントは、前王者木村悠(帝拳)が、世界戦に備えるために返上した日本ライトフライ級のベルトを賭けて争う。かつて保持していたのは宮崎亮(井岡)、井岡一翔(井岡)、田口良一(ワタナベ)、井上尚弥(大橋)であり、縁起のいいベルトといっていいだろう。拳を交えるのは、日本同級1位で、元東洋太平洋OPBF同級王者の小野心(ワタナベ)。ジム移籍以降チャンスを掴み、世界のベルトに挑んだ経験を持つ小野は、本来の階級で誇り高き日本の頂点を狙う。

 対する、同級2位堀川謙一(SFマキ)は、2000年にデビューを果たし、既に43戦のキャリアを誇るベテラン。4度の王座決定戦でいずれも敗北しているものの、あきらめずにボクシングを続けてきた堀川。今でこそ2人の王者が京都内のジムに在籍しているが、ここまでの京都ボクシング界を引っ張ってきたのは、間違いなく堀川である。海外での試合経験もある古豪といっていい堀川。京都の選手に追い風が吹く昨今、悲願のベルトを掴むことができるのか。


  アンダーカードには、こちらも再チャレンジを狙う元日本バンタム級王者の益田健太郎(新日本木村)が登場。奇しくも前戦、大森将平(ウォズ)に破れ、京都にタイトルを奪われている。今宵、日本ランキングを狙う角海老宝石期待のプロスペクト宮坂航の挑戦を受ける。
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2015.9.5 後楽園ホール

DANGAN138[日本暫定]見どころ

「なぜボクシングではランキング1位が王者ではないのか?」。ボクシングに疎い友人からよく受ける質問である。それに対して私はこう答える。「ボクシングの王者ってのは特別なんだ。1位とか2位とか、そんな概念を超えた唯一無二、絶対的な存在としての敬意の象徴が王者という立ち位置なんだよ」と。

 しかし、そんな王者の権威を著しく貶めている現実が今、世界にはある。煌びやかに見える世界の舞台において、正規王者と並列する形での暫定王者がもはや定着しつつあるのだ。本来の暫定王者の位置づけは、正規王者が怪我等のやむをえない理由で防衛戦を行うことができない期間に、一時的な措置として設けられる仮の王者であり、正規王者が復帰した際には、必ず統一戦を行うことが義務付けられている。

 我が国が、この規定に従い、暫定王者は、あくまでも暫定的な措置であるという位置づけを崩さず、厳正な運営で、その品格を堅守し続けていることは世界に誇るべき姿勢であろう。これは拳闘への、そして選手への敬意であると私は思う。

 

 本日のメインは正規王者、岡田博喜[角海老]の怪我によってセットされた「暫定王座」決定戦である。出場するのは日本Sライト級1位中澤将信(帝拳)。敗戦は’10年度東日本新人王ライト級決勝戦、対土屋修平[角海老]戦の1敗のみ。翌年11年度全日本Sライト級新人王を獲得し、その後も堅実に勝ち星を積み重ねてきた。

 この階級としては、破格の
180㎝を超える長身とリーチを武器とし、その立ち姿は、驚異的なスタミナで数々の大逆転劇を演じてきた同門の先達、元日本ミドル級、ウェルター級、Sウェルター級3階級制覇王者、中川大資[帝拳]を彷彿とさせる。中澤もスタミナには定評があり、距離の長いワンツー左ボディを軸に、淀みない攻撃をフルラウンド完遂する力を身につけている。更に接近戦の根性比べでも決して引かないハートの強さがあり、死角は少ないと言える。

対するは、本来ならば2か月前に岡田とのタイトルマッチを行うはずであった日本同級6位、小竹雅元[三迫]。サウスポーからのワンツー、左アッパーを軸とした思い切りの良い戦闘スタイルで毎試合会場を沸かせてくれる豪勇の士である。ただ、勝敗はイーブンであり、143月に行われた王座決定戦で岡田に敗れた後も、海外での試合を含めて勝ち星に恵まれておらず、戦績上の数字だけ見れば不安要素は多い。

 しかし過去の対戦相手は、岩渕真也[草加有沢]、近藤明広[一力]、ジムレックス・ハカ[比国]らの元東洋・日本王者や小池浩太[ワタナベ]、林和希[八王子中屋]ら国内の名高る猛者たちであり、勝ち負けの数だけでは測れない豊富なキャリアを重ねている。これは中澤と比べ、大きなアドバンテージであり、更に中澤は過去19戦、サウスポーとの対戦経験がない。加えて、本試合は岡田戦へのリトライが懸かった一戦である。小竹のモティベーションは最高潮に達しているはずであり、両者のハートがぶつかり合う烈烈たる勝負になることは確実であろう。

 今宵も両の拳を弾丸の如く練磨した拳闘家たちが織りなす、気韻生動の藝術を心ゆくまでご堪能ください。

日ノ本一(ひのもとはじめ)

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2015.8.8 後楽園ホール
DANGAN136 

 幼い頃、鉛筆をナイフで削るのが好きだった。母親から貰ったお小遣いを握りしめ、文房具屋で匂いつき消しゴムやサイン帳に目を奪われつつ、心ときめかせながら1ダースの鉛筆を購入。1ダース購入すると、いかにも子ども好きといった顔の文房具屋のおばあちゃんが、おまけでスーパーカー消しゴムをつけてくれるのも密かな楽しみだった。

 帰宅し箱を開けると、そこには12個の六角形が描く美しいアーキテクチャが拡がっていた。既に完成している美しい構図を崩すことに躊躇しながらも、そのうちの1本を抜き出し、まっさらな鉛筆の側面にナイフを入れる。どこにナイフを入れるかで完成形に違いが出る。緊張の瞬間だ。そして真っ黒な芯が顔を見せると、ここからが本番である。色の濃さで芯の強度も変わる。その強度に対して、どれくらいの力加減で削ればよいのか、指先の感覚は既に学習済みである。少しずつ角度を変えながら一心不乱に削り込む。いかに細い先端を作れるか。

 しかしここがもろ刃の剣である。追い込み過ぎたり集中が途切れると、いとも簡単に芯は折れる。小学生の心理発達では言葉に変換できない何とも言えぬ心の痛み。それが『自責感』という高度な心理であることは、あと十数年後に理解できるわけであるが、社会を知らぬ小学生の自分は、たかが鉛筆を削るという単純な作業の中に、主体性と自己責任という大人の厳しさを垣間見ていたのかもしれない。

 そして今、私の目には、この作業がボクサーにおける減量や試合に向けた追い込みのプロセスと重なって見える。思えばタイトルマッチという最高峰の舞台に向け、自身を削り上げていく途中で起きてしまったアクシデント。鋭さを増せば増すほど脆くなる。削り出す途中で折れてしまった芯のごとく試合は流れ、両者、忸怩たる想いを抱いたはずである。その出来事をどう捉え、今回どう自分にナイフを入れたのか。きっと今日のリングに答えがあるはずだ。

 本日のメインに登場する柴田明雄[ワタナベ]は、OPBF3日本V2の八面六臂。バスケをバックボーンにした独特のフットワークは、ボクシングの定義ばかりか日本中量級のそれを遥かに凌駕してきた。村田諒太[帝拳]に敗れた後、塞ぎ込み自宅の天井ばかりを見つめていた日々は彼に何をもたらしたのか。そして同門、内山高志という世界王者の存在から闘う意味と意思をどう受け取ったのか。そして柴田はどこに向かおうとしているのか。その答えが今宵リングで明かされる。

 対する指名挑戦者、日本1位、OPBF7位、秋山泰幸[ヨネクラ]は、自身の負傷によってタイトルマッチを流しただけに、仕切り直しの本戦に対する思いは柴田以上に強いだろう。繋ぎ目の少ないプレッシングでなぎ倒すパワーボクシングで勝利を重ねてきた秋山にとって、今宵2つの難関が待っている。1つ目は柴田の豊富な経験値。2つ目は、自身の10回戦以上の未経験値。10回戦以上を経験せず、東洋12回戦を戦うことは、秋山にとって未知の領域となる。

 戦前予想では柴田の完全優位。しかし両者、鋭く削り込んだ鉛筆の芯である。その強度は、キャンバスに一筆入れるまで誰も分からない。

 今宵も両の拳を弾丸の如く削り出した芸術家たちの作品を篤とご覧下さい。

日ノ本一(ひのもとはじめ)

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2015.7.17 後楽園ホールDANGAN134のみどころ
 フライ級は日本ボクシング界にとって誇り高き伝統の階級である。1952.5.19、故白井義男氏は世界フライ級王者のダド・マリノを下し、日本人として初の世界王者に輝いた。白井氏はその後、王座を4度防衛するなど、敗戦の哀しみに打ちひしがれていた日本国民の希望の光となった。世界フライ級王座は後に、ファイティング原田、海老原博幸、そして大場政夫らに受け継がれていくこととなる。我が国は白井義男と共に復興を歩み、フライ級戦士と共に高度経済成長を遂げてきたのである。
 

 本日のメインを飾るのは、その伝統のフライ級、日本王座決定戦。同級1位、元王者(防衛3)の粉川拓也[宮田]が満を持して登場。過去2度の世界王座挑戦はいずれも失敗。同門の元WBC世界フライ級王者、内藤大助の後継者としてバトンを託された粉川としては、本日の一戦はあくまで通過点。当時17度の防衛を果たしていた絶対王者ポンサクレックを3度目の正直で下し世界を獲った内藤大助に続くべく、3度目の世界挑戦に向けて絶対に落とせない試合となる。

 

 対するは、日本同級2位の斎藤洋輝[ワタナベ]前後の階級に河野公平、田口良一という2人の世界王者を擁する、意気軒昂、ワタナベジムからの刺客である。派手さはないが、アマ60戦45勝の堅実なボクシングには定評があり、閂(かんぬき)の如く距離を固め取れば無類の強さを発揮する。独特の間合いを持ち、攻防の引き出しの多い粉川に対して斎藤がいかに突破口を見い出すことができるかが本日の見どころとなる。

 

 セミには、OPBF東洋太平洋Sフェザー級挑戦者決定戦がセットされている。前王者ジョムトーン・チューワッタナー[タイ]が世界戦に臨むために空位となったこのベルト。本戦の勝者は、岩井大[三迫]と伊藤雅雪[伴流]とのOPBF王座決定戦の勝者に挑むことが内定している。江藤3兄弟の末弟伸吾は、昨年内藤律樹[E&Jカシアス]の保持する日本Sフェザー級のベルトに挑むものの、中差判定で涙を飲んだが、その後IBFアジアのベルトを獲得するなど2連勝を飾り、再び最前線に戻ってきた。

 

 対するガベハンはKokiというニックネームを持つ64戦ものキャリアを誇るベテランであるが、フィリピン国内では最も権威のあるGABのベルトを保持するなど、今勢いに乗るボクサーだ。過去には日本でもお馴染みのビンビン・ルフィーノやロナルド・ポンティリャスとも対戦しており、かつ勝利を収めているだけに、決して侮れない相手である。

 

 そしてセミセミは’09全日本新人王、WBC世界バンタム級19位、東洋太平洋フライ級11位、そして日本バンタム級4位の坂本英生[フジタ]に、20億光年の孤独、勅使河原弘晶[輪島]がチャレンジする大注目の一戦。坂本は当時WBC世界8位の椎野大輝[三迫]に5RTKOで勝利するなど現在6連勝と波に乗るが、一方の勅使河原も4連勝中と負けていない。その強打ゆえ拳のコンディションが気がかりであるが、どちらにしても両者のキャリアにとって潮目の一戦となるであろう

 

 今宵も両の拳を弾丸の如く練磨し、己の生き様を謳い闘う拳闘家たちの熱きドラマをぜひご堪能ください。

日ノ本一(ひのもとはじめ)

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