2013年劇場公開映画寸評 | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう




フライト

監督 ロバート・ゼメギス

脚本 ジョン・ゲイティンズ

撮影 ドン・バージェス

編集 ジェレマイア・オドリスコル

主演 デンゼル・ワシントン、ケリー・ライリー、ブルース・グリーンウッド

    ドン・チードル、ジョン・グッドマン、メリッサ・レオ

2012年 アメリカ


パイロットとしては一流だが、アルコール依存症で、

家族にも見捨てられた駄目親父が、飛行機事故によって問われる

罪を通して、尊厳や誇りと言った人間として本来あるべき姿を説いた作品で、

最近低迷していた、「フォレスト・ガンプ」のロバート・ゼメギス監督と、

「トレーニング・ディ」のデンゼル・ワシントンが久々に放った良作。





グランドマスター

監督・脚本 ウォン・カーウァイ

脚本 ゾウ・ジンジ、シュー・ハオフォン

撮影 フィリップ・ル・スール

アクション指導 ユエン・ウーピン

主演 トニー ・レオン、チャン・ツィイー

2013年 香港


ブルース・リーの師匠で、ドニー・イェン主演の「イップ・マン 葉問」で

世界的に名を知らしめた、詠春拳の達人イップ・マンを題材にして、

『恋する惑星』『花様年華』のウォン・カーウァイが監督したカンフー映画で、

アクションシーンの映像美だけしか印象に残らない作品。




クロニクル

監督・原案 ジョシュ・トランク

脚本・原案 マックス・ランディス

出演 デイン・デハーン、アレックス・ラッセル、マイケル・B・ジョーダン

2012年 アメリカ


主人公が撮影したビデオに残されたドキュメント映像を見せると言う、

『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『クローバーフィールド/HAKAISHA』等

で有名な、ファウンド・フッテージ映画の手法を取り入れた作品ですが、

その手法に拘り過ぎて、インディーズ映画にしては、本格的に作られていた

SFXの面白さを半減させていたのが残念。

狂人に刃物で、自分を制御できない若者が、強大な力を持つことの悲劇を

描いており、世界の警察を自負するアメリカそのものを皮肉った作品。





イノセント・ガーデン

監督 パク・チャヌク

脚本 ウェントワース・ミラー

製作 トニー・スコット、リドリー・スコット、マイケル・コスティガン

音楽 クリント・マンセル

撮影 チョン・ジョンフン

出演 ミア・ワシコウスカ、ニコール・キッドマン、マシュー・グッド

2013年 イギリス/アメリカ


「オールド・ボーイ」「渇き」の鬼才パク・チャヌク監督が、ハリウッドで初めて

メガホンを取った作品。

大人の世界へ通じる扉の鍵を、謎の叔父からプレゼントされた少女が、

性と死を通して自我に目覚め、溺愛された亡き父親と確執する母親からの

呪縛を解いて、独り立ちしていく姿を、サイコミステリー風に味付けした作品ですが、

盟友の撮影監督チョン・ジョンフンと作り上げた淫靡で頽廃的な映像美は、

ハリウッドスターを使ったことで、いつもの恨とグロさが無くなり、

良くも悪くもファンタジー性が強められて、アートにまで昇華しています。



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