カフカ 変身 | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

監督・脚本 ワレーリイ・フォーキン

脚本 イワーン・ボボーフ

原作 フランツ・カフカ

撮影 イーゴリ・クレバーノフ

音楽 アレクサンドル・バクツ

振付 レオニード・チムツーニク

出演 エフゲニー・ミローノフ、イーゴリ・クワシャ、タチヤナ・ラブロワ

2002年 ロシア


「ある朝、グレゴール・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、

自分が寝床の中で一匹の巨大な毒虫に変わっているのを発見した。」

(高橋義孝訳)の冒頭で有名な、フランツ・カフカの「変身」と出会った切っ掛けは、

高校の夏休みの宿題で読書感想文を提出することになり、単純に手っ取り早く

読める短編はないかと本屋で物色していて、目に留まったと言う偶然からです。

しかし「変身」がもたらした衝撃は尋常ではなく、その後の、私のアートに対する

価値観を決定付けたと言っても過言ではありません。


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

「変身」はアニメやTVドラマなどで何度か視覚化されているようですが、

10年前にロシアで劇映画化された作品を、偶々観る機会を得ました。

映像化されるにあたって、やはり最大の関心事は、毒虫に変わった後のザムザを、

どのように表現するかなのですが、本作では、CGで毒虫を創造するのではなく、

役者自身が自分の肉体を使って毒虫を表現すると言う演劇的アプローチを試みていて、

最初は違和感があるのですが、ストーリーが進むに従い、役者のパントマイム演技に

すっかり魅了されてしまいました。

ザムザを演じたのは、2004年に、ロシア連邦から芸術家に与えられる最高の称号である

ロシア連邦人民芸術家を授与された名優エフゲニー・ミローノフで、彼の演技を

見るだけでも、価値のある作品です。

内容は原作に忠実で、実験的映像表現も巧みですが、もう少し不条理感や、 

ブラック・、コメディの毒々しさが盛り込まれていればと思いました。


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