脚本 ジョー・アハーン、ジョン・ホッジ
撮影 アンソニー・ドッド・マントル
音楽 リック・スミス
出演 ジェームズ・マカヴォイ、ヴァンサン・カッセル、ロザリオ・ドーソン
2013年 アメリカ/イギリス
競売人の主人公が、ギャンブルで出来た借金返済のために、ギャングと組んで、
オークションに出品されるゴヤの名画を盗み出すことを決意するが、
元々独り占めを企んでいた主人公は、ギャングの手に亘る前に額縁から
絵画を抜き取る計画を考えていた。
そして、計画通りに事は進むように見えたが、ギャングのリーダーが、
持ち去る前に中身を確認しようとしたために、阻止しようと抵抗して頭部を殴打され、
絵画の隠し場所や犯行に及んだ経緯など一部の記憶を喪失してしまう。
ギャングたちは、女性催眠療法士を雇い、競売人の記憶を回復させようと試みるが、
記憶が少しずつ蘇えるに従い、潜在意識の中に封じ込められていた驚くべき真相が
浮かび上がってくる。
パソコンのシステム復元の様に、潜在意識に働きかけて、失くした記憶を
回復させる催眠療法が物語の核となるサスペンス映画ですが、
後半からは、犯罪の裏に隠された女性催眠療法士の秘密が明かされることで、
男女の愛憎劇に変貌していきます。
封印された記憶と言えば、映画「トータル・リコール」の原作になった、
フィリップ・K・ディックの短編「追憶売ります」を思い出しましたが、
本作は、「追憶売ります」のような明確な落ちが無いので、理性に直接アプローチ
した感動はありませんが、夢か現実かを曖昧なままに終わらせて、
潜在意識に働きかけることで、観客もトランス状態に導かれて行きます。
誘導尋問や暗示によって、誤認逮捕による冤罪を生んでいるように、
実在しない記憶が現実になる危うさを、改めて考えさせられた映画でした。
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