エンド・オブ・ウォッチ | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

監督・脚本 デヴィッド・エアー

撮影 ロマン・カシヤノフ

編集 ドディ・ドーン

音楽 デヴィッド・サーディ

出演 ジェイク・ジレンホール、マイケル・ペーニャ、アナ・ケンドリック

2012年 アメリカ


「証拠品捏造」「捜査書類廃棄」「個人情報漏洩」「飲酒運転」「盗撮」「わいせつ画像投稿」

「暴行」「痴漢」「女性宅不法侵入」「万引き」等警察官の不祥事が連日マスコミを賑わして、

警察に対する信頼が失墜していますが、日本の警察官総数は約25万人で、アメリカ、トルコに

次いで世界第3位の多さなのですから、組織の管理能力の限界を超えている事は明白で、

不祥事を働く警察官を無くすことなど不可能なのが現実です。

一方で、犯罪現場を密着取材したTV番組で紹介されている、日々、最前線で犯罪に立ち向かう

正義感ある警察官がいることも、私たちは理解しています。

本作は、ベテランの悪徳警官と不正を許さない新人の警察官の対立を描いた「トレーニング・デイ」の

脚本を書いたデヴィッド・エアーが、前作とは一転して、二ガーとヒスパニックのギャングが対立する、

ロサンゼルス屈指の犯罪地区サウスセントラルを巡回パトロールして、悪に敢然と立ち向かう

警察官二人の友情を軸に、パトカーのドライブレコーダーや警官、ギャングのホームビデオ映像を挿入して、

“警察24時”の方が嘘っぽく見えてしまう程の臨場感溢れる犯罪現場を再現した、警察官日誌とも

言える作品に仕上がっていて、「ブロークバック・マウンテン」のジェイク・ジレンホールが

出演していなければ、ドキュメンタリー映画と見間違うリアリティによって、観客は、

映画の世界に侵入して、主人公の目線で犯罪者と対峙している錯覚に陥ってしまいます。


今のアメリカの現実は、日本の10年後の姿だと言われ、平和ボケした日本人に警鐘を鳴らす映画

だと評論する芸能人がいたりしますが、実は、昭和に比べて殺人も少年犯罪も減っていて、

マスコミが視聴率や新聞、雑誌の購買を促すために、センセーショナルに報道しているだけなのです。

実際に、毎日の様に暴力に曝されている世界の住人なら、興味本位で凶悪犯罪の報道を

楽しむ何てことはないわけで、暴力とは縁遠い安全な場所にいることに、引け目を追う必要はないのです。

寧ろ、問題なのは魔女狩りの様に、犯罪者をとことんまで排斥しようとする、陰湿な集団心理が

日本に蔓延っていることで、悪ふざけの写真を投稿した若者に対するマスコミの執拗な糾弾を見ていると、

良くも悪くも、日本の犯罪抑止に貢献していることは確かなようです。



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