ジャンゴ 繋がれざる者 | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

監督・脚本 クエンティン・タランティーノ

撮影 ロバート・リチャードソン

編集 フレッド・ラスキン

出演 ジェイミー・フォックス、レオナルド・ディカプリオ、クリストフ・ヴァルツ

    ケリー・ワシントン、サミュエル・L・ジャクソン、ウォルトン・ゴギンズ

2012年 アメリカ


1960年代後半に、カラーTV普及の影響から斜陽産業に陥った映画界で、

低予算と早撮りが可能な作品として、日本では任侠映画”、

イタリアではマカロニ・ウェスタンが生み出されましたが、

ベトナム戦争が泥沼化していた当時の暗い世相を反映させた主人公が、

クライマックスで理不尽な者に対する暴力に怒りを爆発させて、

暴力によって復讐を遂げると言う、勧善懲悪の分かりやすいストーリーが受けて、

若者たちに絶大な人気を博します。

グラインドハウスで上映されていたB級映画に造詣が深いクエンティン・タラティーノも、

“やくざ映画”や“マカロニ・ウェスタン”を夢中で観ていた映画青年のひとりで、

『キル・ビル』『デス・プルーフ in グラインドハウス』に続いて、

マカロニ・ウェスタンの代表的主人公ジャンゴをリスペクトした本作の映画化を

思いついたのも、必然だったと言えるでしょう。


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タランティーノの復讐劇は、前作『イングロリアス・バスターズ』でナチスを

敵役にして政治色を加味しましたが、本作も、1865年まで合法化されていた

奴隷制度をクローズアップした内容になっていて、主人公のジャンゴを黒人に設定して、

黒人奴隷に対して横暴の限りを尽くすミシシッピーの農園領主との対決が、

見せ場になっています。

バイオレンス映画の雄タラティーノが、残酷場面が際立っていたマカロニ・ウェスタンを

料理するので、肉化される人間たちの阿鼻叫喚を覚悟して観賞したのですが、

ジャンゴが、農園領主に買い取られた妻を奪還するためのラブストーリーがメインに

なっているので、殺戮場面は薄味に抑えられていました。

それが功を奏して、アクションシーンから陰湿さが排除されたことで生じたカタルシスが

半端ではなく、マックィーンやブロンソンなどの人間臭いアクションスターが活躍していた頃の

映画が蘇ってきて、久しぶりに活劇の面白さを堪能しました。


本作の最大の貢献者は、奴隷だったジャンゴを自由人として開放する賞金稼ぎ

キング・シュルツ役を瓢然と演じて、2度目のアカデミー賞を受賞したクリストフ・ヴァルツで、

全編の3分の2を占める、ミシシッピーに辿り着くまでのジャンゴとシュルツの珍道中

で存在感を示しました。

因みに、マカロニ・ウェスタンでジャンゴを演じた名優フランコ・ネロがゲスト出演して、

元気な姿を見せていました。


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      ジェイミー・フォックスとフランコ・ネロ


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     ジャンゴ 繋がれざる者        続・荒野の用心棒(原題ジャンゴ)


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