サラの鍵 | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら
監督・脚本 ジル・パケ=ブランネール
脚本 セルジュ・ジョンクール

原作 タチアナ・ド・ロネ

撮影 パスカル・リダオ

編集 エルヴェ・シュネイ

出演 クリスティン・スコット・トーマス、メリュジーヌ・マヤンス、エイダン・クイン

2010年 フランス


毎年、必ずと言っていい程製作されているホロコースト物。

本作も、そのジャンルに入る作品ですが、過去の作品と毛色が違うのは、

1995年に当時のフランス大統領シラクが公式のスピーチで、

国家犯罪として謝罪した、1942年のナチス占領下にあったパリで実際に起こった、

フランス警察によるユダヤ人の一斉検挙事件「ヴェルディヴ事件」(ヴェルディヴ競輪場に

1万人以上のユダヤ人が一時的に強制収容されて、そこから虐殺の舞台となった

アウシュビッツにある各強制収容所に送られて行った)を題材にした作品です。

物語は、ユダヤ人の少女サラが体験した地獄絵図と、60年後の現在、

「ヴェルディヴ事件」を取材しているジャーナリストの女性ジュリアが、

祖父母から譲り受けたアパートが、偶然にもサラの家族が住んでいた事を知り、

歴史の中に封印されたユダヤ人一家の真実を探ろうとするストーリーですが、

歴史の真実を暴くことで新たな悲劇が生み出されることを、今を生きる私たちの

罪として問いかけています。

ネットの普及で、勇気さえあれば、容易に真実を知ることは可能になりましたが、

未来へ語り継いでいく義務と責任を持たなければ、知ったとは言えない事を、

改めて自覚させられた作品でした。


サラの鍵 [DVD]/クリスティン・スコット・トーマス,メリュジーヌ・マヤンス,エイダン・クイン
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