マネーボール | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

監督 ベネット・ミラー

原作 マイケル・ルイス

脚本 スティーヴン・ザイリアン、アーロン・ソーキン

撮影 ウォーリー・フィスター

編集 クリストファー・テレフセン

出演 ブラッド・ピット、ジョナ・ヒル、フィリップ・シーモア・ホフマン

2,011年 アメリカ


1980年、ドラフト1位指名でニューヨーク・メッツに入団した元大リーガーで、

1997年からオークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャーを務める

ビリー・ビーンが、ジアンビ、デーモン、イズリングハウゼンと主力選手が

他球団に移籍して戦力低下を招いた2002年に、資金力不足で優秀な選手を

補強できない苦肉の策として、ハーバード大学で統計学を学んだポール・

デポデスタを補佐に迎えて、出塁率に着目した野球理論セイバーメトリクスを

取り入れた大胆なチーム編成を行い、前年に続いて100勝以上の勝ち星を上げて、

アメリカンリーグ西地区1位に導いた実話を基にした作品です。


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら
            ビリー・ビーンとブラビ               

                                 出典:umber.bunshun.jp


ジアンビがオークランド・アスレチックスからニューヨーク・ヤンキースに7年、

1億2000万ドルで移籍した前年の2001年は、イチローが念願の大リーグデビューを

飾り、走攻守にわたる大活躍でシアトル・マリナーズを地区優勝に導いて、

アメリカンリーグMVPに輝いた年です。

ジオンビもその年、打率342、本塁打38本、120打点の好成績でしたが、

アスレチックスがディビジョンシリーズでヤンキーズに敗れたことが災いして、

イチローに次ぐ2位に甘んじていますが、セイバーメトリクスの考え方が受け入れられて、

OPS(出塁率プラス長打率)が重要視されて大リーグの公式記録にも採用されている現在なら、

OPS838(出塁率381、長打率457)のイチローよりOPS1,137(出塁率447、長打率660)の

ジアンビの方が評価されてMVPを受賞するでしょう。

この様に、本作ではブラッド・ピット演じるビリー・ビーンがヒーローで、

彼の考え方を受け入れられない監督やスカウトを、旧態依然とした遺物として

描かれていますが、映画の中で、「ベースボールは数字じゃない。パソコンでチームは

作れない」とスカウトが嘆くのも一理あって、データーに基づいて選手をロボットのように

動かすベースボールを観せられるより、選手の個性がぶつかり合う荒削りで先の読めない

ダイナミックなベースボールに観客は魅力を感じるわけで、

勝つために出塁率を重視して、ヒットと同等の価値がある四球の多い試合ばかり

観せられるファンは不幸だと思います。


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