監督・製作 マーティン・スコセッシ
原作 ブライアン・ セルズニック
脚本 ジョン・ローガン
製作 ジョニー・デップ、グレアム・キング、ティム・ヘディントン
撮影 ロバート・リチャードソン
出演 エイサ・バターフィールド、クロエ・グレース・モレッツ
ベン・キングズレー、サシャ・バロン・コーエン、ジュード・ロウ
2011年 アメリカ/イギリス
「アバター」以来の3Dでの鑑賞でしたが、専用メガネをかけることで画面の明るさが
損なわれていた当時の3Dからは想像もできない目を見張る進化を遂げていて、
映像の色彩や立体感に不自然さを全く感じませんでした。
何よりも有難かったのは、観賞用のメガネが軽量化されていることで、
鑑賞中のストレスは皆無でした。
さらに特筆すべきことは、スコセッシ監督が手掛けただけあって、
アトラクション的な見世物だけに終わらない、映像表現の新たな可能性として
3Dの特性を上手に生かしていることで、3Dで鑑賞してこそ価値のある作品と
言えるでしょう。
本作は、世界初のSF映画「月世界旅行」で有名なフランスの監督ジョルジュ・メリエスを
影の主役にして、元マジシャンだったメリエスが、究極のマジックである映画に
魅せられていく姿を通して、見世物として誕生した映画の原点に回帰しようとした
スコセッシの映画愛が伝わってくる作品です。
「タクシー・ドライバー」や「グッドフェローズ」等でアメリカ社会の暗部を描いてきた
スコセッシも今年70歳を迎え、“映画の世界にしかハッピーエンドが存在しない”事に
行き着いたと見えて、映画を現実逃避の場として、純粋に楽しんでいた映画青年だった頃の
初心に帰って、自分が観たい映画を作りたかったのではないでしょうか。
<本作で紹介される映画史に残る作品>
映画の父と言われるリュミエール兄弟の、世界初の実写映画「工場の出口」と同じ頃に
上映された「シオタ駅への列車の到着」(1895年作)。
駅に到着する蒸気機関車を観客が避けようとしたエピソードは有名です。
本作に登場するジョルジュ・メリエスが作った世界初のSF映画「月世界旅行」(1902年作)。
モノクロの映画ですが、メリエス自身がフィルム一コマ一コマに色を塗って仕上げた
カラーバージョンが紹介されています。
ハロルド・ロイドの「要心無用」(1923年作)
時計の針にぶら下がってのスタントシーンは、ジャッキー・チェン「プロジェクトA」や
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」そして本作でもオマージュされています。
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