原作 ワジディ・ムアワッド
撮影 アンドレ・トゥルパン
編集 モニーク・ダルトーネ
出演 ルブナ・アザバル、メリッサ・デゾルモー=プーラン、
マクシム・ゴーデット
2010年 カナダ/フランス
死んだはずの父親と実在しない兄に宛てた2通の遺言状を、
双子姉弟の子供に託して他界した母親。
二人は真実を確かめるために、母親がカナダに亡命する前の故郷である、
今なお紛争の耐えない中東の地を訪ねます。
ミステリー仕立ての本作は、観客が主人公と一緒に、
母親を知る人物を訪ね歩いて、彼女の過去を追体験して行き、
最後に思いもよらぬ真相を知る事になるのですが、
リアリズムに徹していた、痛々しい場面が続く中盤から一転して、
ギリシャ悲劇顔負けの法螺話に映画の表情が変わってしまうあたりから
興醒めするとともに、衝撃の結末と騒がれている落ちも分かってしまい、
『スティング』や『シックスセンス』のようなインパクトを得る事はありませんでした。
本作で、長編4作目になるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督ですが、
原作の舞台劇であることを感じさせない、映画的な広がりを見せた絵作りは見事で、
他の作品も観てみたくなりましたが、日本では長編2作目の『渦』だけしか
公開されていないようです。
因みに、本作を鑑賞したテアトル梅田の館内は、
暖房が効きすぎて、映画のタイトルに負けないくらい
灼熱状態でした。
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