リンチとヘルツォークの『狂気の行方』 | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

監督・脚本 ヴェルナー・ヘルツォーク

製作 デヴィッド・リンチ

脚本 ハーバート・ゴールダー

撮影 ぺーター・ゼイトリンガー

出演 マイケル・シャノン、ウド・キア、ウィレム・デフォー、マイケル・ペーニャ、

    クロエ・セヴィニー、グレイス・サブリスキー

2009年 アメリカ/ドイツ


デビッド・リンチのプロデュースで、ヴェルナー・ヘルツォークが監督した作品が、
すでに日本で公開されていたことをビデオ化されて初めて知ったのですが、
ネットで調べてみると、6月に渋谷のシアター・イメージフォーラムで開催された
ヘルツォーク傑作選で2週間だけ公開されていたようです。

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本作は、母親を殺害後、二人の人質を取って立てこもった息子が、
ペルーの自然に触れて覚醒し、ギリシャ悲劇のオレステスの姿に自分を重ね合わせて、
やがて常軌を逸していく課程を、婚約者や所属する劇団の舞台監督などの
証言から浮き彫りにしていくクライムサスペンス劇で、樹海の中に迷い込み、
出口が見つからずに、不安感を抱えて彷徨っている気分にさせられます。
しかし、流石に只者ではないリンチとヘルツォークは、予想外のラストシーンを
用意していて、犯人と睨み合いを続けたまま緊張感を強いられていた観客は、
まんまと彼らの罠に嵌ってしまったことに気付いて、思わず失笑してしまいます。
この作品は2度観ることをお薦めします。
最初に鑑賞した時の緊張感は何だったんだろうと思えるぐらい、
2度目以降の鑑賞では、コメディー映画にしか見えなくなりますから。

参考
オレステスコンプレックス
父親の掟と母親の呪縛に苦しめられる息子の心理。
否定することで自分の欲望を満たそうとする心理。



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