そして、都立高校の合格発表の日がやってきました。
私達はBさんの合格を祈っていました。
しかし...
Bさんは都立高校に合格することはできませんでした。
私達の戦いはここで幕を下ろしました。
私達はBさんに対して何一つ力になれませんでした。
無力感でいっぱいになりました。
他の生徒達の結果が出揃いました。
3月1日になって、私達の2008年度の入試は静かに幕を下ろしました。
この時点でBさんは慶應女子の補欠の繰り上がりの連絡はまだありませんでした。
例年の状況から考えてここからの補欠繰り上がり合格は絶望的でした。
頑張ってきたBさんに対して何もしてあげることができなかった。
それだけが心残りでした...
そして、補欠繰り上がりのタイムリミットの3月5日を迎えました。
私は普段と同じように家で仕事をしていて、ふと携帯電話を見ると留守番電話にメッセージが1件ありました。
校舎からでした。
メッセージを聞いた瞬間、私の中で時が止まりました。
「Bさんの慶應女子の補欠が繰り上がって合格になりました。」
なんと、Bさんは最終日に補欠繰り上がりの最終合格者として合格になりました!!!
祈りは通じました。
努力は人を裏切らないんだ!
やっぱり努力をした者に「勝利の女神」は微笑んでくれるんだ!
神様は2人をちゃんと見守ってくれていたんだ!
その後、2人揃って校舎に挨拶に来ました。
私は授業中でした。
授業から戻ってくると、そこにはその日、その時、日本で最も輝いているだろう2人の中学3年生の女の子の姿が確かにありました。
私は言葉では表現できない嬉しさでいっぱいになりました。
2人は本当に仲が良かったので「2人で一緒に慶應女子に通える」っていうことを嬉しく思いました。
このとき、歌人の俵万智さんが詠んだ
「『この味がいいね』と君が言ったから七月六日はサラダ記念日」
の短歌に倣って、
「『おめでとう!』2人の笑顔が見れたから三月五日は慶女記念日」
という短歌を作りました。
とにかく嬉しかった。
最高の1日でした。
Bさんは模試の成績から考えたら、やはり慶應女子には合格できないラインでした。
だから「大逆転合格」でした。
2人の合格までの道のりは決して平坦なものではありませんでした。
「山あり谷あり」でした。むしろ、ずっと「谷」だったかもしれません。
それでも頑張って来れたのは間違いなく側に『親友』がいたからです。
「必ず2人で一緒に慶應女子に合格しよう!」っていう強い決意があったからです。
そして、固い絆で結ばれていたからです。
「夢は叶うものではなく叶えるもの!」ってよく言われます。
「合格できたら良いなー」ってただ夢見るだけではなく、それに向かって必要なことを一つ一つコツコツと積み上げていくことが重要です。
「途中であきらめたら夢は叶わないけれど、あきらめさえしなければ夢は叶うものなんだ!」
そうは分かっててもやっぱりどこかで言い訳をしたり、弱音を吐いてしまって諦めてしまう人が大勢います。でも、そんなときに、本当の親友が側で見守ってくれていたら大きな力になります。
AさんとBさんはまさにそういう関係でした。
だからこそ、大逆転合格の末、2人揃って慶應女子合格の快挙を達成できました。
業界的に言ったら、1つの校舎から慶應女子を2人受験して2人とも合格というのは凄いことです。ただ、私にとってはそんなことはどうでも良いことで、ただただ、2人の笑顔が見れたことが何よりも嬉しいことでした。
本当に2人揃って合格できて良かった。おめでとう!
これで2008年度の入試は盛大に幕を下ろしました。
その翌年、私は2人の女の子に慶應女子の文化祭に招待されて「十月祭」に行きました。
2人はマンドリンクラブに入っていて、その演奏会がありました。
2人はとても輝いていました。
他の誰よりも輝いていました。
そして、楽しそうでした。
2人のマンドリンの演奏を聴いたときに嬉し涙が止まりませんでした。
(完)
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