六本木の国立新美術館の中のフレンチ、『ブラッセリー ポール・ボキューズ ミュゼ』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
クレマン・ド・ブルゴーニュのロゼのあとは、ロワールの白。
アルフォンス・メロが造る、サンセール・ブラン、ラ・ムシエール、2010年。
アルフォンス・メロはサンセール最大の造り手で、現当主が19代目という名門。
グレープフルーツやレモンの柑橘系の香り。
活き活きとしたミネラルと酸。
素晴らしいソーヴィニョン・ブランだ。
ラ・ムシエールは、サンセールの丘の最上部に位置する最良の畑の名前。
鹿児島県産天然銀鯛のポワレ、香草風味のブールブランソース、チョリソーとジャガイモのエクラゼ。
銀鯛は鹿児島や沖縄で獲れるフエフキダイ科の魚で、別名はアフリカチヌ。
大きいほど味が良いが、この切り身を見ると結構な大物。
赤ワインもサンセールのアルフォンス・メロ。
サンセール・ルージュ、ラ・ムシエール、2010年。
ラ・ムシエールの畑のぶどうは大部分がソーヴィニョン・ブランだが、ピノ・ノワールも植えられている。
透明感のあるルビー色。
フレッシュな果実味、酸とミネラルのバランスが良い。
タンニンも意外と強い。
赤のラ・ムシエールは私のセラーにも1本入っている。
薩摩香潤鶏胸肉のポッシェ、モリーユ茸のソース・シュプレーム、ほうれん草のフランと共に。
ポッシェは沸騰させずに低温で茹でる調理法。
特に鶏はこの調理法でしっとりと柔らかく仕上がる。
この料理は、リヨンの『ポール・ボキューズ』本店のスペシャリティ。
『ポール・ボキューズ ミュゼ』は、リヨン本店のクラシック・スタイルの再現をコンセプトとしている。
ほうれん草のフランには、アスパラソバージュ、ニンジン、カリフラワー、そしてモリーユ茸が添えられている。
苺のヴァシュラン、フランボワーズのクーリー、ヴァニラ風味のアイスクリーム。
ヴァシュランはメレンゲでアイスクリームやフルーツを挟んだデセール。
苺は小粒で甘みが強く、美味い。
ヴァニラのアイスクリームとの相性は抜群。
「ここは初めてだけど、とても美味しかったわ。また来ようね」と、彼女。
「今度は美術展を観て、ランチを楽しもうね」と、私
振り返ると、夜も更け、満席だった店内にも空席が目立っている。
離れた場所から見ると、やはりテーブルは崖から落ちそうな場所にセットされている。
正面出入り口は既に施錠されているので、建物横の通用口から外に出る。
六本木ヒルズが割と近くに見える。
眼を少し左に移すと、東京タワー。
正門を出ると、東京ミッドタウン六本木が見える。
ミッドタウン方向に歩き始めると、「ヒルズは遠いの?」と彼女。
「遠くないよ」と答えると、ヒルズの成城石井でサラダを買いたいという。
夜風が気持ち良いので、ヒルズまで散策することに。
彼女と過ごす六本木の夜は素敵に更けていきました。