関係性のイノベーション
テーマ:僕はこう思うITの大学院という、先端技術のあふれる場所で勉強していると、技術的なイノベーションが必ずしも社会的な課題の解決に直結するわけではない、と感じることがあります。
(それは技術的イノベーションの研究がそうした課題の解決を意図しているとは限らないので当然なのですが)
最近考えるのは、社会的な課題の解決に貢献するイノベーションとはなんだろう、ということです。
科学技術的にはローテクでも、社会的な課題の解決につながっている革新的なもの、ってあるのではないかと。
たとえば、パリではじまったという「隣人祭り」。
老女の孤独死に心を痛めたあるアパートの住人が、他の部屋に住む人々に声をかけて、お互いに知り合うための機会を創り出しました。
これがいまでは世界中で開かれ、数百万人が参加するコミュニティの活動になっています。
たとえば、自分がブラジルで目の当たりにした、HIVポジティブの人々の相互扶助組織。
たとえば、まちづくりのためのワークショップ。
これらの共通点は、通常の関係性のなかでは発生しないコミュニケーションが行われていることだと思います。
それまでは、隣近所の人がお互いを知り合うためのコミュニケーションはなかった。
それまでは、HIVポジティブの人同士が、お互いのステータスや感染によって起きた生活の変化について話すことはなかった。
それまでは、自分たちの「まち」について真剣に語り合って合意を形成することはなかった。
これは、たぶん最近よく聞く、市場メカニズムを使った社会的課題の解決を指す「ソーシャル・イノベーション」というものとも違うようです。
僕は、どちらかというとこうした関係性のイノベーションをもたらすためのNPOやNGOに所属してから、技術的なイノベーションを学ぶ大学院に入ったわけですが、どうしたらこの2種類のイノベーションを組み合わせて、ほんとうに必要な課題解決ができるかを考えていきたいと思います。



