2016年6月29日19:04キックオフ@京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場 天候:雨

京都 1ー1 熊本  


【京都メンバー】
GK菅野孝憲。DF右から石櫃洋祐、菅沼駿哉、下畠翔吾、本多勇喜。MF右から山瀬功治、佐藤健太郎、アンドレイ、堀米勇輝。FWエスクデロ競飛王、有田光希。
SUB:清水圭介、染谷悠太、内田恭兵、國領一平、田村亮介、ダニエル・ロビーニョ、矢島卓郎
監督:石丸清隆

(選手交代)
57分、山瀬→内田:前半途中から山瀬が中盤の左、堀米が右に入っており、内田はそのまま山瀬のポジションに。
65分、有田→矢島:ポジションそのまま。
89分、堀米→田村:ポジションそのまま。


【熊本メンバー】
GK佐藤昭大。DF右から藏川洋平、園田拓也、キム・テヨン、鈴木翔登、黒木晃平。MF右から中山雄登(64分:→岡本賢明)、上原拓郎、嶋田慎太郎(89分:→高柳一誠)。FWアンデルソン(67分:→清武功暉)、巻誠一郎。
SUB:金井大樹、植田龍仁朗、片山奨典、齊藤恵太
監督:清川浩行


【審判団】
主審:野田佑樹 副審:大友一平、日比野真


【得点】*サイドは攻撃側から見て
63分、内田(京都1-0熊本):左CK、エスクデロのクロスをGKがパンチングでクリア。このボールをエリア外中央から内田が右足ダイレクトボレーを放ち、ゴール右上隅に決める。
68分、清武(京都1ー1熊本):DFラインから左サイドでボールを受けた清武が巻に縦パス。巻が落としたボールを清武が右足ダイレクトシュートでゴール左に決める。


【警告】
京都:石櫃(45+1分)、アンドレイ(74分)
熊本:上原(78分)



九州地区を襲った震災の影響により、延期されていた第8節が行われました。
特に今節の対戦相手である熊本のホームタウンは最も被害の大きな地区のひとつであり、クラブとしても多くの困難に直面しています。
そんな中で、試合を開催できるようになったことは喜ばしいですし、試合後に京都からのエールがあったように、サッカーファミリーの中でできることを探っていけると良いなと思います。


さて、京都としては東京V、松本に連敗した後、中2日で迎える試合となりました。
松本戦でイ・ヨンジェと岩沼が負傷交代したこともあり、2人ともメンバー外。代わりに有田と本多が入りました。また、出場停止明けの菅沼も戻っています。
対する熊本は震災の影響で5試合消化が少ないながらも11位につけているチーム。震災前は上位争いをしていましたし、リーグ戦再開直後こそ連敗しましたが、ここにきて4戦負けなしと調子を上げてきています。
熊本は今節のように延期分の試合が入ってくるため、2週間で5試合をこなす日程になっています。それを考慮してか、スタメンは前節から5人を入れ替えてきました。



互いの『ズレ』を埋めきれない消耗戦でドローに


熊本は普段は4バックで戦っているという認識がありましたが、今節はキム・テヨンをDFの中央に置いた5バックで戦っていました。
これはおそらく、京都が攻撃時にアンドレイのポジションを上げ、2トップ+サイドハーフに加えた5人を前線に張り出させる動きに噛み合わせようとしたものだと思います。
それぞれの選手がマンマーク気味に守る意識も強そうでしたね。
中央を固めて、まずは失点しないという狙い。
その上で、熊本の2トップと中盤の3枚が京都のDF陣&佐藤に素早くプレスを掛けることによって、パスの出処から余裕を奪い、前線に入る縦パスを絡め取ろうとしてきます。
また、熊本が奪った時には、両サイドの藏川と黒木がポジションを上げてきてサイドを崩しにかかります。

京都としては、石丸監督の試合後コメントにもありましたが、熊本のこういう戦い方は予想していなかったようですね。
前線の選手にマンマークが付いているために縦パスも入れにくかったでしょうし、熊本のプレスも速かったのでミスも多くなりました。
この辺り、フレッシュな選手を多く起用してきた熊本の狙い通りだったかもしれませんね。
さらに守備面でも、中山と嶋田が外から中に入っていくような動きをするため、京都のサイドバックがどうついていくのか迷いが生じた部分もあったように思います。
松本戦でもそうでしたが、相手のウイングバックもポジションを上げてくる中で、サイドバックとサイドハーフでどう守備の分担をするかというところですね。
松本と熊本で違うのは、熊本が競り合いに強いFW2枚を並べていることがあります。そのため、石櫃と本多にとっては中央のカバーも意識しないといけないところ。サイドハーフやアンドレイが戻るのが遅れてしまうと、スペースと相手への対応にズレが出やすくなっていた印象です。
石丸監督は相手のアンカーである上原への対応について言及していましたけど、後方でのズレをケアしていこうとすると、最終的にそこはどうしても空いてきてしまう感じだったでしょうか。


ただし、予想とは違っていたと言っても、前半のうちにある程度攻守に対応できるようになっていました。
熊本はマンマーク気味に来ていて、ちょっと京都の選手に付いて行き過ぎなところもありました。
特に京都の右サイドで山瀬が引いてくると、それについて黒木がポジションを空けてしまいやすく、石櫃が狙いやすいスペースができてきました。
当然そこは京都にとって狙い目で、前半のうちに堀米と山瀬がポジションを変えたのも、引くだけでなく中央に堀米が入ることによって、より石櫃の使えるスペースを開けようという狙いでしょう。
また、最終的に中央を崩しにかかる中でも、より枚数を掛けやすいようにするメリットもあったでしょう。一歩間違うと中央大混雑にもなりかねませんが。
前節はエスクデロが引いてしまうとちょっと人数が足りない印象もあったので。そのバランスを取る意味では良いかもしれません。
守備面でも、相手の位置をまず下げることによって、ウイングバックの攻撃参加を牽制でき、やりやすくなったでしょう。
完全に対応しきれたかというとそうでもなく、どうしても最終的に中央で人がズレてしまう形はずっと続いてはいましたが・・・。


セットプレーのこぼれ球から内田が素晴らしいシュートを叩き込んで先制したまでは良かったですが、清武の相手ながらこれまた素晴らしいプレーで追い付かれる展開。
その後は、マンマーク気味でかつ序盤からプレスを掛けていた熊本の足が止まり、京都のボール保持が長くなりました。しかし、京都も中2日ということで動きが落ちていき、決めきれないまま試合終了。

こういう時には交代選手でなんとかカバーしたかったですが、矢島、田村も決定機は創ったものの実らず。
矢島は前節も好プレーを見せていましたし、コンディションさえ上がれば質の高いプレーが出せるのはこれまでの実績を含め期待できます。体の強さも速さもある選手ですので、イ・ヨンジェがどのくらいの負傷か分からない中では、有田とともに軸になっていって欲しいところです。
田村も出場の機会が限られていますが、スピードは一級品ですし、スペースがある中で使えればというところ。J2だとそういった場面がなかなか少ないのが実情ではありますけど・・・。

水曜開催の試合でしたし、週末にはまた試合が来ます。
しかも今度はこちらは中3日、相手は1週間の余裕という日程面での不利があるところ。
疲労や負傷なども抱えている中で、ここ3試合勝てていないという状態ではありますが、こういう時だからこそチーム全体の底力が問われますね。




―2016シーズン通算記録―
9勝7分4敗 勝ち点34
28得点 20失点
今節終了時点での順位:5位

【ゴール】
4点:イ・ヨンジェ、堀米
3点:有田、アンドレイ、山瀬
2点:石櫃、ダニエル・ロビーニョ、エスクデロ
1点:下畠、本多、沼、岩沼、内田

【アシスト】
6アシスト:エスクデロ、堀米
2アシスト:イ・ヨンジェ、ダニエル・ロビーニョ、アンドレイ
1アシスト:有田、佐藤

【累積警告】
3枚:アンドレイ
2枚:イ・ヨンジェ、エスクデロ、下畠、ダニエル・ロビーニョ、有田、石櫃
1枚:佐藤、菅野、堀米

*佐藤、本多、菅沼は累積警告4枚による出場停止が一度あり
*菅沼は一発退場による出場停止が一度あり