木島亭年代記

わけあってお引っ越ししました


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本を読む暇と映画を観に行く暇がなく、仕事してるか酒飲んでるかの日々。

とりあえず、スティーブン・キングの「ジョイランド」を読んで、来週公開の「シンゴジラ」を観に行くか。

昨日ラーメン食ったのは、「麺s慶」というラーメン屋。淡麗系(?)と言うらしいが、上品な味で大変満足。しかし飲んだ後にラーメンとかってかなりヤバいな、我ながら

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I

【本】

佐藤喬「1982 名前のない世代」

チャド・ハーバック「守備の極意」
蓮實重彦「伯爵夫人」

【映画】

黒沢清「クリーピー 偽りの隣人」

ティム・ミラー「デッドプール」

「日本で一番悪い奴ら」

【飯屋】

京華楼「麻婆豆腐」



こないだ読んだ「守備の極意」は、スゲー才能を持った若者も、才能がないことを知っている努力の鬼も、才能を上手く使いこなしてきた老人も、一旦才能を無駄にし何も成し遂げられないまま違うもので再起を謀ろうとする女も、生きてるってだけでそれなりに辛いし、なんにも思い通りにいかない。それでもやってくしかない。そういう話だった。


「1982」は1982年生まれとしては外せない。と思いたって読んでみたが、それなりに興味深いが今一つ説得力に欠けるような微妙な印象論といった感じ。俺らの世代にはちょっとした有名人たちがいるのだが、それは例えば少年Aだったり、加藤智大だったり、小保方女史・・・と歓迎されざる連中で(もちろん逆に陽の人々だって実際はいるがここではそれには触れられない)、本書はそこから何かを読み取ろうとしているようで、これはあくまで特殊な例で世代の代表とするのはどうなんだ?と自分で書いちゃうので、結局何をどうしたいのかあいまいなまま終わっていく。閉塞感に満ちた僕らの世代はこの先どうなるのかね。

はすみんの三島賞受賞作も読んだ。過激でセンセーショナルっていう煽り文句をつけてもいいが、なかなかの強烈な作品。ジャンルで言うと所謂官能小説に分類されるのか?

とにかく例のかっこいい語り口で、エロいことをガンガン書きまくる。笑えるうえ、時々刺すように入ってくる暴力の気配が鮮烈。戦争前夜の不穏さに満ちた衝撃作

閑話休題

禁煙絶賛続行中。今んとこ問題なし。


閑話休題2



黒沢清の「クリーピー」鑑賞。何とも凄まじい映画で、主役の西島秀俊からして狂気の人物であり、相対する悪役の香川照之は話の噛み合わない異常な男を絶妙に過剰に演じる。狂気の二人の周囲の人々は、精神を侵され徐々におかしくなっている。怖い。そしてキヨシ映画なので笑える。タマフルへの投稿で、笑えることに激怒しているリスナーがいたが、そういう人には向かないな。竹内結子が思いの外よくて、中盤のヒステリーのシーンとラストシーンの演技は秀逸。

「デッドプール」はちょっと期待しすぎた。面白い映画だし、素晴らしいんだけど、あんまり好みじゃなかった。

「日本で一番悪いやつら」は綾野剛が頑張ってるんだけど、強面の柔道やってる刑事って言う雰囲気が出ず、ちょっと微妙。話自体も実話ベースなので後半が呆気ない。ただ、数字を求められ、色々誤魔化そうする姿に、我々社畜の心を見た。明日は我が身。法令遵守だけは心がけないと。

閑話休題3

こないだタマフルで麻婆豆腐特集を聴いたので、京華楼で麻婆豆腐ランチ。相変わらずうまい



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急に禁煙を思い立ち、タバコをやめたが(人生において通算3度目の挑戦)、現在2週間経過。ようやく欲望から抜け出せれそうだ。


ついでに体をリセットしようと、ダイエットも始める。食事をある程度制限し、アルコールは人と飲むとき以外は口にしない。つまり一人では飲まない。そのうえで毎日30~40分のランニング。まあランニングっても、始めたばかりなので半分ウォーキングだが。これは初めてちょうど一週間経過。


見た映画は、「デッド・プール」と「クリーピー 偽りの隣人」を見た。前者は思ったよりも微妙な映画で面白いんだけどそこまで乗れなかった。一方で後者は、さすがに強烈で、厭な話なうえ、救われない。しかし、黒沢清大先生らしい久々のホラー寄り度の高い映画。


本は、「守備の極意」を読了。これは結構面白い。良い小説。


くいもんは昨日の歓迎会・送迎会で行った「OSTERIA il FUOCO」@横浜。コスパが割とよくCSも感じいい。大変満足


だいたい以上


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さて、最後の話。


今回の主人公は男の子だ。中村梧堂 という名前だ。梧堂と書いてゴドウと読む。

語り部ももちろんいつものアイツラがいる。どうやら性別的には異性となる設定らしく、梧堂の中にいる”よくわからない何か”は女性である「私」だ。「私」が言うには、ゴドウが18歳の時に物心がついたらしい。これは他のキャラクターの設定とはちょっと違うのが興味深い。


さて、我らが今回の主人公梧堂君はなかなか独特のキャラクターだ。飄々としていて掴みどころがない。「私」もそれは十分感じているようだ。そもそも、「私」は斉藤範子という女性の事を、湯川虹色という女性を介して知るまで梧堂に興味も抱いていないのだ。ここも前の二人とは違う。


梧堂君と斉藤範子(以下のりちゃん)と湯川虹色の3人の関係はなかなか複雑だ。梧堂君と虹色ちゃんは肉体関係はあるが付き合ってはいない。ノリちゃんと梧堂君はもう5年もあっていないし、付き合ったこともないが、不思議な”絆”がある。そして虹色ちゃんとのりちゃんは友達である。所謂三角関係的な位置付の3人。しかしどこか歪で、どうにも捉えがたい。


「ふと気が付いたら斉藤、知らない路地裏に迷い込んでて、変な動く影が出てきて、追いかけてくるんだってさ」p.197


のりちゃんが中学生の時にその変な動く影に追いかけまわされ、道路に倒れているのを梧堂が見つけたことが二人の絆の根底にある。その時に彼が軽く言った言葉が「一生守ってあげるから」と彼女に対して勇気づけるために言った言葉が、その言葉だけがその絆を繋ぎ止めている。


物語は、だらだらとした日常を消費している梧堂のもとに入った一つの連絡から展開していく。

電話の主は虹色ちゃんで、のりちゃんが脳梗塞で倒れたというのだ。梧堂は取るものを取りあえずのりちゃんのいる福井へ向かう。虹色ちゃんから話を聞くと、のりちゃんは訳の分からないことを口走ってそのままとれたらしい。内容はこんなものだ。


『布団ふふふ布団布団布団。ご、ごごごっごごご梧堂くん、梧堂くん、梧堂くん梧堂くん』p196


この奇妙な喋り方は実は2話目にも登場する。主人公たちに迫りくる”悪意”の予兆だ。

脳梗塞だったが無事に後遺症もなく帰還したのりちゃんの為に、家に行って着替えなどを持ってこようとする梧堂君と虹色ちゃん。しかし、のりちゃんの家には誰もいないはずなのに(つい最近離婚しており、死産している)、靴が一足玄関に並べられている。そして2階で蠢く音。梧堂君は包丁をキッチンからとって、正体を見極めに向かう。


すると現れたのは異質な、あまりに異常な、想像を超えた奇妙な男だった。


”飛び出てきたのは全裸の・・・男!?(中略)よく見ると全身傷だらけだ。(中略)筋肉質の体を覆っている。 p.208”


あまりに異様だ。一体全体この男は何なのだ?男は身をひるがえし二階の廊下を駆け抜け、階段を上がっていく。梧堂君もそれを追いかける。やがて行き着くのは・・・三階への入り口だ。三階というより、これはあれだ・・・グルニエだ。そう、2話で出てきた魔の場所。


グルニエに乗り込んだ梧堂君が見たのは、半身を失ったにもかかわらず生きている犬、謎の女、そして闇のモヤモヤだ。梧堂君は包丁でそれを切り裂く。


”一瞬ラテアートみたいにたてに筋が入って周囲が歪んだものの、それはすうっと消えて無くなる p.211”


梧堂君は屋根裏にいた女に問いただす。女は放心状態で弱っている。

あとでわかったことだが、女はのりちゃんの離婚の原因にとなった元旦那の浮気相手だった。彼女はそこでのりちゃんを呪うオリジナルで陰惨な呪いをかけていたのだが、人を呪わば穴一つで、自分が闇の中に飲み込まれ、死んでいった。彼女の呪いは簡単に言うとこうだ。小さな虫をちょっと大きな虫に食わせ、更にその虫をまた違う大きな虫に食わせ、今度は動物に食わせ、そしたらもっと大きな動物にそれを食わせ・・・その食物連鎖を凝縮したような作業を繰り返し、相手を呪うというものだ。


病室を出て、梧堂君と虹色ちゃんは長く、そして大きな決断につながった(はずの)会話を交わすことになる。しかし、この物語はそうそう甘くはない。対話の跡病室に一人戻った梧堂はその決断について、のりちゃんに話すべきことを伝える。そしてすべてにけじめをつけた梧堂君が戻ると、虹色ちゃんは姿を消していた。こつ然と。唐突と。


必死になって虹色ちゃんを探す梧堂君。しかし、あらゆる痕跡を残さず虹色ちゃんは消え失せていた。

微かな希望と、ある仮説に基づいて、梧堂君は、ある突拍子もない計画を思いつく。売りに出されているのりちゃんの家を購入し、そこでアレが出てくるのを待つというものだ。


アレ・・・例の黒い渦・・・のりちゃんが「真っ暗坊主」と名付けた、変な動く影だ。その超常現象が虹色ちゃんの失踪に大きくかかわっていると彼は確信している。



会社も辞めて、東京から福井へ移り住み、家にこもりつつ、周囲に撒餌を放って梧堂君はアレを待つ。

そんな折接触してきたのは虹色ちゃんの妹だ。二人は情報交換しつつ、連絡を取り合う。


事態が展開するのは、梧堂君の元をのりちゃんの元旦那の浮気相手で呪いの主の両親が訪れた時だ。そこで梧堂君は二人を偽悪的に、作為的に、意図的に、それでいて少し本気で追い詰める。すると、一瞬例の「真っ暗坊主」が姿を現す。


梧堂君の狙いは、その「真っ暗坊主」を呼び寄せ、そのブラックホールのような穴の中に閉じ込められてるに違いない虹色ちゃんを救い出すことなのだ。


やがて梧堂の住む家は周囲の嫌がらせで、1階の窓は投石で割られ、庭にはごみが大量に捨てられ、まさしく怪奇映画に出てくるようなおどろおどろしい幽霊屋敷になっていく。しかし、彼は気にしない。それどころか望むところなのだ。この家に悪意を集めることで、またあの「真っ暗坊主」を呼び寄せようとしているのだ。


しかし、なかなか事態は進展しない。膠着状態が続く。そんなときに急にのりちゃんの再婚の話が入ってきて、急激に事態が進行する。

そこから先のお話は伏せるが、なんとも言えない結末が待っている。


この小説に出てくる3作の中ではそれでも救いがある。


良い時間になってきたので、一応前作通しての感想が後日ということで。


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昨日に引き続き、本日も読書。読むのはもちろん舞城。話の続き。


第2話は、 堀江果歩という女性が主人公だ。無論語り部は、例の〝よくわからない何か”だ。

何かは今回も一応男性性らしい。


果歩の家族は、両親と兄と姉だ。兄はほとんど出てこない。姉は妹のよき理解者であり先導者である。

小説家志望でモラトリアムをだらだらと過ごしている姉だが、結構一丁前の発言をする。

例えばこんなんだ。


”「お話を読むことって、ストーリーを憶えることじゃないから。歴史の教科書じゃないんだし。読んだ時にどんなことを感じて考えたかじゃない?だいじなの。(以下略)」 p.92”


確かに。語り部の「俺」は拍手さえする。


主人公の果歩はどこまでもストレートな女の子だ。一つの事をやると決めたら何があったて車線変更はしない。矢の様にストレートに突き進む。果歩は小学生の時に買い与えられた「世界文学全集宇」と「日本文学全集」を中学になったら読破するという目的を決め、それにのめり込む。しかし、そうそう簡単なことではない。そしてあるときに気が付く。読んだ本のことを全然覚えていないことに。そこで相談した姉に言われたのがさっきの台詞である。


果歩は姉の勧めで漫画を読み始める。最初に読んだのは「ガンツ」だ。初めて読む漫画にあくせくしながら、いろいろ文句をつぶやきながら気にいる。姉に行ってほかの漫画も読む。その姿に姉は納屋とかグルニエにもあるという。人一倍怖がりな果歩は、一人で納谷へは行けない。グルニエにもだ。


ぐるにえ?


グルニエというのは屋根裏部屋の事だ。語り部の「俺」はない首をひねる。堀江家にはそんなものはないからだ。姉は一体何を言っているのか、そして果歩はなぜ普通のことのよう相槌を打ったのか。後ほど、この家にはそんなものはないと二人は確認する。そしてなんでそんなことを思ったのかと二人は首をひねる。


話は進んでいく、家にあるマンガを読み切って果歩はコンビニで週刊誌の立ち読みを始める。毎日のように発売される漫画雑誌の数々を圧倒的集中力で毎日毎日立ち読みする。そんなある日、果歩はお尻を触られる。彼女はちらっとおっさんを見て舌打ちをする。おっさんは果歩に絡んできて、彼女をブス呼ばわりする。果歩も負けておらずおっさんに噛みつく。逆上するおっさん。店員の介入で、おっさんはしぶしぶ外へ出るが、果歩の跡をつけてくる。早々に気が付いた果歩は機転を利かせ、児童公園でまき、逆に尾行して家を突き止める。ミ・カ-サ仙川203号室。名前は小野寺だ。


半年後小野寺は事件を起こす。わいせつ目的で女子高生を脅し、抵抗されてナイフで刺したのだ。

果歩は、ミカーサ仙川に行ってみる。そこで、ある男の子と出会う。広瀬順というその男の子は、小野寺の息子だ。しばらくやり取りをしている二人。するうとミカーサの方から女性の「きゃあっ」という叫び声がする。広瀬順はマンションに駆け出す。


それからしばらくして二人は再会する。というか広瀬順が果歩を探し出す。果歩にアプローチする広瀬順だが、果歩は取り付く島もない果歩の方はあの時の叫び声が一体何だったのかを知りたがっている。


〝クローゼット開けてたんだけど、ふと見たら、ぼぉっと白く光る小さな女の子がそこにいたんだって。クローゼットの床から上半身だけにゅっと生やすみたいにしてさ。で、悲鳴を上げて、そしたら女の子が母親の方ちらっと見てから消えたんだってさ(以下略)p.120”


人一倍怖がりな果歩は途中まで広瀬順に送ってもらう。広瀬は漫画にはまり込んでいる果歩に二つのものを教える。「ウォーキングデッド」と「カリオストロの城」だ。前者普通だが、後者に果歩は強く影響を受ける。そのあと、「となりのトトロ」を知り、紙に絵を描き始める。唐突に。そして熱烈に。


そして彼女は漫画を目指すことになる。一心不乱に。描いて書いて描きまくる。美大へ行き、漫画家デビューする。


時々連絡を取っていた広瀬に、彼女はデビューを報告し、時間があまりないから家族と一緒にご飯を食べようと誘う。しかし、会話の途中で彼女は、なぜ彼女があの日ミカーサ仙川にいたかを喋ってしまう。果歩に恋心を抱いており、いつか(時間をかけても構わないと彼は思っていた)結ばれるを考えていた広瀬順はショックを受ける。そして、激しい自己嫌悪の中、自らの判断で身を引き、もう喋らないこと・会わないことを決める。その時彼はあることを口走る。


”「怖い想像が悪い影響を持つって、まさしく堀江さんに起こってると思う。(中略)どっかで自分の怖い想像力に立ち向かわなきゃいけなくなると思う(中略)お化けと戦って、勝たなきゃならないかも」 p143”


広瀬と連絡を取らなくなった果歩は、そのまま一直線に人気漫画家になっていく。テニスの経験を生かして書いたテニス物の青春漫画は大人気になる。あるときに、初期の短編を短編集として単行本にまとめるというお話がある。作品を見直している果歩はあることを指摘される。漫画の中に”ぽつんと一人、長い黒髪の白いワンピースを着た女”が立っている絵があるのだ。果歩自身は書いた記憶がない。しかし、アシスタントが言うのはどの漫画にもあるという。慌てて確認するとそれは確かにいろんなところに確認された。そこに果歩は何かを見出してしまう。それは”気配”という程度のもので、善いものなのか悪いものなのかわからない


果歩はそこで広瀬順の謎の助言を思い出す。

久々に彼に電話する果歩。

あの話は何だったのかを問い詰める果歩だが・・・・広瀬の反応は予想外のものだ。


〝「グルニエ見つけたの?登ったの?」 p.160”


ぞっとする果歩。そしてさらに訳の分からない話をし始める広瀬順。

広瀬順は一体どうなってしまったのか?そもそもこの電話の相手は本当に広瀬順なのか!


興信所に頼んで、広瀬順を調査してもらうと、数回の離婚歴があり、近所の居酒屋で酒飲むことくらいしか楽しみのない人生負けっぱなしのくず野郎になっていた。そして、あのミカーサ仙川の203号室は再び小野寺が借りていたことがわかる。


そうして広瀬順の役割はここで終わる。いくらか果歩との親密なやり取りを好ましく思っていた読者には些か厳しい。


そして彼女は決断する。その”気配”と。〝気配”は実体がなく、禍々しく、想像力を超えるあまりに恐ろしいものであることは間違いない。それでも彼女は向かい合うことを決める。彼女は矢のようにストレートであり、思い込んだら、車線変更はしないのだ。想像力に立ち向かい、お化けに勝つために。


果歩は、その漫画の中に現れる”ぽつんと一人、長い黒髪の白いワンピースを着た女”についてのホラー漫画を描き始めるのだが・・・。


劇中でその漫画のあらすじは語られる。変則的で複雑だが、物語は正しく向かっていく。

しかし、最後の最後で”気配”はその”悪意”をむき出しにして彼女を襲う。


読んでいて、この真っすぐな主人公の事が大好きになるし、それは語り部の「俺」が考えてることと同じだ。それゆえもの勝ちの結末には些か打ちのめされるし、不条理な悪意というものが、いやおうなしに゛正しい”ものを飲み込んでいくことに強い憤りを覚える。物語の上でそれは非科学的な現象として描かれていくが、生きていればそれに例えられるような理不尽なものが、何も悪いことしていないどころか高潔で正しいものを蹂躙することを見ることがある。


最後の「俺」の叫び声は、この世界の中では、誰にも届かないが、読者たる私には届く。

エンターテイメントとしてはこのラストは全くもって意味不明な展開であり、劇中の漫画のラストと同様に、彼女がこんな目にあう必然性は一切ない。


しかし、


”「物語では最後の最後、唐突な展開で文脈をぶっ飛ばして何かが起こることだってあるのだ!」p.180”


なのだ。


だから物語はこういう風に終わっていく。

ただ、語り部の「俺」は逆手にとって仕掛けられた筋書きを今度はお前に食らわせてやると叫ぶのだ。

叫ぶのがやっとだが、その言葉は読み手である私たちにきっと感染していく。


”「お話を読むことって、ストーリーを憶えることじゃないから。歴史の教科書じゃないんだし。読んだ時にどんなことを感じて考えたかじゃない?だいじなの。(以下略)」 p.92”


憶えるってのを追うって言ってもいいんじゃないのか。


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