スペシャルドラマ。実在の数学者・岡潔(きよし)(佐々木蔵之介)とその妻・みち(天海祐希)の半生を描く。

 

 京都帝国大学の学生・潔と出会ったみちは、潔に惹かれ、親の反対を押し切り、結婚。

 

 潔は結婚するとすぐにフランスに留学。あとを追うようにみちもフランスへ。

 

 子供ができて、日本に帰って来たものの、潔の数学の難解さから、認めてくれる人はなく、潔は京都帝国大の職も失う。

 

 そして、太平洋戦争が始まり、学問どころではない世の中へ。

 

 それでも、潔には数学しかなかった。みちは極貧の中、夫を支え、3人の子育てに翻弄されながらも生き抜いていく。

 

 そして、ついに潔が認められる日がやって来て…。

 

 岡潔は数学の三大難問の一つを解くために生涯を数学に捧げる。研究で寝るのを忘れ、病気になるほど没頭する。

 

 普通ならこんな変わり者の夫…途中で離婚も考えられた。

 

 そんな時、有名な将棋棋士として活躍した阪田三吉(笹野高史)の妻(泉ピン子)に、言われる。「自分が三吉と離婚しなかったのは、この人は自分がいなければ生きていけないと思ったからだ」と。そして、そっとお金を渡してくれるのだった。

 

 確かにもしみちが離婚していたら、潔は生きていけないだろうし、きっと数学の世界で名を残すことなく死んでいただろう。

 

 この妻にしてこの夫ありという二人だと思った。

加納朋子 新潮社 2017

 

STORY:
3月で閉校した萌木学園。この学校を単位が足りずに卒業できなかった数名の学生たちを救済するため、寮に住み込み補講をすることが提案される。9月の卒業に向けて、学生たちは変わることができるのか?

 

感想:
 大学の単位を取れずに社会の放り出されることになるはずだった学生たちが、寮に住み込み、ネットや外出、嗜好品、面会をすべて絶たれて卒業を目指してがんばる…という環境に置かれる。

 

 寮に住み込んだメンバーは個室は与えられず基本的に2人一部屋。

 

 眠くて起きられずに単位を落としてしまった子、病気で単位が足りなかった人、性同一性障害のため、適合できなかった人、拒食症や極端に太りすぎの者、エナジードリンク中毒でやはり昼間は起きることができなかった者などなど…それぞれに事情は様々。

 

 そんな面々が、規則正しい生活と運動、食事により、心身の健康を少しずつ取り戻していく。

 

 家族と一緒に住むことが、毒になっている者は、家族と切り離されることで、次第に変わっていく。

 

 なぜ学園の理事長が救済措置を取ったのかも後に説明されるが、納得のいく展開で、いい作品を読むことができて、よかったなーと思った。

わろてんか

テーマ:

 NHKの朝ドラ。吉本興業を創業した女性をモデルとした話だけど、人間関係とかはフィクションなところが多い。

 

 てん(葵わかな)は、薬問屋の娘として生まれる。本来は取引先の関係の伊能(高橋一生)とお見合いをし、結婚するはずだったが、幼い頃に旅芸人の藤吉(松坂桃李)と運命的に出会い、忘れられない。ひょんなことから再会した二人は、駆け落ちをすることに。

 

 嫁ぎ先は老舗の米問屋だったが、藤吉がとんでもないことをしでかしたことから、経営が傾き、倒産することに。藤吉本人は芸人として大成しなかったが、芸を見る目はある。そこで、てんは藤吉に寄席をやったらよいと提案。

 

 二人は苦労しながら、寄席を手に入れ、風鳥亭をオープン。最初は全然人が入らないが、苦労を重ねて、大阪一の笑いの殿堂を作り上げていく。

 

 というようなストーリーなのであるが…。

 

 最初のほうの展開がいまいち…。とにかく藤吉のダメっぷりがすさまじく、どう見てもお見合い相手の伊能の方がいい男だし、藤吉と駆け落ちをする心情がいまいちなんだよなー。

 

 そして、芸人どものダメっぷりも最初の方はひどいし…。

 

 そして、そして…こんなことを言ってはなんだけど、私的には藤吉が死んでしまってからのほうが、面白かったかもしれない。

 

 芸人さんたちのキャラも立ってきたしね。どうせなら戦中のことや戦後のことももっと突っ込んでやってほしかったわー。

 父・泰蔵(中村梅雀)は名門私立学園の学園長、兄・博文(小沢征悦)は天才外科医、姉・千晶(波瑠)は敏腕弁護士というエリート一家に育った末っ子の秀作(山田涼介)は、エリート警察官として働いている。

 

 全員東大からエリートな職業についたエリート一家の北沢家は、母に先立たれ、執事の小岩井(浅野和之)が昔から仕えており、一家を支えている。執事の見習いとして雇われた楠木(千葉雄大)は、またすぐにやめるかもしれないと思われつつも見習いを続けている。

 

 そんな一家に次々に不祥事が起こり、その事件をもみ消すために秀作は法を犯していくが…。

 

 これがなかなかユーモラスな展開で笑えて面白かったり。音楽も高嶋ちさこのバイオリンがユーモラスで笑えたり。

 

 ただ最後の展開は結構唖然という感じではあったかな。

 

 乾くるみ原作の小説をドラマ化したもの。

 

 図書館司書の鮎美(貫地谷しほり)はプロポーズされるかと思っていた一樹(松田悟志)から別れを切り出される。

 

 失意のどん底に落ちた鮎美に謎の男・風間(六角精児)から電話がかかってくる。彼は10か月前に戻ることができるリピートへ8人の男女を誘ったのだった。

 

 全員がリピートを希望し、風間に連れられてリピートをすることになる。

 

 一緒にリピートしたのは、カメラマンになることを諦め、ホストクラブでアルバイトをしている毛利(本郷奏多)。彼は由子(島崎遙香)にお金をもらい、ペットのようになっていた。

 

 カフェのオーナーの天童(ゴリ)。自分の子供が事故死し、その事故を防ごうと思っている。

 

 専業主婦の横沢(手塚理美)。夫が末期がんで死亡。がんがわかる前に社交ダンスを一緒に舞台で踊ることをしなかったことを悔やんでいる。

 

 予備校生の坪井(猪野広樹)。東大受験に失敗し、予備校生をしている。裏サイトで悪いこともしている。

 

 サラリーマンの郷原(清水圭)。地味に暮らしていて、面白くない生活をしていることがイヤになっている。

 

 食品化学の研究員・大森(安達祐実)。飢えた子供を助けるための研究をしているが、実は…。

 

 そして、トラック運転手の高橋(福田転球)。彼はリピートをした際にトラックに乗っていて事故に巻き込まれて死亡してしまう。

 

 その後もリピートをした面々が次々に死亡する。リピート前にはなかった事件や事故が起こったりして、一体どうなっているのかがわからないリピート仲間たち。

 

 風間は不気味に生き残るのは誰かを問いかけてくる。

 

 なぜ自分たちはリピートに選ばれたのか、そして、誰が次に死ぬのか?

 

 謎が謎を呼ぶ展開に…。

 

 というようなお話である。

 

 深夜枠の放送だったけれど、かなり面白くてはまってしまった。

 

 風間は何度もリピートを繰り返している。こんな人生は送りたくないかもなー。

 

 それと、毛利の彼女の由子が怖すぎて怖すぎて…。こういう女に捕まったら恐怖だね…。

FINAL CUT(ファイナルカット)

テーマ:

 12年前、何者かが保育園児を殺害。慶介(亀梨和也)の母・恭子(裕木奈江)は園児が通う保育園の園長で、園児を預かっている最中の出来事だった。

 

 恭子は警察から重要参考人としてマークされると同時に、マスコミから犯人のように扱われ、世間からも冷たいまなざしで見られるようになり、高校生の慶介を残して自殺。結局、重要参考人死亡ということで、事件の犯人が誰かもはっきりしないまま、事件は未解決となっていた。

 

 12年後、慶介は警察官として働く傍ら、メディア被害者を救済するサイトを友人の大地(高木雄也)とともに立ち上げ、かつて母を追い詰めた報道番組「ザ・プレミアワイド」の関係者をマークしていた。

 

 それとともに、慶介が真犯人と目星をつけている小河原祥太(山崎育三郎)の一家に近づくため、妹の雪子(栗山千明)、若葉(橋本環奈)の二人に恋人となるべく接近していた。

 

 また、警察内では、母の事件と関連のある署に異動になったことを機に、当時捜査を担当していた高田副署長(佐々木蔵之介)に事件のことを追究していく。

 

 慶介は真犯人を暴き、捕まえることができるのか? そして、報道番組のメンバーたちへの復讐はどうなるのか?

 

 というようなお話である。

 

 視聴率はそれほどでもなかったと思うが、見出すと結構面白くて、7歳の息子も釘づけ。特に音楽とかが気に入ったようで、最終回は録画を消さずに何度も繰り返し見ている。何がそんなに息子を引き付けるのかはわからないが、息子の年齢では多分内容をすべて理解するのは難しく、何度も見ているのかもしれない。

 

 最終回まで真犯人が誰なのか、どんな顔なのかも全くわからず、また最終回で、その男が真犯人であることをどのように暴くかも緊迫感があって、見逃せなかった。

 

 報道陣を演じた杉本哲太、水野美紀、やついいちろう、林遣都も癖のある感じでよかったし、その大ボスのキャスター百瀬を演じた藤木直人は、今までいい人役が多かったようなイメージなのだが、こういう役もなかなかいいなと思った。

瀬尾まいこ 新潮社 2017

 

STORY:
高校に入ったものの人生を諦めかかっている太田は、先輩に2歳になる直前の鈴香の面倒を見てくれと頼まれる。奥さんが切迫早産で入院しなくてはならなくなり、他に頼める人がいないのだという。太田は仕方なく引き受けることにするが…。

 

感想:
 小学生から煙草を吸い、不良のレッテルを貼られた太田。中学時代に無理やり駅伝に出場させられ、入賞したことから、高校では真面目にやろうと思っていたが、入学した高校の環境が悪く、思うようには行かずに、16歳ながら諦めきった毎日を送っていた。

 

 そんなときに、先輩から頼まれた子守のバイト。最初は無理だと思ったが、先輩と奥さんからの必死の頼みに断れなくなり、しぶしぶ引き受ける。

 

 翌日、鈴香は太田のことを受け入れるわけがなく、泣き続け、そんな状態がしばらく続くが、次第に受け入れてもらえるようになり、太田は鈴香のために様々なことを工夫するようになる。

 

 そして、ついには公園に行き、他のママ友さんたちとも仲良くなったり、鈴香を通して世界が広がっていくのであった。

 

 が、バイトは奥さんの帰宅までの間の1ヶ月ほど。太田は次第に鈴香と離れがたくなり…。

 

 ものすごい久しぶりの瀬尾まいこの作品。もともと好きだったけれど、この作品もとてもよかった。

 

 16歳で世の中を諦めている太田だけれど、幼児に接するうちに自分にも小さくて可能性に満ち溢れていた時があったことや、まだ自分は若くて世界が広がっていることに気づいていく。

 

 太田は不良で世間からは「ワル」のレッテルを貼られる見かけをしているけれど、鈴香のために料理を作ったり、遊んだり、世話をしたり…。本当に冷たくて悪い人なら絶対にできないことを普通にやっていく。

 

 そして、別れが来る。太田はもう鈴香には会わないと思うけれど、先輩に家に気軽に遊びに行ってもいいのになーとは思った。

 

 自分が子育てをしているからか、一番違和感があったのは、やっぱり公園のシーンかな。場所柄とかもあるんだろうけれど、ママ友さんたちが太田のことを普通に受け入れてくれる。そんな場所ばかりではないと思うんだよね。このママさんたちがいい人たちだったという感じなんじゃないかな。

 

 まあ、そういう細かいところはよく書きすぎかなとは思ったけれど、感動的な作品に仕上がっていることには間違いなく、特に中高生ぐらいの人が読むといいのかもねと思った。

 

 どうも中学時代の駅伝の話は「あと少し、もう少し」という作品に描かれているみたい。これも読みたいと思っていたんだけど、そのままになってしまっている作品。今度読んでみようかな。

 

 と思ったら、すでに読んだことがあったみたい!! うわー。全然覚えてなかったよ…。

片岡翔 小学館 2017

 

STORY:
母が膠芽腫という病で亡くなる直前に星太朗に作ってくれたぬいぐるみのムッシュは、実はしゃべったり動いたりできる不思議なぬいぐるみ。星太朗も母と同じ病に侵されていることがわかって…。

 

感想:
 うーむ。少し合わなかった感がある作品だった。私にはいまいちかなぁ…。

 

 小学生のときにやってきたムッシュ。星太朗だけにではなく、その声はほかの人にも聞こえる。不思議な存在のコアラのぬいぐるみ。

 

 星太朗は母の死後、祖父とともに暮らし、その祖父も亡くなると、ムッシュと二人で暮らしてきた。

 

 しかし、母と同じ病ということは、余命があとわずかであるということ。ムッシュと二人で最後にやりたいことを壁に書き、二人でそれを遂行しようとしたり…。

 

 星太朗が本当にやりたいことは、壁に書いたことではなく、別のことで…。

 

 うむ~。やっぱり私にはいまいちだったな…。

山口恵以子 新潮社 2017

 

STORY:
双子の母となったりつ子は、姑や小姑に虐げられていた。小学校受験の塾に通い始めた日から、りつ子は娘・星良に過度な期待をかけるようになり…。

 

感想:
 最近何かと聞くようになった「毒母」という言葉。これは、子供のことを考えずに自らの希望を子供に押し付けたり、子供の言うことを否定したりする母親のこと。母親の言う通りにしていれば間違いがないと信じており、子供の気持ちなど全くお構いなしなのである。

 

 りつ子は、もとは事故で両親を突然亡くし、愛のない親戚一家に引き取られており、孤独な少女時代を過ごした。親戚一家はお金持ちの裕福な特別意識の強い家で、りつ子は全く安らげることがなかった。

 

 りつ子も結婚した時には、夫と二人で外国に行って愛のある生活をしたかったはずなのだが、選ばれた意識の強い夫の実家に同居したりつ子は、姑たちに認められることがなく、せっかく生まれた子供の男の子・倫太郎は姑に取り上げられるような形に。

 

 倫太郎は愛らしく何でもできるが、あまり外見にも恵まれなかった星良は、りつ子の神経を逆なですることばかり。小学校受験で親戚の鼻を明かそうと思っていたのに、星良はことごとく受験に失敗してしまう。

 

 そのころから、母の星良に対する風当たりはますます強くなり、星良はどんどん萎縮していく。

 

 このあたり、あまりにも星良がかわいそうでならなかった。どうして自分も周りから認められなかったのに、子供を認めて愛して育ててあげられなかったんだろうなーとつい思ってしまう。

 

 しかし、思春期を迎えると、親子関係はどんどん破綻していく。当然のことなのだが。

 

 そんな星良を救ってくれる人がいて、星良は自立をしていく。

 

 これ、モデルの人がいるのかも。誰かアナウンサーだったかタレントだったかで、母からのひどい仕打ちを本にした人がいたような覚えがある。それをモチーフに書いたのかなって後から思った。

 

 さて、自分を省みる。星良の環境をかわいそうだなと思い、助けてあげたいと思う自分がいるが、では、自分の子供に対してはどうなのだろうか?

 

 多かれ少なかれ、育児をしていれば、子供を自分の思い通りに動かそうと思う時がないわけではないと思う。時には子供のことを全否定したりもしているのかもしれないと反省する。

 

 とりあえず自分はこのような毒母にならないように気をつけないとなーと思いながら、毎日を過ごそう…。すぐ忘れそうだけど…。

岩木一麻 宝島社 2017

 

STORY:
末期がん患者がリビングニーズ保険を受け取った後に、がんが完全に消えてなくなってしまうという事案が数件起こる。がん専門医の夏目は、友人の羽島や生命保険会社調査部の森川らとともに謎に立ち向かう。

 

感想:
 2016年の第15回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した作品を改題し、加筆した作品。

 

 結構新聞でも宣伝されていて、迷いつつも読むことにしてみた。

 

 がんが完全に消えてしまった人の中には貧乏で生活に困るような人から、政治経済などの要人まで様々な人がいる。

 

 それはすべて湾岸医療センターでの治療を受けた患者だった。どうやら湾岸医療センターでは何やらよからぬことが行われているらしい…。

 

 という感じの話。

 

 この話、1回読んだだけだと完全には理解できないのかも。何回か読んだ方がわかるような感じがする。でも、そんな時間がないので、1回で、ぱらっと前を見てみておしまいにしてしまうけれど。

 

 かなり話が複雑なんだと思うし、最後まで読んで、「えっと?」みたいな感じが…。

 

 わざとわかりにくくしてるのかとは思うけど、たぶん構成的にももう少しわかりやすくした方が読みやすいような気も…。

 

 何だか謎が解けたんだか解けなかったんだか…という感じもあって、すっきりとはしない感じになってしまった。