『ストロベリーナイト』  誉田哲也 | ページをめくった先に広がる世界と解け合う心

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ストロベリーナイト (光文社文庫)/誉田 哲也
¥700
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***この本は2009年11月に読了しました***

溜め池近くの植え込みから、ビニールシートに包まれた男の惨殺死体が発見された。警視庁捜査一課の警部補・姫川玲子は、これが単独の殺人事件で終わらないことに気づく。捜査で浮上した謎の言葉「ストロベリーナイト」が意味するものは?クセ者揃いの刑事たちとともに悪戦苦闘の末、辿り着いたのは、あまりにも衝撃的な事実だった。人気シリーズ、待望の文庫化始動。
(Bookデータベースより)



「――あなたは これを 生で 見たい ですか」



都立水元公園の溜め池から浮かんできた、ビニールに包まれた男の惨殺死体。
警視庁捜査一課の女性主任警部補・姫川玲子が捜査に乗り出す。
猟奇的である一方で、どこか計画的で堅実な今回の犯行に姫川は違和感を感じていた。
そして捜査途中で浮かんできた謎の言葉「ストロベリーナイト」。
姫川は、そして曲者ぞろいの捜査一課の面々は事件を解決できるのか――。



この作品で著者とはお初でした。姫川シリーズとしてすでにシリーズ化してるみたいですね。
実は姫川シリーズの次作「ソウルケイジ」が先に手元にあったんですが、やっぱ順序良く読まなきゃ、ってことでこっちをゲットして読み始めました。それにしても、名前が姫川玲子って(笑)



読み始めて、すぐにディ~プな感じ・・・。
エグイ表現が苦手な方は、最初から手が進まなくなるかもしれません。
自分もいやぁ~な感じのまま読み進めました。しかし本題に入ってくると、サクサク読めました。
ただ、最初は姫川以外の登場人物がすんなり頭に入ってこず、若干苦労しました。。。



展開はスピーディーでテンポよく、プロット自体も良かったです。
主人公である姫川からだけの視点ではなく、脇役であったりライバルであったり、ときには犯人側の視点や回想も入り読みやすくなっている。その分、オチの部分がよめやすい感じになってしまっていたかな。
あと、表現の割りに内容としては軽い感じがしてしまいました。
そして、いわゆるご都合主義として叩かれそうな一面もあったかな。。。



最近読む作品に多いのですが、この作品もキャラがたっていて良かったです。
主人公である姫川。女性でノンキャリなのに異例の昇進をして現在、警視庁捜査一課殺人犯捜査係主任警部補。
オトコ臭い警察社会で生きる女性刑事としての意地や誇り。そして中盤から明らかになる過去の呪縛や刑事を志した理由。常に強くあろうとし、実際強いはずなのに、ときおり垣間見せる弱さ。
他にも脇役なのに印象深い猿顔部下や、年下部下の地道な努力と思わぬ活躍、そして殉職。
年上クセモノライバル刑事との熾烈な争い。
物語はめまぐるしい動きを見せながら佳境に向かっていきます。



「生」を当たり前のこととしか感じず、「死」という現実を目の当たりにすることで逆に、強く「生」を実感する者達。

「死」しか感じることが出来ず、赤い血を見ることでしか「生」を、自分が他人と同じ人間だと、感じることができなかった悲しき殺人鬼。


対極にあるはずの「生」と「死」が隣り合わせに微笑んでいる、そんな夜を あなたは 見たいですか




最後に。当初からシリーズ化目的だったのか、人間関係が続編を意識して書かれてるような感じをアリアリと受けてしまったのがちょっと残念でした。
個人的には狙い過ぎの描写より、すこし控えめな描写の方が続編を読んだときの楽しみになるので。
それでも過去を振り切り前を向いて生きていこうとする、女性刑事姫川の続編、また読んじゃいそうです。
ちなみにいまのところ次回作「ソウルケイジ」までは読了してます。



「目の前にある『死』という現実。そしてその対極として存在する、『生きる』という価値観。リアルな自分を、再認識するのさ」



★★★



その他の誉田哲也作品
『ストロベリーナイト』  ◇『月光』



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