『半落ち』  横山秀夫 | ページをめくった先に広がる世界と解け合う心

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半落ち (講談社文庫)/横山 秀夫
¥620
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***この本は2006年7月頃読了しました***

「妻を殺しました」。
現職警察官・梶聡一郎が、アルツハイマーを患う妻を殺害し自首してきた。動機も経過も素直に明かす梶だが、殺害から自首までの二日間の行動だけは頑として語ろうとしない。梶が完全に“落ち”ないのはなぜなのか、その胸に秘めている想いとは―。日本中が震えた、ベストセラー作家の代表作。(Bookデータベースより)



現職警察官による嘱託殺人。
殺した二日後に自首してきた。そこには空白の二日間の謎が。
遺書と取れる書、『人間五十年』―――。この幸若舞の「敦盛」に込められた想いとは・・・。
汚辱に塗れることを覚悟して。
人として、警察官として、尊厳と誇りを引き裂かれることを覚悟してまで、彼を自殺から踏みとどまらせ、自首の道を選ばせた「絆」とは・・・。



6人の男の章から成る。
それぞれの登場人物のバックグラウンドと人間ドラマの描写の相変わらずうまいです。
職業など関係なく人それぞれの悩みがあり、問題を抱え、組織や制度のシガラミにもがきながら頑張っているところ、こういうのは共感ができておれは大好きなのです。



ただ内容としては、もう少し梶警部の、つまり現職警察官でありながら妻を殺してしまったオトコの内面の葛藤の描写が読みたかった。



すべてをなくした彼の心の内。
妻を手に掛けた慙愧の念、警察官でありながら罪を犯してしまった呵責。
そういうものを期待して読み進めていってしまったからちょっと残念。
個人的には著者が他の作品でも描く「葛藤」が大好きだからなぁ。
梶警部の一人称の記述がなく、そういう内面の記述がないところがちょっと残念でした。



これはどういう視点で読むかによって評価が変わってきそうな作品だと思う。
ミステリーとして、謎解きなどを期待して読まない方がいいんじゃないかと。
落ちは大抵の人は途中ですぐ読めると思います。
なので著者は敢えてそう言う風に仕向け、謎解き的なミステリー調を排除したかったんじゃないか、と思うくらい。
ミステリーとして、謎解きとしての視点からしか見れない人はきっと評価が低いだろう。
この作品は謎解きでのクライマックスではなく、『人間の本質への問い』・・・そういうもののだったんじゃないかと。



「あなたは誰のために生きているんですか」

「あなたには守りたい人がいませんか」




「今度は僕が作りますから」
「とびきり旨いの作りますから。」

この言葉に、おれは「完落ち」した(涙)


★★★★


映画は観てません(TωT)


その他の横山秀夫作品
『陰の季節』  ◇『半落ち』  ◇『クライマーズ・ハイ』



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