私の同人サークル「女医風呂」の小説同人誌にありがたくも寄稿していただいた作家さんのデビュー作。

ちなみにその同人誌は2011年8月現在、
とらのあなで買えます(←リンク先に年齢認証画面が出ますが、全年齢対象の小説誌です:宣伝ココマデ)。
いや、みんな、ふだん一般小説しか読まない人はさ、ラノベって漫画みたいな絵がついててせいぜい中高生までが読む本でしょ?とか、新風舎って自費出版の出版社じゃんとか思うだろうよね、でもだまされたと思って読んでみてよ、これがもうすっごくおもしっろいんだから。現在新刊で手に入らないのがもったいない、もったいなさすぎる。ラノベは萌えだけの軟弱な書物でしょ?っていう偏見を持つ人にこそ読んでほしい骨太なハードボイルドファンタジーなのだっ。シャワーのように本を浴びる私だが、今年読んだ本の中で一、二を争う面白さだったことを断言しておく。
私もヒイキとかシットとかそういう感情を押し込めてニュートラルな気持ちでこの本を読み始めたのさ。
つかみからしてもうすごいの、なにしろ地獄の裁判所で、主人公ははらわた出ちゃっているんだもん。どんなワイルドなシチュエーションだよ、ってわくわくしてしまうのだ。
最初の数ページは、地獄のシステム(往生要集をベースに、著者が独自設定を加えた緻密で魅力的な設定)を頭に入れるのにちと手こずったけれども、それを過ぎたらもう一気読み。
もう独自すぎて何にたとえたらいいかわかんないけどね、たとえばアクションシーンのいくつかは平井和正「ウルフガイ」ばりだし、壮絶な戦闘シーンは友成純一「ナイトブリード」にも迫る勢いで、もうとにかくすごいったらないの。なんでジャパンのカンパニーはこれを原作にシネマを作らねーのか全く理解に苦しむってもんよ。
もちろん、ラノベらしい(?)ドジっ子美少女(ご都合主義ではなくて、思わず応援したくなっちゃうようなのろまなカメっぽい娘…)も出て来るので、いわゆるラノベ好きにも強烈にオススメだ。
キャラの魅力が壮大なストーリーに乗せられた本作には(序盤の設定のややこしさを除けば)およそ欠点が見受けられないが、ひとつ残念なことがあるとすれば、後半が急ぎ足であることだろうか。あまりに壮大なストーリーであるんで、もともと一冊に収まる分量ではなかったのかもしれない。
人情も心に染み入り、設定の妙に酔い、キャラクターの魅力にどっぷり浸かれる、三拍子そろった良作なので、食わず嫌いなどせずにぜひぜひトライしてみてほしい。
かえすがえすも、残念なのは本書が新刊では入手困難なことである。諸星大二郎挿画(←私の脳内イメージ)で、大手出版社から再版されないだろうか。その価値は充分にある、中身の濃い一冊だ。