神沼三平太「実話怪談 怖気草」 | 読書日記PNU屋

神沼三平太「実話怪談 怖気草」

実話怪談 怖気草 (竹書房文庫)実話怪談 怖気草 (竹書房文庫)
神沼 三平太

竹書房 2018-02-28

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 神沼怪談といえば、ボディブローのような重みある震えである。

 今年もまた、そんな忌まわしい一冊が降臨。

 長短問わず、どの話も濃厚な死の禍がまとわりつき、読後には脳震盪後のような酩酊感が待っている。これぞまさに、怪談ジャンキーによる、怪談ジャンキーのための本ではないだろうか。


 お気に入り(?)を下記に。


「利き腕」待ってました!な、ワールドワイド怪談。かつては日本でも類似の行為があったのだろうか…大陸のまじないがおぞましい。


「掛け軸」怪異に勝るとも劣らぬ嫌〜で怖い人間たち…。


「吊り部屋」・「ダイビングスポット」どちらも曰く付き物件の話だが、起きている現象は《同一手段による自殺の連鎖》と共通なものの、趣はそれぞれ異なっていて興味深い。


「蛇塚」予定調和にからめとられた人間の悲しさよ…。


「巾着袋」邪悪な善意、それとも善良な悪意か。一旦関わってしまったら、一生背負っていくしかないのだろう。


「祟り」シンプルなタイトルだが、予想を超えてずしりと堪える内容だ。死ですら救済にならない世界がそこにある。