悪食 光三郎
テーマ:ノンフィクション あ行「文人悪食」
嵐山光三郎
明治から昭和にかけて、夏目漱石から三島由紀夫まで、その食から文人を語ります。
たとえば正岡子規は脊椎カリエスで苦しみながらも三食に間食と大食し、苦しみます。
「まるで食べることで自分を攻撃する修行僧のようだ」と。
泉鏡花はバイ菌恐怖症のため、あらゆる食べ物をぐらぐらと煮沸しないと、食べることができません。
大根おろしも。
夏目漱石はずっと胃腸を病んでいました。
お腹がすくと痛み、消化に悪いものを食べると痛み、これが生涯続きます。
晩年アイスクリームやビスケットを好み、末期の水は葡萄酒だったそうです。
川端康成は食が細くお弁当を4回に分けて食べていたそうです。
しかし食は豪勢で、戦時中すでに文人として名を成していたので、差し入れが絶えず、肉魚野菜お菓子と出版社のパーティーよりも豪華な食事が毎日続いていたそうです。
種田山頭火については「飯を食うため、酒を飲むため、句を読むために出家した。」といっています。
実際大飯食いで本人も『私は5合食べる』『自分で自分の胃袋のでかいのに呆れる』と書いています。
三島由紀夫は、食事というよりも栄養補給といいたほうがいいかも。
味覚に隷属する日本文化を嫌悪し、罵倒していますが、本人は味音痴でそれを認めています。
などなど。
食は必要という意味では万人に平等であるため、いかなる文人も同じ立場で感じることができます。
その分、薄気味悪いこともあり、なかなか楽しめる本でした。
文人をこよなく愛する嵐山光三郎だからこそ、5年かけ700あまりの資料と小説にあたり、文献としてではなく、興味深い読み物として成立しています。
37人の様々な食文化を楽しんでください。







