2006年12月14日

わたしを離さないで / カズオ・イシグロ

テーマ:海外小説・男性

名前は聞いたことがあった「カズオ・イシグロ」さんの作品の初読です。ちなみに、彼は日本人だけどイギリス育ちだそうで。この本も翻訳されたものが出版されています。名前は日本人なだけに、なんか不思議。(^_^;)


優秀な介護人キャシーは提供者と呼ばれる人たちの世話をしている。キャシーが生まれ育ったのは「ヘールシャム」という施設。そのヘールシャムで同じ時を過ごした友人でもある提供者たちをケアしてくうちに、ヘールシャムでの不思議な日々を思い返します。癇癪持ちだったトミー、思わせぶりなセリフでみんなの気を引くルース、保護官と呼ばれる先生たち、謎の人物マダムのこと、外部から完全に遮断された施設の中で育った彼らに待ち受ける将来。キャシーと、その愛する人たちの悲しく切ない話です。


彼女の回想によってヘールシャム、介護人、提供者などの謎が明らかになっていく流れになっています。読み始めたとき「介護人?提供者??なんだそれ???」と思いながら読んでいたのですが、次第にそれらがいったい何を指しているのかを知ったとき愕然としました。そして、背中がゾクゾクしました。まるで現代のどこかにある施設の話をしているように感じますが、まったく違います。この本はカズオ・イシグロ氏の想像の世界。そして、私には想像もできない(したくもない)恐ろしくて悲しい想像の世界でした。それらの事実が淡々と語られていく様子は、哀しくて切ない。でも、そんな切ない人生の中でも、自分自身の人生を一生懸命生きているキャシーが愛しくなりました。


淡々としていて地味な感じの作品ですが、本当にすごいです。作中の中ほどで明かされる真実よりも、キャシーやその仲間たちのほのぼのとした生活や、彼女たちの思いをを味わいながら読むといいと思います。この本は本当にたくさんの人に読んで欲しいです。


タイトル:わたしを離さないで
著者:カズオ イシグロ
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2005年07月19日

運命の息子 / ジェフリー・アーチャー

テーマ:海外小説・男性

運命のいたずらで引き裂かれた双子の兄弟の話です。ジェフリー・アーチャーは2001年に偽証罪で刑務所に入りました。そして、2003年に出所しているはずなので、その後に出版された本だと思うんです。ちなみにこの文庫本が出版されたのが2003年11月なんですよ。獄中で書いたのかな?それとも、出所してから書いたのかな?どちらにせよ刑務所暮らしの後でも、彼の文章は相変わらず私をワクワクさせてくれました。


裕福な実業家ダヴェンポート家に念願の男の子が生まれた。同じ日、保険セールスマンのカートライト家にも双子の男の子が生まれた。3人の男の子が同じ病院で同じ日に生まれ、悲しいことにその日の夜になって1人の男の子が死んでしまった。そして、ダヴェンポート家専属だった看護婦ヘザーによって双子は生まれてすぐ引き離されることになった。ヘザーと、それに気がついた担当医師以外は、誰も知らないままに・・・。異なる環境で育てられた双子ナットとフレッチャーは、成長していく過程でそれぞれの夢を見つけていきます。双子が再び巡り合う時、2人はどのように育っているのか。


成長し、お互いが兄弟だったと発覚したときには、非常によいライバルであり尊敬しあえる存在になっていました。金銭的にはまったく違う環境で育てられたにも関わらず、2人ともそれぞれ自分のよい所を伸ばしてリーダーシップの強い人間になるんですよ。これって環境に関わらず本来もっていた人間性というか性格もあるんでしょうね。この2人は2卵生双生児らしく、顔がまったく同じというわけではないんです。だから周りはなかなか気がつかない。というか、本人たちとこの2人の奥さん以外は最後まで誰も気がつかないままなんです。でも、中身は基本的に近い気がします。違う考え方の親が育てたはずなんですけど、偶然にも親同士の価値観もそれほど遠くなかったのかなぁ・・・。


話の展開はこの2人の成長を順番に見ていく感じになります。なので、細かくシーンが入れ替わってしまうんです。ジェフリー・アーチャーの作品にはよくあるパターンなのですが、今回は少し切り替わるテンポが速かったかなぁと感じました。私はそれほど気にならなかったのですが、あまりころころと場面が替わるので感情移入がしにくい人もいるかもしれません。ちなみにとてもアーチャーらしいのが、結末をはっきり書いてないところ。最後がどうなったのかーと気になるところですが、実はちゃんと読んでいくと上巻にその答えが書かれているんです。すごい伏線です。うっかりさら~っと読んでしまうと、結末がどうなったのかわかりにくくなってしまうんですもん。アーチャの作品はいつも最後まで気が抜けません。

あと、ジェフリー・アーチャー作品には必ずといっていいほど登場する一生付きまとうライバル、そして最高の友人がいます。どちらもいい味を出していました。今回の悪役はエリオットというやつなんですけどね。これがまた嫌なやつで。ナットとフレッチャーの人間性がいいだけに、ろこつにエリオットが嫌なやつに見えるんです。きっと書き方が上手なんでしょうね。エリオットが1人いるだけで、他の人たちがみんないい人間に見えちゃうくらいですよ。


刑務所でのできごとを書いた獄中記 も気になるところ。おもしろいのかなぁ・・・。


タイトル:運命の息子〈上〉運命の息子〈下〉
著者:ジェフリー アーチャー, Jeffrey Archer, 永井 淳

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2005年06月21日

きみに読む物語 / ニコラス・スパークス

テーマ:海外小説・男性

映画「きみに読む物語 」の原作本です。


80歳になった老人ノアが、アルツハイマーになってしまいすべてを忘れたアリーのために、奇跡を信じて物語を読み続けます。その物語は、愛の物語です。18才だった頃の彼女との出逢いと別れ。そして、31歳のノアに起こった愛の奇跡。幸せだった日々を聞いて、いつか自分を思い出してくれる瞬間を望んでノアは読み続けます。


この話にはノアとアリーの愛がめいいっぱい書かれています。この2人は14年間も離れていたにも関わらず、再び出会ったことでやはり大切な人だったことを再認識させられるんです。それだけでもすごいことです。一緒にいると次第にそれが普通になっていくことが多いような気がするのですが、ノアとアリーは日々を一緒に過ごすことでよりいっそう愛を深めていくんです。与え続ける愛。奇跡を信じて、その日を待って愛を与え続ける。まさに純愛といった感じです。どっぷりとラブストーリーにはまりたいときは、かなりお薦めかもしれません。


ちなみに、私が読んだ本の表紙はこちらでした。

個人的には新しい表紙より、この方が好きだなと感じています。アリーはこんな女性だったんだろうなぁとイメージが膨らみました。色がとてもきれいで、穏やかな愛の雰囲気が伝わってくるような装丁でした。


タイトル: きみに読む物語
著者: ニコラス・スパークス, 雨沢 泰
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2005年06月07日

DAVE さよなら"It"と呼ばれた子 / デイヴ・ペルザー

テーマ:海外小説・男性

“It”と呼ばれた子 」「ロストボーイ 」と続き、ようやく最後の1冊です。この本では18歳になり空軍に入隊した後のデイヴが書かれています。母親から虐待され、保護された後も里子としての偏見や差別の中で苦労をしてきたデイヴがようやく夢をつかむんです。


デイヴは憧れの飛行機に乗るべく空軍へ入隊したのですが、高校は中退、体はガリガリ、視力も悪い等デイヴにとっては不利な条件ばっかりです。しかも、軍の手違いで最初はコックからのスタート。でも、デイヴは頑張り、ようやく飛行機乗りになることができます。初めての恋と結婚、そして子供が生まれ幸せになったかのように見えるデイヴ。しかし妻との関係はうまくいかず、不幸な結果に終わります。


デイヴは最愛の息子のおかげで少しづつ癒されていき、母親に会いに行き「なぜ虐待をしたのか」と問うことまでできるようになったんです。母親を理解することはできなくても、許すことができたデイヴ。1人の人間として生まれ変わることができ、新しいパートナーと幸せな生活を手に入れることができます。



デイヴは空軍に入りたての頃、あの母親の夢を見るようになるんです。殺されそうになるのに、怖くて逃げられない夢。いくら逃げても、母親の存在が追ってくるような気がして叫んでしまう。体は母親から逃げられても、心はまだ留まっているんでしょうね。味わった恐怖、苦痛などを心が忘れてないんだと思います。 でも、デイヴの強いところは、母親がなぜ虐待をしたのかという理由を探そうとしたところ。母の母、つまりデイヴの祖母と会って話をしたり、母親の元へ会いに行って話しをするんです。とても怖かったと思いますよ。もう大人なんだし虐待されることはないと頭ではわかってはいても、心が母親に対する恐怖心でいっぱいなんですもん。


許すという作業って、一番大変なことだと思います。自分のことで考えても、些細なことで人を許せずに嫌いになってしまったりすることがあるくらいだし。デイヴのやられてきたことを思うと、本当によく許すことができたなぁと驚かされます。母親を許したことで、デイヴ自身のトラウマも消えてとても心が成長したでしょうね。


心の傷を自分で乗り越え、努力で手に入れた憧れの仕事。そして、愛する息子と愛する恋人。最後に幸せになってくれてよかったと、心から思いました。


1作目 "It"と呼ばれた子について

2作目 ロストボーイについて


著者: デイヴ ペルザー, Dave Pelzer, 田栗 美奈子
タイトル: デイヴ―さよなら“It”と呼ばれた子  

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2005年05月20日

ノース ~ちいさな旅人~ / アラン・ツァイベル

テーマ:海外小説・男性
FA宣言して、より良い条件の親を探す少年の話です。

ノースはスポーツも万能、成績優秀な模範少年。たった1つの不満が両親のこと。ノースの両親は、こんなにすごい息子をもっているのに、ちっとも彼の話を聞いてあげないんです。野球で頑張ったこと、学校で先生に褒められたことなど、両親にノースは聞いてもらいたいんです。ノースの両親は共働きなので話ができるのは夕食のときだけ。必死に聞いてもらおうとするんですけど、2人とも自分の話をするのに夢中でノースが口を挟む隙もないって感じ。 おかげでノースは両親に注目してもらうために、発作がおきるようになってしまったんです。あまりのひどさに病院へ行くのですが、改善される様子はありません。

そこでノースは考えた。両親を代えてしまおう!と。フリーエージェントで養子にしてもらうことを考えたんです。ノースの計画は全国で一番よい条件をノースに出してくれた両親の元へ養子として行こうというものです。ところが。。。。。



フリーエージェントで両親を違う人に代えてしまおうというのだから、大胆な発想ですよね。しかも、それで応じる大人がいるというのもすごいんですけど。このノースの宣言で町の子供たちは力を得るんですよ。なぜなら、ほかの家の両親達が自分の子供もFA宣言をしてしまうと困ると思ったからなんです。子供たちは甘やかされ、好き放題。おかげで大人たちは大変な思いをするわけです。


親の条件がよければ、子供は幸せになれるのか。

優秀な子供を、お金や土地などの力で買おうとする大人たち。

ノースは最後にどうなるのか。


ちょっと馬鹿げた設定ですけど、なかなか考えさせられました。思春期で親が嫌だなぁと思っている子供が読んだらおもしろいかも。結局はどんな条件が良い親でも愛情がなければ意味がないということに気がつくかもしれません。


著者: アラン ツァイベル, Alan Zweibel, 常盤 新平
タイトル: ノース―ちいさな旅人
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