8月10日の記事でさらりと「園芸店のポット苗」と書いてしまいましたが,
実際はどの園芸店にも常時,盆栽になりそうな素材が
置いてあるわけではありません。
コンテナガーデニングやウォールバスケットに使うような
改良種の花苗しか置いていないお店では,
残念ながら盆栽に使える植物は見つからないかもしれません。
一般的な園芸店の中にも,仕入れ担当者の好みや客層によっては
紅チガヤ,山アジサイ,セキショウ(石菖),フウチソウ(風知草)といった
盆栽としてよく取り上げられる植物が入荷するお店があるので,
近所でそういう所を見つけたら定期的に足を運ぶ癖をつけておきましょう。
本当の初心者の場合,「何を買ったらいいか全く分からない」
ということがあるかもしれませんが,そういう場合は展示会や雑誌や,
あるいはインターネットでもいいですから盆栽の情報に触れて,
その中で姿を気に入った植物があれば気にとめておくと良いでしょう。
もちろん,最初から盆栽園で盆栽を買っていただければ
それにこしたことはないのですが,
「家の近所に盆栽園なんかない!」という方にも
気軽に第一歩を踏み出して欲しいと思います。
「盆栽というのは盆栽という名前が付いて売っている物」
という固定概念を取り去って,気に入った植物を育ててみましょう。
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石菖「黄金姫」。
石菖は全般に育てやすく強健。
しかも殖やす,株分けする,鉢合わせを考える,
刈り込む,そういった全ての作業を体験できる。
その昔は「石菖鉢」といって石菖専用の鉢が大量に作られたが,
博物館クラスの工芸品も少なくない。
東京国立博物館蔵,『海士玉採図石菖鉢(あまたまとりずせきしょうばち)』
山尾侶之作,1873(明治6)年。
(撮影許可エリアで撮影。)
石菖には油煙を吸着する効果があると信じられており,
夜咄(夜の茶事)の席には欠かせない。
(その割に,お茶の世界から盆栽界に声がかかったという話は聞かない。)
和室から洋間まであらゆる住環境にマッチする姿で,
歴史的・文化的背景も十分に備わった植物と思うけれど,
意外に流行らない。
器一つ,草一つで勝負するとなると,ごまかしが利かない分,
盆栽としては究極の素材とも言える。