今日もまったり お茶日和り

なんとなく座って
なんとなく自然の音に耳を傾け
なんとなく・・・・・

それだけで 少し元気になれる
そんな時空で
お待ちしています
     ~空カフェ店長♪~


テーマ:
ガランゴロンガラン           

隣の花屋の奥さんが、菜の花の束を抱え
背中でドアを押して入ってきた。

奥さんは週末になると
うちの店へ花の交換に来る。


奥さんはにこやかに僕へ会釈をおくり
手際よく鏡のまえの大きな壺の周りに
新聞紙を敷いた

菜の花をおろすと
まだ散りそうもない
きれいに開ききったばかりのチューリップを
壺から抜いて新聞紙に置いた

そして大きな壺を丁寧に持ち上げると
化粧室へ持っていって
さっと洗い
水を入れ替えて出てきた。

子供の頭を拭くように壺のしずくを拭くと
菜の花のバランスを図りながら
華麗に活ける



それは ものの見事に
ランダムな花の群れが芸術作品に
生まれ変わる瞬間だ


僕はカウンターの中で
その瞬間が いつくるのか
ワクワクするのを気付かれないように
横目でその瞬間を いつも盗み見る




シュッ シッシュー

ポットのお湯が沸いて
僕のスタータが鳴った

言葉を交わすことなく始まる
奥さんと僕の 時と場の共演


僕は奥さんの好みの豆を
手際よく計って 豆皮を飛ばし
ネルに盛った

沸騰したお湯が
少し冷めるタイミングを計り
お湯を指しながら
鏡越しに活けられていく花たちを見た

忙しそうに動く奥さんの姿が
菜の花の向うに見え隠れし
魔法のように
どんどん花の輪が広がっていく

そのしぐさは花嫁の身支度を手伝う母のように
やさしく 厳しく
暖かい



それは ものの見事に
馬子にも衣装といえば失礼だが
ランダムな花の群れが芸術作品に
生まれ変わる


僕はカウンターの中で
もう直ぐ来るその瞬間を
予感して
コーヒーの落ちる早さを確認した


最後の一本を挿し
右から左から眺めながら
手をそっと拭く奥さんの 
満足気な口元はリンと引き締まり
中世の貴婦人をイメージさせる


と そのとき
抜かれた一本のチューリップが転がった

奥さんは手にしていた菜の花を
あわてて台にもどし
チューリップを宙で受け止めようと
手をのばした


チューリップはその指を避けるように 
床の上に落下した

落ちながら 一枚の花びらが
ハラッ と ・・・


奥さんは大きなため息をつきながら
白鳥が水面に降り立つように
ゆっくりと 斜にしゃがみ
落下したチューリップと 
外れた一枚の花びらを拾ろいあげた


そして 少しカウンターに手をかけて
力を借りながら立ち上がり
まだしっかりしているチューリップを
新聞紙の上に置き
もとあったように花びらを花杶にもどした


花瓶から抜かれ 
新聞紙の上に並べられているチューリップは
まだみんな しっかりしていて
後4~5日は大丈夫な花たちだ

その命を 奥さんは尽きる前に 葬る

店としては いつも若々しい花が飾られ
気持ちはいい
店唯一の 色香である

しかし そんなに早く入れ替えなくてもいい
そんな気も していた

なぜ 最後まで咲かしてあげないんだろう・・・

はずれてしまった花びらを
申し訳なさそうに元へ戻した様子を見て
僕は今日 それを尋ねることにした


さぁ
奥さんは最後の一本をいけると
そっと胸元で両手をにぎり
小さく さわやかな深呼吸をし
僕のほうを振り向いた

僕はしっかりと
芸術作品に生まれ変わる瞬間を
横目で盗み見
同時にカップに注いだコーヒーを
カウンターへ置いた

奥さんは口元に甘い笑みを浮かべながら
軽いステップで
カウンターへ近づいて来た

逆光に浮かぶ奥さんは
ラファウロエの絵から抜け出してきたようで


・・・・・
いつも有難うございます
と僕は なぜか 緊張していた


奥さんは嬉しそうに少し方をすぼめて
華麗に舞う菜の花を振り返りながら
イスにゆっくり座った

抜き捨てた
チュ―リップには目もくれないで


僕は軽く咳払いして 尋ねた
「花の交換時期が いつも早くありませんか?
まだ萎れていない花がもったいないようで゙・・・」

たずねながら 失礼だったような気がしてきて
僕は 奥さんから目を外すために
汚れていないコップの汚れを探している振りで
あたふたとコップを洗い始めた


奥さんはコーヒーを飲む手を止めて
少し皺のできた手の甲を眺めながら
小さく答えた
「花はきれいねって 言われるために生まれたの
だから ・・・・・
萎れた姿を さらさせたくないの・・」

・・・・・・


僕はハンサムでなくて良かった
僕は きっと萎れても
ここでコーヒーを沸かしているだろう

壁の鏡の中で シワシワの僕が
ウインクしたような気がした。


空かふぇ店長日誌 より
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テーマ:
今日は開店休業かな・・・ って
思いながら カップを磨いていると
店の外へ並べている椅子へ
赤い帽子の婦人が 1人座った

お客かな?
それとも 単なる一休みかナーーーー


この店は セルフではないが
 屋外の席は自由にしている
タクシー待ちの人もいる
トイレを借りに来る人もいる
ちょっと一服 の人もいる

だから 注文を聞きには行かない

しばらくすると
「注文聞きに来ないんですか?」
いぶかし気な視線で赤い帽子は店に入ってきた

「申し訳有りません」 
つい 誤ってしまった
「聞きに行かないシステムです」と
いえばよかった
でも その不服そうな気配に 言えなかった


お客さまだったんだ・・・・・

「何にいたしましょう」
「本日の珈琲」
言い放つと ナマケモノのね という視線をチラッと向けて
イライラと 外の席へ戻った

・・・・・
しぼんだ気持ちで 珈琲を煎れた
神に誓って 手は抜いていない


いつもより ちょっと緊張しながら
おいしい珈琲で 心を和んでもらいたいと
心を込めて煎れた


しかし 味見すると 渋味が出ていた
どうしよう ・・・・・


やっぱり 淹れなおそう
ぼくは 新しいポットをだして淹れなおし始めた

ガラス越しに 遅いわねー といわんばかりの
赤い帽子の視線が延びてくる

電話が鳴った

今電話に出ると
珈琲にさしているお湯のタイミングがずれる


電話は お構いなしに鳴り続ける


りりりりーン りりりりーン りり・・・
ぼくの額が汗ばんできた


ぼくは店長
いつもにこやかで 訪れる方みんなに
憩いの一時を楽しんでもらいたいと願っている


なのに お客様は不信気に
電話は イライラと


外を走る車に反射した光が床から天井へ走る
1台 2台 3台 4 5 6・・・・

今のぼくは 難しい手術をしている
外科医のような気がした


ポットにお湯を指し終えた
と同時に 電話は切れた

再び 味見・・


前よりも もっと渋味がでてしまった



・・・・・・・


心がグシュと 音をさせた
もうこれ以上 待たせられない気がした

ぼくはチョコレートビーンズを 5粒
小さい皿へ並べ
深呼吸して
渋い珈琲を客席へ運んだ



「お待たせしました」
「本日の珈琲は少し渋みのあるタイプですので
 チョコレートをお付けしています」

わけの分からない 言い訳をした


そして
目をあわせないように
軽く会釈して 下がった


店内に戻って振り返ると
赤い帽子は 珈琲を一口飲んで
一呼吸すると チョコレートを口へ運んだ



15分ほどして 赤い帽子は
店内のレジの前に立った


「アルバイトに店を任せて、
 店長さんは無責任ね」
どうやら僕は気の効かない 
珈琲も 上手く淹れられない
アルバイトと勘違いされたようだ

「・・・・いえ・・・僕はアルバイトではありません」
僕は出来るだけにこやかに穏やかに
・・・言った


赤い帽子は 僕の顔をまじまじと見て
音を立てて言葉をのみ 
きびすを返して出て行った。

・ ・・・・・・


僕は調子よく 
アルバイトのフリをすればよかったのだろうか

それとも 長く待たしても もう一度 
心を落ち着かせて
おいしい珈琲を
入れなおすべきだったんだろうか



それとも・・1番最初に 
外の席は
注文を聞かないシステムであることを
説明して 
理解してもらえばよかったんだろうか


僕の言葉足らずと
 タイミングに乗れない愚図さが
僕の心を 赤い帽子に伝えられなかった


カップを片付けに行くテーブルが
とても 
遠く感じられた          








空かふぇ店長日誌 より
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