またまたじゃじゃ馬の続きが書けず他の話に手をつけてしまっております。
これってメロキュン研究員のお仲間にしていただいてるくせしてまったく活動できてないので、自由研究のつもりで作ったものなんですが・・・。
何故か着地点がズレまくって甘さがなくなってしまいました。
私にはメロキュンはムリってことなんですかね・・・。
こんな話ですがよろしければどうぞ。



勇気が出る魔法の薬



今日も社に頼まれ食事の支度をしているキョーコは、蓮のマンション内で1人悶々と過ごしていた。
留守中に上がり込んだのが初めてというのも落ち着かない理由の1つなのだが、それよりもこれからしようとしていることが彼女をそうさせてる主な原因であった。
それは何かというと・・・。

「どうしよう・・・すごく緊張してきちゃった・・・。
こんなんじゃ敦賀さんが帰ってきても気持ちを告げることなんか出来っこないわ。
今日は言うのやめようかしら・・・。」

忙しなくウロウロと動き回りながらキョーコはそんな独り言を呟く。
・・・そう、彼女は告白しようとしているのである。
これまでずっと閉じ込めてた想いが溢れそうになったからと、告げて玉砕してしまえばもう二度とこんな気持ちを持つこともないだろうと考えて・・・。
だが覚悟を決めてはみたものの時間が経つにつれて決意が崩れそうになってしまう。
そんな時彼女は叱咤激励して送り出してくれた親友のことを思い出す。

『いい?せっかく決めた覚悟を覆したりするんじゃないわよ?!
アンタが動いたら万事丸く収まるんだから・・・まあ告白なんて初めてで緊張するだろうけど。
・・・もしどうしてもダメだと思って逃げ出したくなったらこれを飲みなさい。
これはね・・・アンタ好みの言い方をすれば勇気が出る魔法の薬よ。
飲めば不安や迷いを吹き飛ばしてくれるわ。』

そう言って手渡されたモノをバッグから取り出し凝視する。
それは一見何の変哲もないどこにでもあるジュースのようだが、キョーコは親友の言葉に縋るかのように一気に飲み干していったのだった。


それから30分後ようやく仕事を終え自宅に戻ってきた蓮は意中の人に会える嬉しさから頬を緩め呼び鈴を押す。
だがいくら待っても何の応答もないため訝しげな表情をしながら自分のキーで中に入るといきなり誰かに抱きつかれ驚く。
まさかと思いつつもやんわりと引き剥がして見てみるとそれはやはりキョーコで彼は無表情で固まったのだが、彼女はそんな様子に構うことなく満面の笑みを浮かべて言う。

「お帰りなさい敦賀さん。待ってたんですよ~。」

そんないつもからは考えられない行動と甘えた口調・・・そして仄かに香る匂いに・・・。
ふとある1つの仮定が頭に浮かんだ蓮は彼女を連れてリビングに入り、それを決定付ける確かな証拠を見つけ微かな眩暈に襲われながら呟いた。

「・・・やっぱりか・・・最上さん、君酔っ払ってるね・・・。」

「ほへ?酔ってなんかいませんよ。
私は未成年ですからお酒なんて飲んでませんもん~。」

「いや、でもコレ・・・。」

「ああ、それはモー子さんに貰った魔法の薬です。
本当にすごい効き目なんですよ~、飲んだら忽ちに効果があったんですから~。」

「ふーんそう・・・魔法の薬・・・。」

所々間延びした彼女の言葉にそう搾り出すように返事をして彼はそれきり黙り込んでしまう。
魔法の薬と言われ簡単に信じてお酒を口にした迂闊なキョーコと、そんなものを渡した人物に対して苛立ちを感じて。
だが次の瞬間にはそんな感情はきれいさっぱり消えてしまっていた。

「はい~、それのおかげで緊張が吹っ飛んだからきちんと伝えられそうです。
敦賀さん・・・いつからかは分かりませんが私は貴方に惹かれていました。
そのことに気付いてからもず~っと認めようとはしませんでしたが、気持ちを秘めておくのが限界になってきたので一度だけ言わせてくださいね・・・私は貴方のことが好きです・・・。
よし、言葉に出来たしこれでもう悔いはありません~、だから遠慮なくスパッと振っちゃってください。
そうすれば二度と分不相応な想いは抱かず後輩に徹しますから~。」

思いがけない彼女からの告白。
そのあまりの嬉しさに彼は破顔して告げる。

「振ったりするワケないだろう・・・好きでたまらない子からの告白なのに・・・。
俺も君のことが好きだよ。
これから毎日でも俺の気持ちを言葉にするから、君も一度だけと言わず何度でも聞かせてほしいな・・・。」

言いながら想定外のことに目を見開くキョーコを腕の中に収めた蓮は、彼女が信じて安心したように眠るまでずっと好きだと繰り返し続けるのだった・・・。



おわり



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