今「じゃじゃ馬ならし」の続きがまったく書けてない状態なのですが、その代わりというか思い付き書き上げた話があるのでUPします。
今回の話の蓮様もかなりヘタレてますので、カッコいい彼しか嫌だという方は読まれないようにしてくださいね。



恋愛難儀者たちへの助け舟



ここはテレビ局内の滅多に人が立ち入らない場所。
そこで一組の男女がもう何度目になるか分からない、本人たちにとってはお馴染みになってしまったやり取りをしている。

「最上さん、どうして君は信じてくれないんだ?
俺はこんなにも君のことが好きなのに・・・。」

「何で私が悪いみたいな責めるような口調で言うんです?
信じられないのは当然じゃないですか・・・。
敦賀さんほどの人がこんな平凡な小娘相手に告白なんて冗談でも罰ゲームでもあり得ませんからね。」

「だから何度も言ってるだろう?!
俺が君に気持ちを告げているのは冗談でも罰ゲームでもなく本気で好きだからだと。
本気だからこそ君を手に入れたくて必死なんだと・・・。」

「ですから、それが信じられないと言ってるんですよ!
必死って・・・私如きに貴方がそうなる意味が分かりません!!」

いつもならこのやり取りは時間が許す限り延々と続くのだが今回は違っていた。
それは何故かというと・・・。

「・・・やれやれ、話には聞いてたけど本当にこんな感じだったんだ・・・。」

「これじゃあスンナリと纏まらないのも納得出来るわよね。」

と、金髪碧眼の少年と少女がため息をついたり首を横に振ったりしながら乱入してきたからだ。
小学生くらいの年齢のその2人の顔立ちは、攻防戦を繰り広げていた彼らの幼少期に瓜二つと言っても過言ではないほどとてもよく似ていた。
そのことに驚きつつも話を続行させるべく蓮は笑みを浮かべその子たちに話しかける。

「えっと・・・ここにいるということは君たちはドラマか何かの子役?
俺たちは今大切な話をしてる最中だから、関係ないのに割り込まないでくれないかな・・・。」

話を邪魔された苛立ちからか子ども相手にそんな大人げないことを言う男に、2人は額に青筋を浮かべながら綺麗な笑顔で微笑む。

「へぇ、僕たちには関係ないだって・・・将来の自分の子どもに向かってずいぶん冷たいことを言うね。
・・・あれ、何?そのいかにも疑ってますって顔は・・・そりゃ信じられないだろうけど僕たちの容姿が何よりの証拠になってるはずだよ。
そんなことよりもパパ、いい加減ヘタレるのやめてくれない?
パパが毎回空回りばっかりしてイタい姿を晒してるもんだから神様が哀れんで僕たちを寄越したんだからね。」

「そうそう、はっきり言って迷惑以外の何物でもありゃしないったら。
まあパパがそんな風なのは元はと言えばママが頑なに信じようとしないのが原因なんだろうけど。
本当はもう既にパパのこと好きなくせして傷付くのを怖がって・・・。
でも大丈夫よママ。パパってヘタレだけどママのこと心から愛してるから絶対に裏切ったりしないことは娘の私が保証してあげるわ。
だから安心してくっついてよね。」

蓮とキョーコにそれぞれ言いたいことを言って2人が消えたため、辺りには静けさが戻る。
そんな中放心したように呆然としていた彼がポツリと呟く。

「ヘタレヘタレって・・・俺自分の子どもにまでそう言われるんだ・・・。」

「突っ込む所はそこですか・・・しかも自分の子どもって・・・敦賀さんは今の子たちが言ったこと信じるんですね。
まあ目の前で消えられたら誰だってそうなるんでしょうけど。
でもそうですね・・・貴方が信じるなら私もあの子たちを信じてみようと思います。
今までずっと疑ってすみませんでした・・・こんな私でよければお付き合いさせてください・・・。」

頬を染めそう口にしたキョーコを驚いた表情で見つめていた蓮は少しの間固まっていたが、すぐに動き出すと彼女を力いっぱい抱きしめ囁いた。

「いいもなにも俺は君しかいらないと言ってるだろう?
・・・ありがとう・・・好きだよ・・・。」

「そっ、それにしてもどうしてあの子たちは金髪だったのでしょうねっ?!
私も敦賀さんも黒髪なのに・・・。」

「そのことについては今晩にでも説明するからあと少しだけ君を堪能させて・・・。
この幸せが夢じゃないと実感させてほしいんだ・・・。」

恥ずかしさから話題を変えようとした彼女を懇願で黙らせると、彼は本当に時間いっぱいまで抱きしめる腕を緩めることはなかったのだった。
その後結局蓮が使い物にならず社が必死でスケジュール調整したのは言うまでもないことである。

ちなみに元の世界に戻った少年たちは言い足りなかった文句を両親・・・特に父親に向かって言ったため、凹んだ彼を妻が浮上させるのに相当な時間を消費したらしいことも付け足しておこう・・・。



おわり



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