最初のマニュアルが思い浮かんで、こんな話を作ってみました。

本当になんでこんなものを思い付くのか、自分でも謎です。

軽く読み流してやってくださいませ。

それではどうぞ。




ストーカーの撃退法




~~キョーコのストーカー撃退マニュアル~~


①まず自分の分身 ― 怨霊を用意します。(10匹くらいでOK)

②4匹に相手を足止めさせて、2匹に体の自由を奪わせます。

③そして4匹を突撃させます。(しっかりと念を込めるのを忘れずに)

④最後に、総員でタコ殴りにさせれば完了です。


これで貴方に近寄ろうという気は起こらなくなるでしょう。


次に怨霊の出し方ですが・・・・・・



「・・・って、出来るわけないでしょーが!こんなこと!!」


奏江は鼻息荒く叫ぶと、手作りのマニュアルを破り捨てた。

それを見たキョーコは、涙目になって抗議する。


「折角モー子さんの為に一生懸命作ったのに、最初のページを見ただけで破くなんてひどいわっ!」


「ひどいのはアンタでしょうが!

私は真剣に相談したのに、こんな出来もしないようなの作ってくるなんて。」


奏江の言い分はもっともなのだが、残念なことにキョーコには通用しなかった。

それも仕方のないことであろう。

彼女は当たり前のように怨キョを使いこなしているのだから。

だから必死に説明を試みる。


「そんなことないよ。まずは怨霊さえ出せばいいだけなんだから。

出し方は・・・一度地の底までめり込むような思いをしたら、怒りで出てくるし・・・。」


「・・・ただでさえイライラしてるのに、これ以上不幸になれとでも言うわけ?!」


結果、火に油を注いだ状態になってしまった。

奏江がイラついてるのは、ストーカー被害に遭っているからである。

相手はそこそこ名の通った芸能人で、今はまだ現場先で付き纏われてるだけだが、このままでは自宅も探り当てられてしまうかもしれない。

本来なら主任に相談するのが一番いいのだが、そうすると必然的にローリィの耳にも入ってしまう。

それが嫌でキョーコに相談したのだが、どうやら相談する相手を間違えたらしいことに彼女はまだ気付いていない。

そんな彼女にキョーコが出した策が今のマニュアルであった。


「ああいう輩って、彼氏がいるように装っても益々タチが悪くなるから手に負えないのよね・・・。」


「あっそうだ。じゃあ、こういうのはどう?」


うんざりした顔でため息をつく奏江に、キョーコは今思い付いたばかりのことを話す。

それを聞き本当にそれが可能なのかと疑問に思っていると。

キョーコが早々と携帯で話をつけたので、取り敢えず実行してみることになった。



撮影日当日、奏江の傍には眼鏡をかけたマネージャーが立っていた。

彼がずっと目を光らせていたおかげで、ストーカーは近寄ろうとさえしなくなった。

どうやら最初に浴びせた冷凍ビームが相当堪えたらしい。

こうして撮影終了まで社が付き添ってくれたので何事もなく終わり、その後も姿を見ることなく奏江は盛大に感謝した。

それに照れながら、社は逆に礼を言う。


「いやあ、お礼を言いたいのはこっちの方だから。

キョーコちゃんが代マネしてくれてるおかげで、ウチの俳優はすこぶる機嫌がよくてね。

仕事がはかどって、本当に感謝しても足りないくらいだよ~。」


そう、キョーコの策とは・・・。

社の人を凍らすという冷凍ビームを奴に食らわせて撃退してもらい、その間自分が代わりにマネージャーをするということだった。


確かにこれで奏江のストーカー問題は解決したのだが。

蓮一人がおいしい思いをして幕を閉じるという・・・。

何とも言い難い結末に、奏江は思いっきり眉根を寄せたのであった。




おわり




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