これでラストです。

もうかなり吹っ切れたので調子に乗っておまけまでつけちゃいました。

どうしてもギャグテイストになってしまうのは仕方ないのかも・・・。

それではどうぞ。




You're my only shinin'star 【後編】




とうとう約束の24日当日になり、私は近所のスーパーで買い物をしてから敦賀さんのマンションを訪れた。

部屋に入れていただいた時から思ったんだけど、今日の敦賀さんはどこかおかしい。

もしかしたらかなりお疲れなのかも・・・私は早々に退散した方がいいかもしれないな。

そう思い急いで料理を作り終えると、敦賀さんの様子は普通に戻っていた。

でもおかしかったのは確かだから、早めに帰って敦賀さんにはしっかり休んでいただこう。

食事を済ませ後片付けを終えると、私は帰りの挨拶をするために敦賀さんの姿を探した。

敦賀さんはリビングの窓の近くに立ち、外を眺めていた。

私の姿に気付くと、微笑んで手を差しのべてくれる。


「おいで、ここからの夜景は綺麗だよ。」


その笑顔が帰ろうとしていた私を留まらせた。

操り人形のようにゆっくりと近づき、導かれるまま敦賀さんの横に並ぶ。

二人黙ったままで夜景を眺めていると、おもむろに敦賀さんが切り出した。


「最上さん・・・聞いてもらいたいことがあるんだが・・・。」


そっと見上げると敦賀さんは真剣な面持ちで私の方を向いていた。

その瞳に捕らわれ身動きできなくなった私に、敦賀さんは言葉を続ける。


「君のことが好きだ・・・。

君に好きなヤツがいることも分かってるが、それでも諦めることは出来ない。

ソイツのことを忘れさせてみせるから、俺と付き合ってくれないか?」


信じられない言葉の数々に、理解できずに呆けたままになってしまう。

今、敦賀さん何て言ったの?

私のことが・・・好き?!

頭の中が真っ白になって何も言えずにいる私を、敦賀さんはそっと包むように抱きしめた。


「君を他の男になんか奪われたくないんだ。

どうか頷いてくれないか?」


切実な声と耳のすぐ近くで聞こえるすごく早い鼓動の音に、自然とこの人の告白を受け入れることが出来た。

まさか敦賀さんの想い人が私だったなんて・・・。

自分の想いが報われる日がくるなんて信じられない・・・。

幸せすぎて夢みたい・・・。

いつまでもこの幸せに浸っていたいけど・・・って、でもちょっと待って?!

敦賀さん何かおかしな思い違いをしてなかった?

私が好きなのは・・・敦賀さんなんだから、ちょっと・・・ううん、かなり恥ずかしいけど訂正しなくちゃ!


「あ、あの・・・何か誤解されてるようなのですが、私が好きなのは・・・つ、敦賀さんですよ。

ですから・・・えっと・・・、よろしくお願いします。」


これでお返事っていいのかな・・・そう思いながら見上げると、そこには呆気にとられたような敦賀さんのお顔があった。

初めて見るそんな間の抜けた顔も私がさせてるのかと面映い気持ちになってたら、それは満面の笑顔に変わり更に力を込めて抱きしめられた。

そんなに力を込められると少し痛いんですけど・・・心の中で文句を言いながらも私は笑顔になる。


だって、本当に嬉しいんです。

・・・ずっとあなたの後ろ姿を追いかけてきて、それはこの先も変わることはないと思っていました。

でも今度からはあなたのすぐ横であなたを見つめてもいいんですよね。

どうかずっと輝き続けてください・・・。

あなたは私のただ一人の・・・“輝ける星”なんですから・・・。






【おまけ】



「あの~、敦賀さん?もう日付が変わる時間なのでそろそろ帰らせていただこうかと思うのですが・・・。」

「ダメ。却下。ようやく想いが通じたんだからこの喜びを噛みしめさせて?」

「もう十分だと思いますけど・・・って、何故私を抱き上げるんです?

それにどこに運ぶ気ですか・・・そっちは寝室じゃないですか?!」

「うん?実はここ最近あまり眠れてないんだけど、最上さんが傍にいてくれたらよく眠れそうなんだよね。」

「えっと、じゃあ・・・傍にいるだけなら。・・・何故黙ったままなんですか?しかも似非笑顔で。

やっぱり何か企んでますね!!!帰りますから降ろしてください!!

えっ無理?!無理ってなんですか!

お願いですから、とりあえず落ち着いて話し合いましょう?!

こんな早すぎる展開にはついていけませんから~!!」

「大丈夫大丈夫。寝るだけだから・・・たぶん。」

「たぶんって何ですか?!その笑顔がある時点で全然信用出来ないじゃないですか!!

いや~~~!助けて、モー子さ~~ん!!!」

「大丈夫だから落ち着いて。愛してるよ、最上さん。」

「やあっ・・・んぐ。」


こうして静かに扉は閉ざされたのであった。

その夜二人がどうなったかは定かではない。




おわり




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