許すことで過去を変えることはできない。
しかし、間違いなく、未来を変えることはできる
(バーナード・メルツァー 米 弁護士)

kanon

そう、いつだってアナタはあたしの近いところに居て
あたしを見てきたね。

その視線が優しいものから違うものに変わったこと、
知らないとでも思っていた?

知っていてもどうすることもできなくて、
知らないフリをしてきただけ。
その方がお互い苦しまなくて済んだから…
結局は苦しみだらけの20年だったけどね。。。

好きな人ができたと言っては
「またどうせイカれたミュージシャンだろ?
オマエには男を見る目がないんだから
どうせまた地獄に堕ちるぜ」

どんな思いでアナタは言ってただろう、

どんな思いでアナタは受け止めただろう?
あたしはアナタに言い続けることで、
現実を見せてアナタを傷つけてきた。
だけど仕方がなかった。
アナタを諦めさせる必要があたしにはあった。

きっとそれは不倫よりも、血の繋がった者同士の恋よりも、
犯罪者の恋よりも、障害のある人の恋よりも、
HIV感染者の恋よりも許されぬ想い。

自らに架した罪はやがて己に降りかかる。

あたしの恋は最後にはアナタのシナリオ通りになった。
アナタがあたしの恋を邪魔したこともあった。
それでもあたしたちは結ばれることはない、
結ばれることができなかった。
不可能だった。

あたしが恋を終わらせるたびに
アナタ、あたしの元彼をボコボコにしてたでしょ?(笑)

嬉しかったけど、切なくて苦しかった。
どうしてあたしはアナタと
もっと早く出逢って愛せなかったのか。

これだけは運命の悪戯、戻せない時間、
あたしたちは出逢ってはいけなかった。
あたしがあの日、アナタを思って泣かなければ
アナタもこんなに苦しまずに済んだのにね…。

そんなアナタもいなくなってしまった。
そしてあたしはひとり、取り残されて
長かった時間を時に振り返る。

エンディングはこれしかなかったの?
もしもあたしがアナタと過ごした時間を綴るなら
もっと別の終わりがあってもいいのにね。
だけどきっと変えられないね。

こうすることでしか終われなかったね、

あたしたちはどちらかが死ぬまで、
答えを出すことはできなかったよね。

一緒に死んでと言われて
生きていようなんて言えるほど
目の前にあった現実は優しくはなかったね。
死ぬことさえ許されなかったね。

ごめんね、あたしはアナタの優しさに
甘えていただけだったのかもしれない…。

だけどあなたの腕の中に飛び込めるほど
自分は強くはなかった。

アナタ一人を逝かせてしまった罪は
永遠に刻まれる。

未来はあたしもアナタの処に行ったときに
神様が決める。

だからそれまでどうか、そこで眠っていてください。
今度はきっとゼロから始められるよ、きっと…。

summer

ねぇ、また夏が来るよ、
夏色に衣替えしたあたしはアナタが愛してくれた
あたしと変わらないままかなぁ…?

ねぇ…、聞こえてる?