2009-10-03 01:07:23

SYUN-002 『PAUSE P-MODEL LIVE 19931101』 P-MODEL。

テーマ:ブログ
P is Cluster!!  時に無ほど高く!!-Image2361.jpg

『電気の武者』から『情報の武者』へ



ライブがある度に、『これは、暫定的な形だから』という思いが頭の片隅に居座るようになってしまった。
その思いは、観客の反応が良い瞬間に誇張され、また、反応が悪い瞬間にも誇張される。
コンピューターを使ったライブにある不思議な感覚だ。


古い話で申し訳ないが、1970年代の音楽界に『電気の武者』と呼ばれる男がいた。
彼はT-REXと名のり、電気的に拡大され、電気的に脚色された音楽を使って一度に何万人もの人達をさばいていた。
厳密にいうとT-REXは2人組だが、『彼』と単数で呼んだのは、もう一人の男は100%何の役にもたっていなかったからだ。

『電気の武者』は自動車事故で死んだ。
そして1994年、『電気の武者』はT-REXXという駄じゃれとなって私のコンピューターの中に住み着いている。
T-REXXのTは、私のコンピューター上で使われるアプリケーションの頭文字、REXXはDOSと並行して使われるプログラム言語の事。
彼は、広大なインフォメーション宇宙に浮遊する無数のアプリケーションを一度に動員して、更に多くの人達を相手にしようと手ぐすねをひいている。
1994年の彼は『情報の武者』なのだ。

『情報の武者』?『インフォメーション宇宙』?


コンピューターからはじき出される音楽は、奏でられた楽器音の集まりではない。
電子的に記録され、インフォメーション宇宙へと移住した情報の影なのだ。
情報自体に物理的な形はなく、光のあてかた(光をあてるとは、もちろん仮想的な表現)によって様々な姿をとる。
ある時は、特別な人にしか解読できない記号群となり、ある時はスネア・ドラムの音となる。
コンピューター音楽によってある会場がうめられる時、そこに在る現実の半分は、もう一つの現実、つまり仮想的なインフォメーション宇宙の影なのだ。

これは、テクノの現場にかぎられた事ではない。
『下北沢でロック風俗をしているオレには無縁だ』とは言わせない。
現実の大部分はすでにインフォメーション宇宙へと移住している。
あなたのお金は銀行にあるのではなく、現金という特殊な形態を除いては、全て仮想宇宙に情報として浮かんでいる。
銀行はただのプラットフォームだ。
クレジット・カードを持たずに買物をしようとすれば、私がいくら私自身である事を熱弁しようとも、店員はとりあわない。
経済活動の現場では、私の実態とは、インフォメーション宇宙に移住した情報なのだ。


現実観が変わっていく。
音楽も、映像も、お金も、社会的な実在も移住した。
肉体を離れて移住した情報は、温度も、重力も、時間もない宇宙で、老朽化することなく永遠に漂っている。
そこは、電子の神、情報のグル、という言葉が生まれる背景となる魅惑の宇宙だ。
この感覚を無視してコンピューター音楽をやることなど私にはできない。
準備が整い、このバーチュアル・スペースに出向いて行く意志があるならば、『情報の武者』は新しい時代のリアリティーを交歓し合うために力を発揮するだろう。

今はまだ、コンピューターを使って『電気の武者』時代の成果を真似ているにすぎない。
観客の反応が良い時にそれは誇張され、また、悪い時にも誇張される。



P-MODELコンサート

日時:※年※月※日

会場:TOKYOインフォメーション・ドーム


入り口は勿論あなたの机の上にある。
そんな妄想を抱く1994年に発売されるこのライブCD、さあ、聴いて喜べ。


(平沢進)





楽曲について、一切触れていないライナーノーツです。
このCDには、1993年10月11日に行われた、『解凍P-MODEL』としてのラストライブの様子が収録されています。

コンセプトは二つ。
音声を加工せずに収録すること。
ライブの頭から最後まで、ノーカットで収録すること。

だったはずです。
曖昧な記憶ですが、だいたいこんな事を言ってたと思います…(;^_^A

実際にハウリングの音は消されずにそのまま収録されてますし、ライブ終了後にスタッフに向けて放たれたと思われる、「お疲れさま」という言葉も残されています。
それどころか、8曲目『GRID』演奏時に起きたマシントラブルの様子も、そのまま収録されていますから。


これについては2009年2月3日の記事、『変容するグループ'「P-MODEL」終章。平沢進とPerfume。』にも書いてますので、よければ参考にして下さい。
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コメント

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1 ■無題

師匠って歌も音楽も独特ですが文章も独特ですね。
私の頭には、すんなり入ってこなくて苦労します。
師匠の言われるT-REXというのはあの『20世紀少年』を歌ってる
グループですか?曲は昔聴いて馴染みがあります。
映画で使われて懐かしかったです。

2 ■>えふさん

コメントありがとうございます。

平沢さんの文章って、外国語を翻訳した文章っぽくないですか?
主語と接続詞と、単語の選び方でそう感じるんだと思いますが。

はい、あのT-REXです。
電子の武者はアルバム邦題ですね。
メジャーなバンドなので、平沢さんが名前を出すのは少し意外でした。

3 ■無題

T-REXというバンドは知りませんでした。
調べてみたところ『Get It On』は流石に判ります(笑)
71年?そんな古い曲とは思いませんでした。
普通にロックにしか聴こえないので特段何が電気的なのか良く解りません。そして平沢さんが名前を出すのは確かに意外な感じですね。
この書きっぷりから言って、好きだったんでしょうね。

>外国語を翻訳した文章っぽくないですか

言い得て妙ですね(^-^)解ります。

4 ■>めいめいさん

コメントありがとうございます。

「20th Century Boy」は映画の宣伝でガンガン流れてますけど、僕も他の曲はよく知りません。
今となっては普通のロックですが、エレキギターの使い方が革新的だったのかもしれません。
ロックには疎いんで、断言はできませんけど(^^ゞ
そういえばT-BOLANって、T-REX+MARC BOLANから名付けたんでしょうね。
関係ないですけど(笑)

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