著者: ビバリー エンゲル, Beverly Engel, 白根 伊登恵
タイトル: いじめられる女がパワーをとりもどす―心理的虐待から自分を救う

 

いいぞ、この本。

わたしは幼少時の被虐待体験による不安定や鬱などに長いこと悩んできて、

よい病院につながることと、いくつかのワークショップや本、講演などとの出会いによって、

今現在、自分を大切にできるあたりまで回復してきた。

 

子どもを産んで育てることで「愛する・愛される」ということを実習したり、

生き生きとした感覚とはなんだろう、って考え込んでみたり、

人間関係の作り方を、子どもに教わってみたり

(幼児の頃のムスコたちは非常に社交的なひとたちでした)。

 

それだけでは、いまひとつ足りない、と思っていた。

自己肯定が難しい。

評価されたい自分。何が欲しいかわからない自分。ひかえめで愛されるはずの自分。

ち、がーう。

わたしはもっと欲しい。

もっといろんなところに行きたい。

もっと見たことのない景色をみたい。

もっと色とりどりのひとたちと触れ合いたい。

 

そういう欲求をはばむものがある。

 

身の程を知りなさい、という世間様の教え。

見捨てられるかもしれない、というものさびしさ。

失敗するのではないか、という恐れ。

非難されるかもしれない、いいえ、かならず非難される、という思い込み。

 

チャレンジ、というところまですら行き着かない。

 

おかあさんであり、おくさんであるところのわたしが、チャレンジする、というほどの

ことを行おうとすれば、自分の時間と意思と行動を最優先にする状況が多少なりともでてくる。

 

家族思いのやさしいおかあさん、でなくてはならない、という思い込みは、

そうでなくては、自分の価値がなくなる、という思い込みと表裏一体だ。

わたしの場合。

 

冒頭で紹介した本は、そんな思い込みがどこからきているのか、

ということを噛んで含めて教えてくれて、解放・回復のためのエクササイズも

あちこちに紹介されている本だ。

 

ジェンダー、ということばは今バッシングの対象らしいけど(笑)、

ジェンダーバイアスは外側にもあるし、内側にもある。

ジェンダーバイアスに裏打ちされた心理的虐待もあれば、

そうでない心理的虐待もあるけれど、その両方が女性の能力や人生を萎縮させる。

いや、もしかすると男性の能力や人生だって。

 

健やかな自己肯定感をもって、自分を自分の檻からときはなつ。

 

自分もそうなりたいし、わたしの知るひとびともそうあってほしい。

 

「心理的虐待?」って、ちょっとこころがひっかかった方(特におんなのひと)は、

手にとって見て欲しいと思った。

 

ちなみにこれ、図書館で借りたのだけど、ものすごく手ずれがしている。

何人の女性がこれを読んで解き放たれていったのだろうか。

 

わたしも自分の本棚に持とうと思って注文しました♪