たまたま朝のラジオから、『感情の赴くままに動いて吉の日』
というメッセージが入って来ました。今日は肩の力を抜いて、
ゆったりとした気持ちで一日を過ごそうと思っています。
ピースマン VOL.8
ボクの目に一人の女性が飛び込んで来た。
画面に映し出された一枚のポートレートにはしなやかなロングヘアー
に不思議な色のピュアーな瞳を輝かせた天使のような女性がボクに向っ
て微笑んでいた。
ボクの胸が、キュンと甲高い音を立てたと同時に、ボクは画面の中の
彼女に瞬く間に恋に落ちた。
彼女は、『エンジェル』という名の女性ミュージシャンだった。
出身地はロンドン。趣味は旅。好きな男性のタイプはワイルドな男性。
一週間前に更新されたメッセージには、
『今は、レコーディングの最中。スタジオに缶詰めで窒息しそう(笑)。
でも一生懸命歌ってるから、みんなデビューアルバムを楽しみに待って
てね。これが終わったら、また旅に出たいな。今度は、どこに行こうか
な? みなさんいいところがあったら教えて』
と記されている。
旅か、ボクは画面の中の彼女に向ってぽつりと呟いた。
ボクは本屋まで全速力で自転車を走らせると、無我夢中で旅の本を片
っ端から読み始めた。
『地球の歩き方』、『世界ひとり歩きのススメ』、
『やっぱり旅はおもしろい』
はじめは彼女に旅スポットを提案するために読んでいたはずが、気が
つけば自分が旅気分。
オレも旅してえ、いや絶対に旅しよう。
旅に出たら世界のどこかで彼女に会えるかも知れない、もしかしてど
こかに自分の居場所が見つかるかも知れない。旅に出たら、ボクの人生
も晴れるかも知れない。
旅なのか、そうか、分かったぞ、オレは旅がしたいんだ。
これまで眠り続けていたボクの心に魂に新しい光が差し込んだ。
その日の夜、ボクは鼻息を弾ませながら両親の前に躍り出た。
「お父さん、お母さん、オレ、とうとうやりたい事が見つかったよ」
お父さんは半信半疑で見つめ、お母さんは本当に嬉しそうに目を輝かせた。
「オレ、世界を旅したい、いや、旅する」
「旅だと?」
お父さんはボクの言葉に強い不快感を示した。
「あら、素敵じゃない」
一方、お母さんは目を細めて素直に喜んだ。
「お前は黙ってろ」
お父さんはそう言ってお母さんを制した後、みるみるうちに顔面を紅潮さ
せた。
「もう一度言ってみろ」
「オレ、旅…」
言い終わる前にボクの左頬は熱い感触に包まれ、目の前の画面が奇妙な形
に歪んだ。
「どこまで無茶を言えば気が済むんだ」
お父さんは鬼のような形相でボクを怒鳴りつけた。
「オレはやりたい事をやる、お父さんが何と言おうと曲げられないんだよ」
「お前、誰に向って口を聞いてると思ってるんだ! もう勘当だ、出てけ、
この家から出てけ」
「お父さん、ちょっと何言ってるの?」
お母さんが慌ててなだめようとするが口を真一文字に結んだまま、ここで
大地震がいきなり起こったとしても恐らく微動だにしないだろうと思わせる
だけの迫力でボクの顔を睨みつける。いや、違う、今、目の前でその大地震
が起こっているのだ。
これはドラマなんかじゃない、勘当? ボクは今、父親から勘当を言い渡
されたのだ。
「分かった、オレ、家を出てく」
言葉が先に口をついて出た。
というメッセージが入って来ました。今日は肩の力を抜いて、
ゆったりとした気持ちで一日を過ごそうと思っています。
ピースマン VOL.8
ボクの目に一人の女性が飛び込んで来た。
画面に映し出された一枚のポートレートにはしなやかなロングヘアー
に不思議な色のピュアーな瞳を輝かせた天使のような女性がボクに向っ
て微笑んでいた。
ボクの胸が、キュンと甲高い音を立てたと同時に、ボクは画面の中の
彼女に瞬く間に恋に落ちた。
彼女は、『エンジェル』という名の女性ミュージシャンだった。
出身地はロンドン。趣味は旅。好きな男性のタイプはワイルドな男性。
一週間前に更新されたメッセージには、
『今は、レコーディングの最中。スタジオに缶詰めで窒息しそう(笑)。
でも一生懸命歌ってるから、みんなデビューアルバムを楽しみに待って
てね。これが終わったら、また旅に出たいな。今度は、どこに行こうか
な? みなさんいいところがあったら教えて』
と記されている。
旅か、ボクは画面の中の彼女に向ってぽつりと呟いた。
ボクは本屋まで全速力で自転車を走らせると、無我夢中で旅の本を片
っ端から読み始めた。
『地球の歩き方』、『世界ひとり歩きのススメ』、
『やっぱり旅はおもしろい』
はじめは彼女に旅スポットを提案するために読んでいたはずが、気が
つけば自分が旅気分。
オレも旅してえ、いや絶対に旅しよう。
旅に出たら世界のどこかで彼女に会えるかも知れない、もしかしてど
こかに自分の居場所が見つかるかも知れない。旅に出たら、ボクの人生
も晴れるかも知れない。
旅なのか、そうか、分かったぞ、オレは旅がしたいんだ。
これまで眠り続けていたボクの心に魂に新しい光が差し込んだ。
その日の夜、ボクは鼻息を弾ませながら両親の前に躍り出た。
「お父さん、お母さん、オレ、とうとうやりたい事が見つかったよ」
お父さんは半信半疑で見つめ、お母さんは本当に嬉しそうに目を輝かせた。
「オレ、世界を旅したい、いや、旅する」
「旅だと?」
お父さんはボクの言葉に強い不快感を示した。
「あら、素敵じゃない」
一方、お母さんは目を細めて素直に喜んだ。
「お前は黙ってろ」
お父さんはそう言ってお母さんを制した後、みるみるうちに顔面を紅潮さ
せた。
「もう一度言ってみろ」
「オレ、旅…」
言い終わる前にボクの左頬は熱い感触に包まれ、目の前の画面が奇妙な形
に歪んだ。
「どこまで無茶を言えば気が済むんだ」
お父さんは鬼のような形相でボクを怒鳴りつけた。
「オレはやりたい事をやる、お父さんが何と言おうと曲げられないんだよ」
「お前、誰に向って口を聞いてると思ってるんだ! もう勘当だ、出てけ、
この家から出てけ」
「お父さん、ちょっと何言ってるの?」
お母さんが慌ててなだめようとするが口を真一文字に結んだまま、ここで
大地震がいきなり起こったとしても恐らく微動だにしないだろうと思わせる
だけの迫力でボクの顔を睨みつける。いや、違う、今、目の前でその大地震
が起こっているのだ。
これはドラマなんかじゃない、勘当? ボクは今、父親から勘当を言い渡
されたのだ。
「分かった、オレ、家を出てく」
言葉が先に口をついて出た。












