2005-05-13 19:01:27

映画「悪い男」

テーマ:韓国映画
タイトル: 悪い男

 これを愛と呼べるのだろうか。


 ごく普通の女子大生ソ・ウォン(ソナ役)を街で見かけ、一目ぼれしたヤクザのチョ・ジェヒョン(ハンギ役)は、ソ・ウォンの恋人の目の前で、いきなり暴力的なキスを奪う。

 結果、その行為に驚き怒った周囲の群集にチョ・ジェヒョンはボコボコされる。ソ・ウォンは、チョ・ジェヒョンの顔にツバをはきかけ恋人と立ち去る。

 この屈辱と恋心が、チョ・ジェヒョンに復讐の心を植え付けた。

 

 チョ・ジェヒョンは、ある細工をしてソ・ウォンに借金を負わせ、ソ・ウォンを自分が仕切る売春宿に売り飛ばしてしまう。ごく普通の若い女性が転落していくさまが、いとも簡単に描かれているが、人生が転落するときは、このように一瞬の出来事かも知れない……。


 ソ・ウォンが娼婦街で生娘から娼婦へと変わる様子を、チョ・ジェヒョンは毎日のように見ている。ソ・ウォンが客を取る部屋はマジックミラーになっており、ソ・ウォンからは見えないが、チョ・ジェヒョンからはのぞけるのだ。チョ・ジェヒョンは、ソ・ウォンと客との行為を静かに見つめているが、この行為が自責の念なのか屈折した愛情なのか難しい。難解な映画である。



 ソ・ウォンは一度、娼婦街を逃げ出すが、チョ・ジェヒョンに捕まり連れ戻される。そして、もう一度、今度は正式に娼婦街を抜け出せる機会を得、街を出るのだが、結局、家に帰らず元いた売春宿に戻ってしまう。

 ソ・ウォンのこの選択が私には悲しかった。


 映画の終局部分では、裏社会を抜けたソ・ウォンとチョ・ジェヒョンの二人が映し出されるのだが、それはトラックで漁村などをめぐり、海の男たちに一時の春を提供するソ・ウォンと、その行為の後のティッシュをかたずけるチョ・ジェヒョンの姿だった。

 チョ・ジェヒョンは自分の愛する女、ソ・ウォンをトラックの中で売春させ、全国をめぐっているのだ。


 裏社会を抜けた二人は、結局、人生の光を浴びないまま裏街道、社会の暗闇で一生を過ごすのだろうか。

 

 これを愛と呼べるのだろうか……。

 私たちがイメージする愛という常識を取り外され、愛とは何かを再び考えさせられる作品。また強烈な社会性を持つ映画である。


 監督は韓国の鬼才、キム・ギドク。他作品で世界3大映画祭といわれるベルリン映画祭、ベネチア映画祭の二つで監督賞を受賞をしている。

著者: 津原 泰水, キム・ギドク (原案・脚本)
タイトル: 悪い男
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