"教授"と呼ばれた男 | ひでの徒然『映画』日記

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ひでの徒然『映画』日記-"教授"と呼ばれた男


Comment:

策略家としての天賦の才とカリスマ性を持った男の半生を描いたバイオレンス作品。


あのジュゼッペ・トルナトーレ監督の長編デビュー作は、なんとバイオレンス作品でした・・・驚きです。


イタリア、ナポリ。雨の降る中、車を走らせていた男とその姉ロザリア、そして仲間の男チーロ。車がエンストし、外に出て車を押していると、道にたむろしていた1人の男が車を押すのを手伝いにきました。


しかし、その男が手伝った報酬としてロザリアのお尻を触ったことで、ロザリアの弟が凶暴化・・・その男を殺してしまいます。


その10年後。


ナポリのヴェズヴィアーノ刑務所にその男が移送されてきます。その男は30年の懲役でした。


しかし、物怖じしない佇まい。そして、法律のエキスパートである彼は他の囚人から「教授」と呼ばれるようになります。「教授」のカリスマ性はたちたち刑務所内に広まり、一大勢力であったマフィア「カモッラ」のボスで刑務所内で高待遇を受けていたマラカルネと対峙するまでになるのですが・・・。


なんと、この作品。信じられませんが、事実を基にした作品だそうです。冒頭では、犯罪組織や裁判記録、報道から着想を得ているだけで、ストーリー自体はフィクションであると言っても、いくつかはやっぱり事実なのでしょうね・・・ナポリって、こんなにも治安が悪かったのかぁ。


「教授」なる人物の冷徹さはどこから来るのでしょう。


オープニングでの少年時代での事件がトラウマになってしまったのかなぁ。マフィアの抗争がメインとなっていますが、もう少し「教授」の人格形成を深く追求しても良かったかなぁ。


「教授」の姉ロザリアも初めは人として常識のある女性だと思っていたのですけどね。権力を手にすると、人はああも変わってしまうのでしょうか。「教授」と同じ血が流れていたせいなのかなぁ。


「カモッラ」のボスであるマラカルネを殺し、「新カモッラ」として新組織を立ち上げた「教授」。しかし、身動きがとれない「教授」のシャバでの手となり足となる実行部隊には釈放されたアルフレードが・・・。彼の狂信的な「教授」への忠誠心は恐怖すら感じましたね。


「教授」の求心力の強さは、本人だけでなく、周りの人の言動からも広がっていったのでしょうね。


しかし、「旧カモッラ」の残党も黙っていませんでした。


「新カモッラ」と「旧カモッラ」、さらには、アメリカン・マフィアやナポリ警察、政治家までも入り乱れて抗争は激化していきます。


はたして、最後に街を牛耳るのはどの勢力なのか・・・。


名前の無い「教授」役にはベン・ギャザラ。彼のギラギラした目が怖いです。また、ラストシーンでの演技も異なる意味で怖さがありましたね。


ジュゼッペ・トルナトーレ監督作品としては想像できないほどの狂気シーンの連続です。ナイフでの滅多刺しシーンは痛かったなぁ(^_^;


音楽もエンニオ・モリコーネではないので、「ニュー・シネマ・パラダイス」や「海の上のピアニスト」のイメージのままこの作品を観てしまうと、別の監督の作品なのでは?と思ってしまうことでしょうね。


フランスではありませんけど、広義の意味ではノワール作品と言えるのかなぁ。


マフィアものが好きな人にはおススメかもしれませんね。



にひひにひひ



Title:

CAMORRISTA, IL


Country:

Italy (1986)


Cast:

(Il Professore)BEN GAZZARA

(Rosaria)LAURA DEL SOL

(O' Malacarne)LINO TROISI

(Jervolino)LEO GULLOTTA

(Alfredo)NICOLA DI PINTO

(The Mother)MARIA CARTA

(Ciro Perrella)LUCIANO BARTOLI

(Don Saverio)FRANCO INTERLENGHI

(Salvatore)MARZIO HONORATO

(Anna)ANITA ZAGARIA


Director:

GIUSEPPE TORNATORE



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